震災がれき処理「見合わせる」 長浜、米原両市長 国の通達で判断 | 近江毎夕新聞

震災がれき処理「見合わせる」 長浜、米原両市長 国の通達で判断

 長浜、米原両市と湖北広域行政事務センターは五日、東日本大震災で発生した「震災がれき」の処理を「現段階において見合わせる」と発表した。
 両市の市長は、国のがれき処理要請に対し「安全性が担保され、市民の理解が得られたのちには、受け入れについて積極的に検討していく」と県を通して回答していたが、先月二十九日付の環境省通知で「ある程度まとまった処理が可能な受け入れ先を対象に調整中」とあり、一日の処理能力五㌧前後の湖北広域センター焼却場の受け入れは、当面必要がないと判断した。
 しかし両市長は「復興支援はオールジャパンで取り組むものであり、災害廃棄物処理につていも、取り巻く状況に変化が生じ、国から新たな要請があった場合は、受け入れの方針にのっとり、前向きに検討する」とした。
 東日本大震災で発生した災害廃棄物(震災がれき)の広域処理を政府が全国自治体に要請していた問題では、県が四月に、県内十九市町と、ごみ処理を担う六つの一部事務組合の受け入れ検討状況を環境省に報告。受け入れを明言する市町、事務組合はなかったが、「条件付きで受け入れを検討」としたのは高島、長浜、米原の三市と、長浜、米原両市の事務組合「湖北広域行政事務センター」の三市一組合。可否を「検討中」としたのは大津、草津、東近江の三市と日野町だった。
 これに対して受け入れ困難としたのは、五市(守山、栗東、甲賀、野洲、湖南)、五町(竜王、愛荘、豊郷、甲良、多賀)、三組合(甲賀広域行政組合、湖東広域衛生管理組合、愛知郡広域行政組合)。中部清掃組合は「検討していない」と回答。彦根、近江八幡両市と彦根愛知犬上広域行政組合は「回答しない」と回答していた。
 「条件付きで受け入れを検討」とした長浜、米原両市は「安全性が担保され、市民の理解が得られたのち、受け入れについて検討する」と回答。県が加盟する関西広域連合では、連合加盟府県で復興支援を進める岩手、宮城、福島の三県で発生したがれき約二千二百万㌧のうち約百万㌧まで受け入れるとしていた。
 環境省通知では岩手県で発生した震災がれきは、大阪府、大阪市を含む、実施、調整中の自治体の範囲で処理のメドが立ったとし、宮城県のがれきは、東京都などの受け入れ、北九州市の本格受け入れ表明で進展し「ある程度、まとまった量の処理が可能な受け入れ先を対象に調整中」とした。
 一方、この問題をめぐっては、自治体で発生したごみは自治体内で処分を義務付けるとした現行法が国の「がれき受け入れ要請」の根拠となっているものの、放射能に汚染されたがれき処分は、独自の放射性物質吸塵フィルターなどが必要となり、自治体の対応能力を超えた問題で「国民の絆」や「相互扶助」の理念だけでは対応できないとする批判も強い。湖北広域センターのごみ焼却場周辺住民らが先ごろ「子どもたちを放射能から守る会・長浜」を設立し、がれき処理反対の声を上げていた。
〔写真〕めどがついたとされる震災がれき処理