OLDIES 三丁目のブログ

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武松輝男 歴史の真実がもたらす民主的社会を享受する者として

三池炭鉱史家 武松輝男さん
 5月30日死去(敗血症)80歳
権力に対抗 集め続けた証拠資料(木村英昭)
 2010年8月28日 朝日新聞
 
……という追悼記事が掲載されていた。
 最近、好きなことで起業だとか情報起業だとかいうことがブームで、私もそういう関連の文章を読むことが多かった。
 そういったことはつい最近の話で、武松さんの現役時代には当然そういった概念はなかったのであるが、全く次元の異なった人生である。
 紹介されていた武松さんの人生の概略を読むと、表面的な栄達や華やかな人生だとか一般的な家庭の幸せだとか、ともかくそういったものとは無縁の大変な人生である。
  
 仲間が暴力団員に刺殺され、長男が産まれた時は、
「生きて帰ってこれんかもしれん。この子を頼む」
と夫人に言うほどである。
 幼稚園の先生だった奥さんが「担任を変えてくれ」と嫌がらせを受けたりもする。
 
 こういった武松さんはじめ色々な方の苦闘により、葬り去られようとしていた事実が明らかになり、辛うじて歴史の真実が継承されている。
 
 もちろん、権力や財力を持つ者にとって、歴史の真実が明らかになると都合が悪いことも多い。
 あえて権力や財力を持つ者と対決して歴史の真実を明らかにしようとすると、個人的栄達や家庭的幸せが犠牲になる。
 権力や財力を持つ者のおこぼれを頂戴することで個人的栄達や家庭的幸せを得ることの方がはるかに楽である。
 
 あえて前者の道・茨の道を選ばれた武松さんには、歴史の真実がもたらす民主的社会を享受する者として感謝しないといけないと思う。
 私はとても前者の道を選ぶことはできない。

 できるのは、前者の道を選ばれた方の功績を記憶し、記録し、伝えていくことだけである。
  
 そして、こういった歴史の真実を掘り起こそうとする試みに対して批判するような連中とは絶対に与するつもりはない。

      


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