FeliCaとNFCを使った「タッチ」コミュニケーションサービスが、誰もが自由に作成できるようになったことで、多くの個人開発者が沸いている。大がかりなシステム開発が必要だった従来のFeliCa対応アプリとは違って、カジュアルな「タッチ」コミュニケーションが数多く生まれる期待がある。

 FeliCaについて言えば、以前はFeliCa対応アプリケーションを開発するのは、とてもハードルが高かった。以前は、通信事業者ごとに企画審査があり、その審査を通過したアプリに対して専用のID番号が払い出されていた。しかも、通信事業者ごとの仕様が異なっているため、通信事業者が異なる端末間の通信はそもそも道が閉ざされていた。

 それが、Androidスマートフォンでは事情が一変する。一般的なAndroidアプリと同様、個人開発者が通信事業者の許可なしに自由にアプリケーションを開発し、異なる事業者の端末間で「タッチ」コミュニケーションができるようになったのである。

 FeliCaでは、フェリカネットワークスが「Push送信機能」を2010年11月に公開。あるFeliCa対応端末をほかの端末にかざすことによって、通信相手の端末のブラウザーやメーラーのほか、任意のアプリを起動できるようになった(図1)。同社では同機能を「UIとして使い方に広がりがある」(企画部長の塩谷啓二氏)と位置付けており、従来の個人カードの代替という役割に加えて、新たな用途を開拓することにした。

図1●FeliCaのPush送信機能の仕組み
図1●FeliCaのPush送信機能の仕組み
「タッチ」をきっかけに、受信側のブラウザー、メーラー、任意のアプリ(Android端末のみ)を起動できる。