HBFav というはてなブックマーク iPhone アプリを作りました

ちょこちょこと余暇の時間を使って、HBFav という iPhone アプリを作りました。

HBFav は、はてなブックマークの「お気に入り」機能を閲覧するためのアプリです。はてなブックマークの「お気に入り」は、気に入ったユーザーがブックマークしたブックマークを一覧する機能、つまり、Twitter で言うところのタイムラインです。それを見る専用のアプリがほしかった、ということで作ったものです。

・・・ということで、繰り返すと、HBFav はタイムライン形式でソーシャル・ブックマークを楽しむためのアプリ。はてなブックマークのお気に入り機能を活用しているぜ! という方におすすめです。

HBFav は、App Store からインストールできます。

Kindle とともに

HBFav には、はてなブックマークに追加する機能や、公式のはてなブックマークアプリと連携してブックマークを追加する機能だけでなく、Instapaper と連携する機能をつけました。Instapaper はいわゆる「あとで読む」サービスで、これは後で読みたいなと思ったサイトを登録すると、良い感じに整形してくれ保存しておいてくれるサービスです。

PC や iPad で Instapaper を利用するのも便利ですが、ぼくはこのところ Kindle を使っています。

はてなブックマークで follow した人たちが運んで来てくれるニュースを日々眺めつつ、その場で読み切れないものは Instapaper に放り込んでおく。Insapaper の Kindle 連携機能を使うと、Insapaper が未読の記事を一日一回 daily で Kindle に送信してくれます。これを移動時間や食事時などに読んでいます。

最近はスマートフォン開発や Node.js に関心があるのですが、その辺りに詳しい人、いまで言うところのキュレーターを探してきて follow して HBFav を毎日眺める。読み切れないものは Instapaper に放り込んで、Kindle へ。これでだいぶ効率的に、この辺のキャッチアップができるようになりました。

はてなへの要望

API周りで要望がいくつかあるので、駄目もとで書いておく。

  • はてなブックマークへの要望
    • /naoya/favorite.rss に自分のブックマークを含めて欲しい
    • /naoya/favorite.rss にキャッシュが効き過ぎている
    • RSSフィードのレスポンスが良くなると嬉しい
    • offset ベースの paging ではなく時刻ベース(?)の paging 機能があると嬉しい
    • ユーザをお気に入りに add / remove できる API が欲しい
    • 特定の URL をブックマークしてる自分の follower 一覧が取れる API が欲しい
    • そのほか、公式アプリ用の undocumented な API をもし可能なら公開して欲しい
    • 時折 Atom API の WSSE 認証に失敗する不具合があるっぽい

以下、戯言です

Mark Zuckerberg は、いずれみんな、ニュースは友人知人経由で知ることになるだろうと言っていました。自分もそうなるだろうと思います。

2004年ころに、自分は新聞や大手のニュースをあまり見なくなっていて、情報ソースがほとんど個人の blog になっていることに気づいた時のことをよく覚えています。当時、知人に「最近自分は blog しか見ていない」ということを言ったら、少し怪訝な顔をされましたが、今、同じことを言ったら少しは違う反応が返ってくるのではないかと思います。

情報を取得するメディアがソーシャル・ネットワークにシフトしていくのは間違いないと思うし止められないと思います。おそらく Mark Zuckerberg はそれを facebook が成し遂げるという文脈でそのようなことを言ったのではないかと思いますが、ぼくは、彼らがそれを成し遂げるにはもう少し時間がかかるように感じます。

Stanley Millgram の「六次の隔たり」について触れた 新ネットワーク思考を読んだとき強く印象に残ったのは、6人を介せば友人知人に繋がるという話し・・・ではなく、いつも自分に重要な人生の転換期を与えるのは、強いつながりの人たちではなく弱いつながりの人達である・・・という「弱い絆の強み」のくだりでした。

親しい友人や会社の同僚は同じような生活様式あるいは同じような価値観/時間軸で日々暮らしている。一方、少し離れたつながりにいる人々は、異なる価値観、時間軸、生活様式に暮らしているから、そのどちらが自分にとって非連続な価値をもたらすかと言えば、後者だと、そういう話です。

情報は、そこに既知の事実が含まれれば含まれるほど、そこに情報量はないとみなされます。ただ、あまりにも自分の知らないことだらけでは、その情報には関心が持てません。関心のある情報のうち、情報的価値の高いものが自分にとって良い情報。そんな情報を持っているのは、強い絆の人たちではなく弱い絆の人たちではないだろうか、とそんな仮説を持っています。

そういう意味で facebook が表現するリアルグラフは、自分にとって重要なニュースを知るための情報源としてのグラフとしては、うまく機能しません。そのグラフは強い絆に偏りすぎています。Twitter のように弱い絆を実現できるグラフの方が有利でしょう。有事の際に Twitter がより(コミュニケーションインフラではなく)メディアインフラとして機能するのには、そういう側面があると思いました。

しかし、TwitterTwitter で、URL を伝搬させるインフラとしての機能には特化できていない。日々のコミュニケーションに必要なグラフつまりは強い絆と、情報源としてのグラフである弱い絆、これを切り離すことは容易にはできない。彼らはいずれ、そういう部分も包含しにくるのだとは思いますが。

何が言いたいかというと、この分野においてはソーシャル・ブックマークがいまもまだ有力なメディアないしインフラだと思っている、ということです。弱い絆のグラフを容易に構築できて、日々のコミュニケーションのような雑事によってそのグラフが乱されたりはしない。実際いまも自分にとって一番重要な情報源はソーシャル・ブックマークにおいて follow しているユーザーが作るコンテンツ。つまりはてなブックマークにおける「お気に入り」機能です。

お気に入り機能は、follow したユーザーがブックマークしたものを見る、つまり follow したユーザーのソーシャル・ブックマーク上におけるアクティビティを眺める機能です。今風に言えば、ソーシャル・ブックマークにおける個人のタイムライン、ということになります。facebookTwitter によって一般的になった News Feed / Timeline という概念をもって整理すれば、わかりやすいのではないでしょうか。

タイムラインあるいはアクティビティフィード、という観点から見ると、Twitter で「何を言ったか」より「誰が言ったか」の方が重要なことと同じように、何がブックマークされたかということより「誰がブックマークしたか」と言うことの方がずっと重要です。それに特化したアプリが欲しかった。

はてなブックマークのお気に入り機能を、タイムライン形式で眺めたかったのはそういう理由がありました。欲しかったけどなかったので、作りました。

ぼくにとってソーシャル・ブックマークで重要なのは人気エントリーでも、注目エントリーでもなく、このタイムラインだしこれから先もしばらくそれは変わらないように思います。いつか facebookTwitter あるいはその他のソーシャル・メディアがこの価値を飲み込む日が来るかもしれないがそれにはまだ時間がかかるだろうし。

はてなブックマークには、その時間の中でインターネット上のニュースメディアのソーシャル・インフラとなり得るチャンスが、facebook/Twitter 時代になった今でもまだあるでしょう。ソーシャル・インフラになるというのは Twitter が目指しているビジョンですが、はてなブックマークもそういうビジョンを持てる、持っても良いサービスだろうと、そんなことを思ったりした昨今です。