植松伸夫氏、アーニー・ロス氏のインタビューも掲載!

『ファイナルファンタジー』コンサートツアー“Distant Worlds”、2013年の始まりを飾るパリ公演初日をリポート!_01

 スクウェア・エニックスの『ファイナルファンタジー』(以下、『FF』)のゲーム音楽を演奏するコンサートツアー“Distant Worlds music from FINAL FANTASY”。2007年にスタートし、世界各国で行われているコンサートツアーで、昨年末、『FF』25周年を記念して日本で開催されたことは記憶に新しい。
※2012年の日本公演のリポートはこちら(初日公演)こちら(最終日公演)

 2013年最初の“Distant Worlds”は、フランス・パリからスタート。2013年1月12日、13日(現地時間)、凱旋門の西にあるパレ・デ・コングレ・ド・パリで開催された。指揮はおなじみのアーニー・ロス氏、演奏はラムルー管弦楽団、コーラスはクール・ラムルーが担当し、ソリストとしてスーザン・キャロウェイが出演した。フランスでの“Distant Worlds”開催は初で、チケットは両日売り切れになるほどの人気だった。

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 開催初日の会場には、作曲家の植松伸夫氏のほか、『ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII』のメディア向けイベントでパリを訪れていた北瀬佳範氏と鳥山求氏も訪れた。
※『ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII』メディア向けイベントの模様は→こちら

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▲会場にはキュートなコスプレイヤーさんも! こちらは白魔道士のお姉さん。
▲『FFXIII-2』セラの白魔道士コスチューム。エンゲージペンダント(『FFXIII』オフィシャルグッズ)も身につけています。さすが! 写真では確認できませんが、おそらくネコ型イヤリングもつけているのでは?

 フランスで発売された最初のフランス語版『FF』タイトルは『FFVII』ということで、セットリストは『FFVII』、続く『FFVIII』中心の内容になっていた。アーニー氏がつぎに演奏する曲のタイトルを告げるたび、会場からは大きな歓声が上がり、演奏終了後は「ブラボー!」という声の嵐。とくに、植松氏がキーボード、アーニー氏がバイオリンを担当して披露した「死界」や、第二部最後の曲「ティナのテーマ」の後は、大いに盛り上がった。また、アンコール演奏前に、アーニー氏が「私は皆さんが『FFVII』を好きなことを知っています……」と述べると、「セフィロス!」、「セフィロス!」という声が飛び交い、植松氏がコーラスに参加して、「片翼の天使」の演奏がスタート。終演後、会場は鳴り止まない拍手に包まれた。

■セットリスト
<第一部>
プレリュード(『FF』シリーズ)
Liberi Fatali(『FFVIII』)
ザナルカンドにて(『FFX』)
Don't be Afraid(『FFVIII』)
オープニングテーマより石の記憶 ~Distant Worlds(『FFXI』)
J-E-N-O-V-A(『FFVII』)
独りじゃない(『FFIX』)
Kiss Me Good-Bye(『FFVII』)
閃光(『FFXIII』)
Swing de Chocobo

<第二部>
オープニング~爆破ミッション(『FFVII』)
死界(『FFVI』)
Fisherman's Horizon(『FFVIII』)
The Man With The Machine Gun(『FFVIII』)
Melodies of Life(『FFIX』)
ゴルベーザ四天王とのバトル(『FFIV』)
エアリスのテーマ(『FFVII』)
バトル(ビッグブリッヂの死闘~シーモアバトル~闘う者達)&勝利のファンファーレ メドレー(『FF』シリーズ)
ティナのテーマ(『FFVI』)

<アンコール>
片翼の天使(『FFVII』)

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▲終演後、物販コーナーの前には大きな人だかりが!

公演前の植松伸夫氏&アーニー・ロス氏にインタビュー!

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左:植松伸夫氏
右:アーニー・ロス氏

――昨年末、『FF』25周年を祝うワールドコンサートツアーを行われましたが、東京・大阪での公演はいかがでしたか?
アーニー とてもファンタスティックでした。会場の皆さんの空気が、公演を追うごとにどんどん温かく変わっていくのが、興味深かったです。
植松 初日の東京公演は、最初、みんなが静まり返っていて。一部が終わった後に、「何が起きてるんだ!?」と思ったんですよね(笑)。

――ご存知のとおり、日本のファンは、みんなシャイですから。
アーニー もちろん、存じています。
植松 「静かにしていないといけない」と思っているのかな、って。拍手したいのにガマンしているんじゃ、もったいないですよね。好きな曲が終わったらオーッ! って拍手してうれしさを表現したほうが、気持ちいいですよね。

――大阪公演と、東京の大晦日公演では、植松さんが「盛り上がろうよ!」と前説を行ったんですよね。
植松 はい。演奏を聴いた皆さんのうれしさが、ステージ上に戻ってきたら、演奏する人もうれしいですから。よりいい演奏をしたくなる。それでまたお客さんも喜ぶ。そんないい空気の2時間半にしたいな、って。そのことを伝えたら、皆さん拍手してくれるようになりました。大晦日の公演はすごかったですよ。

――アーニーさんは、日本での年越しはいかがでしたか?
アーニー 静かでした!(笑) アメリカでは、花火が上がったりと、年越しはとても賑やかなので。公演を終えて、アパートメントのテラスに出たら、鐘の音が聴こえたんです。とても静かで、ピースフルですばらしかったですね。

――では、2012年を終え、いよいよ2013年初のDistant Worldsが始まりますが、パリで開催するのは今回が初めてですよね?
アーニー パリのオーディエンスの皆さんに会えることが、とても楽しみです。フランスでは、日本の文化に興味を持っている人が多いと聞きますし。
植松 以前からパリで開催するというお話はあったのですが、これまで実現できなかったので、うれしいですね。フランスでサイン会をしたことはあったのですが、ものすごく多くの人が並んでくださって、「これは、待たれているな!」と思っていたんです。そのときはまだDistant Worldsは存在していなくて、「いつか海外でオーケストラコンサートがしたいな」とぼんやり思っていたのですが、やっと実現しました。

――今回の公演では、どのような曲を演奏するのですか?
アーニー 日本の年末公演とはまったく異なります。土曜日、日曜日でも曲目を変えます。
植松 スーザンさんが歌う曲が変わるんですよ。
アーニー Distant Worldsを開催するときは、その国で人気のあるタイトルや、最初に発売されたタイトルは何かを調べて、セットリストを作ります。

――では、フランスで人気がある曲とは?
植松 フランスで最初に翻訳版が発売されたのは『FFVII』なので、アーニーさんは「『FFVII』の曲が喜ばれる」と読んでいますよ。
アーニー Distant Worldsのためのオーケストラスコアは、なんと85曲もあるんです。すべてを演奏するのは残念ながら無理です(笑)。今回は『FFVII』から『FFX』が中心の内容になっています。じつは、すでにフランスでの2回目の公演のお話を進めているんですが、つぎは別の曲を演奏したいと思っています。

――2013年のDistant Worldsでは、どのようなチャレンジをしたいですか?
植松 今年できるかはわかりませんが、歌ものだけのコンサートはやりたいですね。それから、特定のタイトルの曲だけ演奏するコンサートもおもしろいと思います。“FINAL FANTASY VI night”とか、“VII night”とか。それだけスコアも増えてきているので。
アーニー まだ演奏したことのない都市がたくさんありますので、新しい都市での開催が楽しみですね。クアラルンプール、ウィーン、ミュンヘン、香港……。それから、室内楽のコンサートをやりたいですね。
植松 いいですねえ。室内楽のスコアは2、3曲あるんですけど、フルの40~50分のコンサートを開催したことはないので、ぜひやりたいです。

――新しくオーケストラアレンジするなら、どの曲がいいですか?
植松 やりたい曲はいっぱいあるんですよ。『FFIV』の「赤い翼」とか。そういえば、『FFIX』の芝居(編集注:「君の小鳥になりたい」、もしくはイプセンの芝居のことかと思われる)を、ちゃんとしたひとつの音楽にしようと思ってたことを、最近思い出したんですけど、あれをオーケストラでやったらおもしろいかな、と思いますね。そういえば、『FFIX』の「独りじゃない」は、個人的に好きなのでオーケストラ曲にしたんだけど、こないだの東京公演で「「独りじゃない」がよかった!」という声が多くて、とてもうれしかったですね。地味な選曲だと思いますけど(笑)。

――「独りじゃない」は大人気曲ですよ! では、ほかに、Distant Worldsでやってみたい、おもしろいことはありますか?
アーニー そういえば、Distant Worldsでプロポーズしたカップルが何組がいるんですよ。
植松 「エアリスのテーマ」を聴きながらプロポーズすると、イエスと言われる確率が高いらしい! なんて、都市伝説みたいな話があります(笑)。
アーニー 以前、「ザナルカンドにて」を演奏しているときにプロポーズをしたい、というEメールをいただいて、実際に演奏中に、スクリーンにスペシャルメッセージを表示したことがあります。会場は盛り上がりましたよ! プロポーズする人の席にスポットライトを当てたりもしました。

――すごいですね! このことを知った日本のカップルが、つぎに日本で開催することが決まったら、アーニーさんにEメールを送るかもしれません。それでは最後に、日本のファンにひと言メッセージをお願いします。
アーニー 昨年のコンサートでは、ありがとうございました。また日本に行きたいと思っていますので、そのときはよろしくお願いします。
植松 日本では、何年かに一度しか開催していないのですが、もっとやりたいですね。年に一回くらいできるといいですね(と、スクウェア・エニックスのスタッフの方のほうを見る)(笑)。
アーニー 毎年やりたいですね!