防衛局職員が軍用地投資本 「ドル箱」「おいしい果実」


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防衛局職員が出版した軍用地投資本

 防衛省沖縄防衛局に勤務する沖縄県出身の40代男性職員が、県内の軍用地への投資を勧める書籍を出版していたことが25日までに分かった。自身も米軍嘉手納基地などの軍用地を購入し収入を得ており、地代の値上げが続く軍用地を「ドル箱」「おいしい果実」などと紹介。投資のノウハウを指南する内容で、「最大のリスクは『基地返還』」だとも説明している。防衛省は無断で出版したことを問題視し、この職員の処分を検討している。

 書籍のタイトルは「お金持ちはこっそり始めている 本当は教えたくない!『軍用地投資』入門」で、4月にすばる舎(東京都)から出版された。著者名は「里中一人」というペンネームになっている。沖縄防衛局によると、この職員本人が書籍を回収している。

 小野寺五典防衛相は25日の会見で「規律違反の有無も含め詳細を調査中で、判明した事実に基づき厳正に対処したい」と述べた。

 書籍では、軍用地は政府が借り手となり、自然災害や資産価値減少などのデメリットもないとして「究極のローリスク・ミドルリターンの投資だ」と記した。

 男性はインターネット上でも軍用地収入に関するブログを開設している。キャンプ・ハンセンを皮切りに軍用地の購入を始めたといい、2007年には嘉手納基地の土地約560平方メートルを購入し、年間約60万円程度の地代を得ている。

 書籍の中で男性は沖縄防衛局に勤務し、これまで防衛局が買い入れや借り上げをした土地・建物の財産管理業務に関わったことを明かしている。男性は現在の職務が軍用地に直接関わるものではなく「国家公務員倫理法に抵触しない範囲で執筆」したと主張している。