北極のオゾン濃度が1年で半減

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北極のオゾン濃度が1年で半減

南極じゃないですよ。

左は去年3月19日、右は今年3月19日の北極なのですが、明らかに昨年の方がオゾンは濃い(赤)ですよね?

これは衛星Auraに搭載されたNASAの「オゾン・モニタリング・インスツルメント(OMI)」(分光計で地球大気・地表に反射する太陽光線の量を図る機器)で計測したものです。成層圏まで含めた各層のオゾン濃度がわかる機器なんですけど、どうしたわけかこの1年でオゾン濃度、急激に減ってるようです。

昨年元旦~3月23日と今年同時期のオゾン層の変化を示すアニメーションも貼っておきましょう。

そういえば3月中旬にはドイツのAlfred Wegener Instituteも、北極圏オゾン計測基地30ヶ所から入るデータを基に「冬の終わりにかけて北極のオゾン濃度が半減した」と発表しましたよね。北極のオゾン濃度はその年によってコロコロと変動が激しく、南極ほどコンスタントにはオゾン「ホール」が形成されないのがせめてもの救いですけど...。

NASAゴダード宇宙飛行センターのポール・ニューマンさんは、オゾン破壊が北極の紫外線放射密度上昇に繋がるかどうかは「時間を置いてみないと分からない...注意は必要だが、惨事に繋がるようなものではないだろう」と話しています。

でも、なぜオゾン濃度が今年こんなに減ったのか?

その原因についてはまだ誰も説明がついていません。

オゾン破壊性の化学物質は寿命が長いので、モントリオール議定書で規制はされたのですが、塩素濃度が軽減されるまでに長い時間がかかるし、大気中にもクロロフルオロカーボン(CFC)はじめ沢山の化学物質が残ってるんですね。で、成層圏がものすごく低温になるとオゾン破壊のプロセスが早まってしまうんですが、それがここ数週間起こってる現象なのです。

NASAのニューマンさんはこうも話していますよ。

「去年は低成層圏の気温がとても高く、オゾンレベルもとても高かった。今年はその正反対だ。問題は「今年はなぜこうも成層圏が穏やかで低温なのか?」だが、これは大きな問題の割には回答がない。

こないだの窒素といい、なんとも気がかりですね。ハリー王子の北極探検、大丈夫かな?

[via NASA Earth Observatory]

関連:北極でもオゾンホール発生か - ナショナルジオグラフィック

Charlie Jane Anders(原文/satomi)