日本人は本当に保険好き。貯まらない人は、保険を「お守り」代わりと考え、貯まる人は、リスクの質と量をはかって保険を買う。「保険料負担は1日わずか250円です」も、40年で見ると360万円。貯まる人になるための、賢い保険の選び方を考える。

不安が強い人は、保険に入りすぎる

中村芳子(なかむらよしこ)
ファイナンシャル・プランナー。アルファ アンド アソシエイツ代表。
長崎市出身。早稲田大学商学部で国際経済を学ぶ。
卒業後、大手電機メーカーに就職するが、翌年社員5人のファイナンシャル・プランニング会社に転職。
1991年に退社、現在の会社を設立。個人向けのマネー相談、執筆、講演などを行う一方、オンライン証券や銀行のプロジェクト、企業の福利厚生制度のアドバイザーなども務める。20代、30代のマネーの啓蒙に特に力を入れている。
複雑な金融やマネー知識を、わかりやすく解説する書籍や記事、講演に定評がある。
ベストセラーとなった『20代のいま、やっておくべきお金のこと』『結婚したら、やっておくべきお金のこと』(ダイヤモンド社)のほか、『知らないと損するお金のルールとマナー』(日本実業出版社)、『女性が28歳までに知っておきたいお金の貯め方』(三笠書房)、『女性が30代で、必ずやっておくべきお金のこと』(PHP研究所)、『図解生命保険のカラクリがわかる本』(東洋経済新報社)などマネーの著書多数。『聖書88の言葉』(ダイヤモンド社)、『養子でわくわく家族』(小学館)、『英語の話せる子の育て方』(中経出版)など、お金以外の著書もある。
URL:http://www.al-pha.com/fp/
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 日本人は保険好き。生命保険加入率はたぶん世界一だろう。2010年の調査では男性79%、女性79.5%と驚くほど高い(生命保険文化センター「生活保障に関する調査」)。

 ところが、FPの仕事で生命保険のコンサルティングをすると、自分が契約している保険の内容をきちんと知っている人はとても少ない。

 「毎月いくらの保険料を払っているか」はだいたいわかっているが、「どんな保障が、いつまで、いくらあるのか」わかっていない。わからないまま、ひとりで3つも4つも、家族で6つも7つも入っている人がいる。長年、相談を受けて気づいたのは次のことだ。

 不安が強い人ほど、たくさんの保険に、高額の保険に加入している。そのうえ、その不安の原因に気づいていない。

・給料が減るかもしれない。
・リストラされるかもしれない。
・病気で入院したらどうしよう。
・老後の生活費は足りるだろうか。
・結婚できないかもしれない。
・会社の人間関係がうまくいかない。

 不安の原因、根っこがわかれば不安は半減する。対応策も見えてくる。ところが、それに正面から向き合わないと、不安な気持ちはどんどんふくらんでいく。そして、何か安心を与えてくれるもの──「生命保険」とか「お金」とか「恋人」とか──にすがろうとする。それではまったく解決に結びつかない(どころか、別の問題を起こすことになる)。

 不必要な保険、見当はずれの保険に保険料を払い続けたら、お金は貯まらない。

 お金を貯めたいなら、自分の不安に向き合わなくてはいけない。

貯まらない人は、不安からたくさんの保険に入る。
貯まる人は、不安に保険で対応しない。