ゴールドマンサックスのFacebookへの投資は一体何を意味するのか

試験的にブログを再開します!なんと1年以上ほったらかしでした。初めてブログを書く時みたいにドキドキなので、もし気に入ったら、tweet / hatena Bしていただけると、安心します。笑


さてさて、本題。Facebookが今度は$500M調達したとのニュース。

What Goldman Sachs’ Reported $450 Million Investment in Facebook May Mean
http://www.insidefacebook.com/2011/01/03/goldman-sachs-facebook/


内訳は、ゴールドマンサックスが$450M, 以前も投資していたロシアのファンドDigital Sky Technologiesが$50M。前回、2009年5月にDigital Sky Technologiesが投資した時のvaluationが$10Bで、今回が$50Bのvaluation。

未公開企業に$50Bという意味

$50Bというのは、1 USD = 80 JPYとすると、約4兆円。既にYahoo, eBayの価値を超えている。つまり、facebookは既に十分公開できるレベルであるが、「意図的に」株式公開していない、と見るのが正しい。

ではなぜ公開しないのか。

Avoiding an IPO may be as much about talent as anything else.

とあるように、とにかく才能ある従業員をつなぎ止めるために株式公開しない、のだと言う。株式公開後というのは「創業当初から熱心に働いてくれた社員」を最も失いやすいタイミングである。ある社員が0.1%のストックオプション(簡単にするために行使価格がほぼゼロとする)を持っているとする。とすると、株式公開時にこの社員のストックオプションは$500Mの現金に交換できる。日本円にして400億円。0.1%の株式で400億円である。


もちろんこうしたキャピタルゲインを餌に採用を積極的に進めているのも事実ではあるが、逆に言えば、公開時というのはこうした社員が一気にfinancially independentになり引退する可能性が高まるタイミングでもある。facebookが公開を嫌がる理由の一つは間違いなくこの「タレント流出」であると言えよう。

ゴールドマンサックスが投資した意味

文中に

Goldman gets the inside track on underwriting Facebook’s IPO: The most obvious implication is that New York-based investment bank is leading the race to manage an anticipated IPO in 2012, which could bring in $50 to $150 million in fees to the New York-based investment bank.

とあるように、ゴールドマンサックスが株式公開時の主幹事になる可能性が高い。そして、そのフィーは$50M-$150Mになるとも書かれている。が、これだけではないだろう。


既存の株主はできるだけ早く公開してほしいと思っている。がしかし、創業者はコントロールを失いたくないがために、そして、タレントを引き止めたいがために、公開をできるだけ遅くしたい。まだ、マークザッカーバーグがある程度のコントロールを持っていると思われるので、外部株主の声が必ずしも十分に反映されていないかもしれないとも思う。ゴールドマンサックスの役割は「着実にIPOに向かわせるための監視役」なのではないか。

ここまで株主をコントロールしているFacebookの末恐ろしさ

facebookはすごいなぁと思う。未公開ながら、

For comparison’s sake, Amazon.com raised $8.3 million and Google raised just over $25 million before their respective initial public offerings. Facebook will now have raised more than $1 billion in equity investments prior to an IPO.

とあるように$1B(800億円)を調達してきた。公開前に集めた金額としては、Amazonは$8.3M、Googleは$25Mであるから、この金額がいかに非常識かが分かるだろう。


なぜfacebookはここまでの価値があると皆が思うのか。やはり、「言語依存性の低さ」だと思う。
facebookほどに簡単に文化圏、言語圏、国境を超えてしまうサービスはないだろう。もちろん、ユーザーが投稿するコンテンツは、文化依存、言語依存するだろうが、本質的にサービスそのものは、言語に依存しない。せいぜい、画面に表示されるメニューを翻訳するくらいだろう。


Googleも一見、言語依存性が低そうに見えるが、同じ検索でも、英語と日本語と韓国語では全く違う。それぞれの言語を深く理解したエンジニアが必要だ。Amazon/eBayは税関、国境という物理的な問題が起こる。その点、facebookは言語依存に左右されることがないという強みがある。これこそが、未公開にして$50Bの価値を持つとされる企業の所以なのではないかと思った。