使い物にならない新人の共通点とは?

私の知人がある会社の人事部で採用を担当したときのこと。面接、テストと段階を重ねて採用した十数人を社内に配属したところ、しばらくして配属先の上司が人事にねじ込んできた。

「使い物にならん。気が利かず感謝を知らない、自ら学ぼうとしない奴らばかりだ」というのだ。

困惑した人事部では改めて社内調査を実施、「使える人材」と「使えない人材」を分けるポイントを探った。そしてわかったのは、「使える」と言われた新人はみな子どもの頃に親の手伝いをした経験があり、「使えない」新人はしたことがない、という事実だった。つまり「小さい頃お手伝いをしていたかどうか」が両者を分けたのだ。

以後この会社では、「子どものときに親の手伝いをしたことのない人間は、採用してはならない」と決めたという。

国の調査によれば、お手伝いをよくする子どもは非常に正義感・道徳心が強く、お手伝いをしない子はその逆だった。また東京都の調査では、お手伝いをしている子は、していない子より問題解決能力が高かった。

他人とのコミュニケーション能力、判断力、洞察力など、企業に採用され評価されるにしても他の仕事につくにしても、共通して必要とされる能力がある。仕事に困らない人間になるためには、そうした能力を早いうちから身につけねばならない。そのために「お手伝い」に勝る経験はないのである。

現代の日本で親が子どもに第一に求めることは「勉強」だ。「勉強しなさい」と言われ続けた子どもたちは、「一番大事なのは勉強だ」と思い込む。たまに「お手伝いしなさい」と言われても「家事はお母さんの仕事でしょ」と反論する。受験生の親などは「子どもに勉強以外何もさせないことが自分の仕事」と心得ている。親子とも悪しき「勉強至上主義」に毒されているのだ。

しかし子どもの勉強も、家あってのもの。生活のために親のしている仕事こそ、何より大事なもののはずである。私に言わせれば子どもが一番にすべきことは勉強ではなく、親の手伝いである。つまり「お手伝い至上主義」だ。