松尾一郎「『「南京事件」を調査せよ』絶版のすすめ」

  • 松尾一郎、「『「南京事件」を調査せよ』絶版のすすめ でたらめ「日テレ」ドキュメンタリー」、『歴史通』、2017年4月号

「松尾一郎」という人物をご存知でしょうか? 南京事件の“証拠写真”についての検証結果を東中野修道らにパクられた……と主張している人物で、最近もツイッター東中野藤岡信勝をディスりまくっています。
さて、今年第2弾が放送されたNNNドキュメント南京事件(山田支隊による虐殺)番組、その第1弾である「南京事件 兵士たちの遺言」(2015年)を「デタラメ」とする記事をこの松尾氏が『歴史通』に寄稿しています。まあ掲載誌が『歴史通』という時点でお察し……ですね。
従軍した兵士の日記を「三次資料以下」としているあたり、あれだけディスりまくっている東中野と同じ資料等級論に依拠しているようです。
松尾氏が得意とする(と自称する)写真についていうと、番組内に登場する“多数の人間が防寒着姿で倒れている”写真にケチをつけています。しかしそもそもこの写真は、番組内では取材のきっかけの一つとして、また今後の取材の可能性を暗示するものとして使われているにすぎず、山田支隊の虐殺については写真は一切根拠とされていません。例によって証拠にされていないものにケチをつける、という手法です。
あとはこれまたおなじみ「便衣兵」論やら第2弾で俎上にあげられた「自衛発砲」説の繰り返しで、新しい主張は皆無でした。
びっくりするのは、「この番組はインターネット上の動画配信サイト、ユーチューブにおいて視聴することが可能である」と、違法アップロードされた動画を紹介していることです。歴史修正主義者のモラルがよくわかります。