2011.01.15

王貞治会長福岡ソフトバンクホークス「人生も、野球もトキメキだ!」

新春インタビュー 迷える日本国民にビッグワンから熱いメッセージ!
古希を過ぎても球界は王貞治会長を休ませてくれず、FA交渉にイベントに講演会と日本中を飛び回る毎日〔PHOTO〕繁昌良司 以下同

[取材・文:田尻耕太郎(スポーツライター)]

 最近読んだイチローのインタビューにこんなフレーズがあった。
「監督の言葉だったら僕は納得しますけど、それ以外だったら許せないですよ」
「数字は後からついてくる」というフレーズに対する感想で、監督=王貞治である。
前人未到の記録を打ち立てた者だけが共有できる想いがきっと、あるのだろう。
偉大な男の領域へ、潜入を試みた。

 畳が擦り切れるほど繰り返された素振り、日本刀を使ってのスイング、不滅の通算868本塁打に誤審を乗り越えてのWBC制覇、胃がん手術からの復帰---。

 福岡ソフトバンクホークス・王貞治会長(70)の球歴には精進だとか、努力、忍耐といった重いイメージがつきまとう。

 そんな王会長に聞いてみた。野球とは何ですか---。間髪をいれず返って来たのは、意外すぎる言葉だった。

「トキメキだね。ゴルフだとか他のことは飽きてしまったり、感動しなくなっちゃったりして、もういいな、少し離れてみようと思ったりする。だけど、野球は違う。何度やっても、同じ試合はないんです。一球一球の状況の変化に、生きてる、戦ってる、という実感がある。

 どれだけ年数やっているとか関係なく、常に新鮮。そこには新たなる喜びも悔しさもある。『もっとこうしたほうがいいんじゃないか』と頭をひねる。いわゆるマンネリとか、飽きるとかいう部分は生まれにくい世界。離れがたいものだよね」

「世界のビッグワン」は、現役を退いた後も、ほぼ野球漬けの生活を送っている。

 巨人、ソフトバンク(ダイエー時代含む)で指揮を執り、'06年には第1回WBC日本代表を率いた。同年、ガンを患い、胃の全摘出手術を受けるが、'07年に見事、カムバック。'08年シーズン終了後、「体調が十分でなく、チームの士気にも影響が出る」とユニフォームを脱ぐと、そのまま球団会長職に就いた。

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