11月の下旬から、記録的な寒波に見舞われているヨーロッパ。ここパリでも、連日の最高気温がマイナスという状況で、最後のポプラの落葉が、溶けることのないうっすらとした雪に覆われている。

ライトの総延長が4キロメートルにも及ぶ巨大ツリー

「ギャルリー・ラファイエット」のクリスマスツリー

 早くも冬本番の空模様の下、街の様相の方はクリスマス一色。シャンゼリゼ通りをはじめ、主だった通りは、趣向を凝らしたイルミネーションで飾られ、街角の花屋には、もみの木が山と積まれている。

 これはもちろん、各家庭のクリスマス飾りのためのもの。ツリーを飾るならば生の木で、というのが相変わらず主流のようである。

 数あるツリーの中でも、この時期、恐らく最も人々の注目を集めるのが、デパート「ギャルリー・ラファイエット」のそれだろう。

 吹き抜けになった中央ホールに、高さ16メートルというツリーがそびえている。

 いや、床に足がついていないわけだから、むしろ、浮いているといった方が正しい。

 球状のオーナメントの数は5800、チカチカ点滅する粒状ライトの総延長は4キロメートル、ツリーを取り囲むギフトボックスの幅は2.5メートル・・・。

「ギャルリー・ラファイエット」イメージ、マーケティング部門のディレクター、エレーヌ・ラフルカドさん

 これらの大仕かけを、化粧品メーカーのスタンドがひしめくグランドフロアの頭上に吊るすのだから、規模的にも、また技術的にも大仕事であるに違いなく、アルピニストたちの出動を仰ぐ。

 また、これだとさすがに生の木というわけにはいかず、1年きりのものでもない。ただし、枝の4分の1ほどは毎年差し替えるメンテナンスは必要。

 と、このようにメイキングの内幕を話してくれたのは、デコレーションイメージの総責任者である、エレーヌ・ラフルカドさん。

 彼女が手がけるのは、このツリーをはじめ、店全体のコンセプトに及ぶ。

 「毎年のクリスマスのテーマは、1年以上前には決まっています。全店をその年のテーマのロゴやカラーで統一するのです。しかも、地方の支店もすべてです」