産経抄

文系男への逆風 7月20日

 アインシュタインのような優れた科学者や発明家は、広く尊敬を集め、国家に重んじられる。戦時下となれば、なおさらである。兵器づくりの技術や工学の専門知識があれば、兵役免除の特典もあった。

 ▼動物行動学者の竹内久美子さんによれば、戦争は、理科系男に有利に働く。ところが、平和時になると、口のうまい文科系男の出番となる。「彼らは、やすやすと女を騙(だま)し、いたるところで成功を収めるはずだ」(『浮気人類進化論』)。

 ▼「竹内理論」によれば、平和な日本で、文科系男が繁栄を謳歌(おうか)しているはずだった。実際は、さにあらず、である。文部科学省は先月、全国の国立大学に向けて、文系学部・大学院の再編を求める通知を出した。

 ▼特に教員養成系や人文社会科学系については、組織の廃止や転換に取り組むよう明記してある。政財界からの要望も背景にあるらしい。アカデミズムの追求は、一部のトップ校に任せ、大半の大学では実学を重視してほしい、というのだ。文系全体が、逆風にさらされているようにも感じる。

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