ちょっと前に、菅首相が「休眠口座(睡眠口座)のお金を国庫に移譲することを検討」していることが伝えられた。これにはちょっと、ドキッとさせられた。


20年ほど前、関西地方のある信用金庫(信金)に口座を作った。バイトの関係で必要に迫られ作ったもの。関西の一部にしか支店がなく、キャッシュカードも作ってなかったので、関西を離れて15年以上、放ったままになっている。典型的な睡眠口座。このお金、どうなってしまうのか。

元銀行員に聞いてみた。

「登録された電話番号に連絡がとれなかったり、郵便を送っても返ってきてしまうような口座は、10年を目処に整理されていたと思う。15年以上たっているのなら、口座が消滅している可能性大。お金は銀行(信金)の雑益勘定に入ったのでは」
ガーン。私のお金は信金のものになってしまったのか。慌てて通帳を引っ張り出し、信金に電話。
「お掛けになった電話番号は、現在、使われておりません」
電話番号が変わったのか。
インターネットで調べてみるが、見つからない。どうやら、口座を作った支店がなくなってしまったらしい。諦めずに本店の電話に掛けてみる。
「通帳を作った支店に連絡してください」
いや、支店が見つからないんです。
「では、お調べします……今は△△支店になっていますね。電話番号は……」
△△支店に掛けてみる。

「口座の解約ですか? 支店の方にお越し頂きたいのですが」
ここでちょっと負けそうになった。関東に引越していて、とても行けない。郵送で何とかならないか、と頼んでみる。
「では、口座番号とお名前、電話番号をお願いします。折り返し連絡します」
しばらく待つと、電話がきた。
「解約書類をお送りしますが、住所変更の手続きも必要です。
住所が証明できる書類と一緒に、返信して下さい」

ここから先はとてもスムーズだった。数日して書類が届いたが、切手を貼った返信用封筒まで入っていた。簡易書留で返信すると、すぐに指定した別の銀行口座にお金が振込まれた。2万数千円も残っていた。親切な対応に感謝。

その後、全国銀行協会のサイトを見ると、「10年や20年前の預金通帳でも、お取引き印鑑と一緒に通帳や証書を発行した銀行の支店に持っていけば、確認のうえ利息とともに引出せます」とあった。
睡眠口座のお金はいったん銀行の収益となるものの、払い戻しには応じてくれるようだ。

今回かかった費用は、電話代210円、郵便代10円(切手不足分)、振込料630円、コピー代(免許証表裏)20円の計870円。もし睡眠口座に1,000円以上残っているのなら、国のお金になってしまう前に、問い合わせてみる価値がありそうだ。
(R&S)