「●」が小さく見えることがあるのはどうして?


  • (ホー先生)Macの画面で「●▲■」の「●」と「■」だけが小さく見えることがあるのはなぜじゃ*1
  • 「●」と「■」が欧文フォントで表示されているからだよ。たとえばMacのFinderでは、ファイル名は「Lucida Grande優先」で表示される。Lucida Grandeは「●(U+25CF)」や「■(U+25A0)」のグリフを持っているけれど、「▲(U+25B2)」のグリフを持っていない。だから「▲」はヒラギノで表示されて、「●」と「■」だけが小さく見えるんだ。同じ理由で起きる現象としては、三点リーダの位置が下にズレたりすることも、よくあるよね。


  • Finder以外でもよくあるんじゃが。
  • Appleのソフトは世界共通の仕様なので、デフォルトは欧文フォントだよ(下図)。


  • 日本語フォントを指定すれば、この問題は避けられるのか。
  • うん。Finderでは基本的にフォントの変更はできないけどね。それから、ウェブではしばしばスタイルシートなどで欧文フォントが指定されているよね。
  • 「○と×」の「×」だけが小さく見えたりもするのも、そのせいなのか。
  • 欧文フォントでは、むしろ「○」のほうが「×」より小さく見えるよ。「×」が小さく見えるのは、ヒラギノで表示している場合。「×」はマルバツバツとして使うこともあるけれど、一義的には乗算記号。ヒラギノのデザインはインターナショナル指向で、Unicodeの乗算記号に対応する文字はプロポーショナルであるほうが自然だという考えなんだろうね。


  • そういえば、ヒラギノは引用符もプロポーショナルじゃな。
  • そうだね。ただ、乗算記号の例とは違って、引用符がプロポーショナルなのはヒラギノだけじゃなく、Adobe-Japan1-5以降のcmapを採用しているフォントに共通の仕様*2。たとえばリュウミンの引用符は、Proなら全角、Pr5/Pr6/Pr6Nはプロポーショナル。小塚だとProでも新しいcmapを採用しているので、引用符はプロポーショナル。以上の話をまとめると、下図のようになるよ。

*1:DTPの勉強会でしゃべったことをブログに書いておくシリーズ第3弾。

*2:原則としてはAdobe-Japan1-5以降のcmapなら引用符はプロポーショナルだが、イワタのPr6/Pr6Nは、独自のcmapを採用して引用符を全角にしている。