エジプトで数万人規模の反政府デモ 「チュニジア」飛び火
3人死亡
【カイロ=花房良祐】エジプト各地で25日、合計で数万人規模の反政府デモが発生し、治安当局との衝突で3人が死亡した。エジプトのムバラク政権下で最大級の退陣要求デモとみられる。チュニジアのベンアリ前政権崩壊に触発されてインターネットで呼びかけられたもので、カイロでは中心部に集まった群衆が「ムバラク大統領は出て行け」などと抗議した。
一部はカイロ中心部のエジプト考古学博物館付近で投石を始めたほか、警察車両によじ登るなどして暴徒化。当局が放水や催涙弾で鎮圧にあたった。AFP通信はカイロで約1万人、アレクサンドリアで約2万人がデモに参加したとの当局推計などを報じた。スエズでデモ参加者2人が死亡、カイロで警察官1人が死亡した。
同日深夜も数千人のデモ隊がカイロ中心部タハリール広場で座り込み抗議を続けたが、26日未明に治安当局が強制排除に乗り出した。銃声のような音も断続的に聞こえ、多数の負傷者が出ているもよう。
25日のデモは簡易ブログ「ツイッター」や交流サイト(SNS)「フェイスブック」などを通じて呼びかけられていた。死傷者が出たことで、今年秋に予定されている大統領選に影響する可能性もある。ムバラク大統領は30年近くにわたりエジプトを統治し、再出馬するかが焦点となっていた。
エジプトでは長期の強権体制や、若年層の失業率の高さなど政変が起きたチュニジアとの社会環境の類似点が指摘されている。株式相場が伸び悩むなど投資家は混乱の波及を懸念している。