非国民通信

ノーモア・コイズミ

強盗には優しいすき家

2011-01-01 22:58:30 | ニュース

すき家に強盗多発…警察は10回も改善要請(読売新聞)

 牛丼チェーン最大手の「すき家」を狙った強盗事件が多発し、愛知県警が運営会社の外食大手「ゼンショー」(東京都港区)に対し防犯体制の強化を求める異例の業務改善要請を1月以降、10回以上繰り返していることが29日、分かった。

 東海3県の各県警によると、1月からこれまでに発生した牛丼店の強盗事件(未遂を含む)は、愛知14件、岐阜5件、三重1件の計20件。このうち18件がすき家で起こっている。

 事件は、最近でも22日の愛知県津島市、24日の名古屋市名東区とたて続けに発生。24日の名東猪子石店では、未明に入店してきた男がレジ横の仕切り板を持ち上げてカウンター内に侵入、刃物で店員を脅し、現金約60万円を奪って逃走した。

 すき家と言ったら従業員から残業代の支払いを求められたところ団交を拒否して訴訟を起こされ、それに対する報復措置として反対に従業員側を訴えるという暴挙に出たことで夙に有名でもあります(参考)。それに加えて、なぜか強盗に入られやすいということでも有名だったりするのですが(東海3県で発生した強盗20件中18件!)、どうやら運営会社に向けて県警から度重なる改善要請が出ていたようです。「10回以上」というのも異常な話で、それはすなわちゼンショー側が県警の改善要請を尽く無視していたことを推測させます。従業員の声に耳を傾けないのは日本の会社としては普通なのかも知れませんが、警察の要請をも突っぱねるとは良い度胸です。

強盗に優しいすき家

すき家
1.深夜は犯人にやさしい一人体制。
2.24時間営業で犯人が人気のないときに来店可能なように準備。
3.犯人が逃げやすいように出入り口近くにレジを設置。
4.犯人のために多額の現金をレジに溜め込む(被害90万,70万,25万,25万)
5.レジを一つにして犯人がお金を集める時間を最短にしている。
6.犯人が店員を脅しやすいように、カウンター内部に出入自由。

吉野家
1.どんな深夜でも2人体制
2.分散レジで集めて回るの大変
3.カウンターには飛び越えないと入れない

松屋
1.鉄壁の券売機でガード
2.店員がとにかく早く逃げろと指導されていて脅しようがない

 出典はネットのコピペですので真偽の程は定かではありません。ただ、すき家だけが際立って強盗に入られやすい理由としては納得のいくものです。部外者がカウンター内に簡単に侵入できる構造になっていて、かつ深夜は1人しか店員がいないというのであれば、強盗がすき家を選ぶのも当然でしょう。一方で「食い逃げされてもバイトは雇うな」みたいな考え方もあるわけです。あろうことか業界トップのすき家の店舗数は1500を超えます。いかにすき家への強盗が多発しているといっても強盗に入られる店舗数は全体から見れば微々たるもの、カウンターの改修や深夜シフトのアルバイトを追加するための人件費は、強盗による被害金額を大きく上回るものなのかも知れません。ならば防犯体制に関しては手を付けない方が安上がり、だから警察の要請など無視してしまえと、そういう経営判断が働いたであろうと推察されます。

 ただ防犯に掛かるコストと強盗被害による金銭的なコストを天秤にかけるのは構わないのですが、従業員の安全は考慮されているのでしょうか。強盗の被害が単に金銭的なものであるならば、滅多に来るものではない強盗に備えて深夜勤の店員を増やすなどのコストを投じるのはムダに見えるかも知れません。しかし、何かの拍子に強盗が傷害に発展することだって十二分にあり得るわけです。会社からすればバイトが刺されたって痛くも痒くもない、慰謝料や治療費だって深夜に新たなバイトを常駐させるコストに比べれば軽いものなのでしょうけれど、それはやはり改められるべき考え方として改善指導が入って当然のものと思われます。従業員を危険にさらしたまま放置するような会社が是認されるようなことがあってはならないはずですから。

 もう一つ思ったのですが、すき家は強盗による被害額と防犯に掛かるコストを天秤にかけるのと同じような感覚で、残業代を支払うコストと訴訟を起こされるリスクをもまた秤にかけているのではないでしょうかね。防犯に掛かるコストに比べれば強盗による被害額の方がずっと小さいとの理由で警察の要請すら無視して防犯体制を取らずにいる会社だとすれば、マトモに残業代を支払う費用よりも訴訟にかかるコストの方が安上がりと判断しても不思議ではありません。実際、賃金不払いで訴えてくる従業員などほんの一握りですし、監督機関も主体的に動くことはないわけです。だから訴えられるリスクを冒してでも賃金不払いを続けた方が得だと、そう考えているのではないかという気がします。

 

 ←応援よろしくお願いします


コメント (11)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 大学→専門学校→地元のスーパー | トップ | 己を知らないと言うこと »
最新の画像もっと見る

11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
本年もよろしくお願いいたします (えちごっぺ)
2011-01-02 00:24:08
すき家を運営するゼンショーグループの社名の由来は「全勝」「善意の商売」「禅の心」ということらしいですが、すごい禅の心があるものですね。
先日、プレジデント(苦笑)という雑誌に特集されてましたが、売り上げが規定以下だと「一人体制」にされ、社員の動きも肘から先のみを使うだの徹底したオペレーションのもと運営されているそうです。
また、店舗の様子はすべてビデオカメラで監視されているそうです(泣)
入社後は徹底した「ゼンショーサイボーグ」にするそうで、こういう会社が経済誌に「躍進の理由」などと紹介されていることに暗澹たる気持ちになりました・・・
ただ、それ以上に嬉々としてサイボーグになるのを厭わない人がいるという事実にうんざりしたのもありました。
こういう会社を持ち上げる社会っていったい何なのか、「〇っこのブログ」でもいつか「豪州産の牛肉を使うすき家で食べよう」なんて言ってましたし・・・
Unknown (ルーピー)
2011-01-02 17:59:50
 治安悪化は幻想ですし、安全安心うんたらかんたらも止めてしまえと思います。しかし、すき屋だけには当てはまりませんね。
Unknown (非国民通信管理人)
2011-01-02 18:51:14
>えちごっぺさん

 防犯ではなく自社の従業員を監視するためにカメラがあるということでもあるのでしょうね。ゼンショー社内では強盗を罵ることよりも、社員を給料泥棒と罵ることの方が多いのではないかという気もしてきます。

>ルーピーさん

 行きすぎた監視は御免ですが、すき家は最低限のレベルを下回っているようですからね。
初コメです。 (kuroneko)
2011-01-03 11:49:55
 謹賀新年。
 泥棒さんが、強奪した金から、「お前も大変だな。とっとけ」といくらか従業員にバックする事件が起きたらどうなるかな、と新年早々、脳内妄想。(警察がもみ消したりして)
Unknown (非国民通信管理人)
2011-01-03 15:54:28
>kuronekoさん

 なにしろ賃金の支払いを要求したら、反対に刑事告訴してくるような会社ですからね。下手にすき家で働くより、すき家に強盗に入る方が確実というのでは、強盗が店員を哀れんだとしても、もはや不思議ではないのかも知れません。
保険で補填 (Hokorowitz)
2011-01-03 22:29:23
常識はずれのケチ会社のようだから、保険会社と提携して強盗被害を補填しているものと考えられる。過去数回利用しているが事実を知り止めることにした。
Unknown (非国民通信管理人)
2011-01-03 23:39:45
>Hokorowitzさん

 最低限の防犯対策を怠るところには保険会社も適用を渋りそうなところですが、大きい会社相手だと保険会社も甘いのでしょうね。
Unknown (ノエルザブレイヴ)
2011-02-14 22:04:54
>ただ防犯に掛かるコストと強盗被害による金銭的なコストを天秤にかけるのは構わない
しかしフォード(自動車会社)はそれに似たシチュエーションで不届きな計算をした結果大失敗したことがありますが…。(詳しくは「フォード・ピント」ご検索の程を)
Unknown (非国民通信管理人)
2011-02-14 23:36:06
>ノエルザブレイヴさん

 まぁフォードの場合は金銭的な部分だけでもコストの計算を誤りましたね。そして金銭でははかれない安全面のリスクに関しては本文でも触れた通りですし。
Unknown (けいb)
2011-03-02 17:39:57
すき家対策発表!(非公式)
友達が深夜帯にバイトしてるんですけど、二名体制にする代わりに一名分の時給を折半っていう話があるみたい。ってそれ労基法違反じゃないのって思ったんだけど、詳しい人・・・
確か、二割五分以上増しで支払わないといけないんじゃないかと?

実際には、折半というか一人は待機って形みたいだけど。しかも騒ぎが落ち着くまでのパフォーマンスらしい。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ニュース」カテゴリの最新記事