2004年のスマトラ島沖地震など、大規模な地震被害に直面してきたインドネシアで、災害対策に欠かせない情報システム「国土空間データ基盤(NSDI)」の構築が進んでいる。

 NSDIは地図データなどの空間情報を一元管理するシステムだ。複数の公共機関や一般企業などが利用する(図1)。NSDIを活用することによって、洪水被害をシミュレーションし、危険地域を割り出すことなどができる。

図1●インドネシア地理空間情報局(BIG)が整備する「NSDI」の利用イメージ
図1●インドネシア地理空間情報局(BIG)が整備する「NSDI」の利用イメージ
地図データの作成はパスコが、業務アプリケーションの構築はNTTデータが請け負う
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 このNSDIの構築を、日本の航空測量大手パスコとNTTデータの2社が推進している。パスコは地図データの作成を、NTTデータは地図データの検索・編集アプリケーションとネットワークの構築を担う。地理空間情報局(BIG)のアセップ・カルシディ長官は、「日系IT企業は災害対策のエキスパートだ」と期待を寄せる。

 NSDIの成否は、精度の高い地図データを集められるかにかかっている。この作業を請け負うパスコは、スマトラ島を測量・解析し、地図データとして提供する。作業面積は約30万平方キロメートル。日本の国土の8割に及ぶ広さだ。受注額は約26億円。2014年6月の納品を目指している。

 パスコは海外で複数の測量・解析実績を持つ。2012年には、タイのチャオプラヤ川流域の詳細な地形データを作成した。2011年に洪水が発生したのを踏まえ、「防災計画を検討するための基本データを集めたい」との要望を受けたものだ。2008年に中国で四川大地震が発生した際は、市街地の被災状況を解析した。