(2/6 補足書きました→「放置系ブラック研究室で楽しく生きるにあたって」の補足 - 糞ネット弁慶)
修士論文を提出し,発表を済ませた.また,これをもって大学院及び研究室に関する全ての行事が終了した(「教授が論文書けってうるさいから春休み潰れるわ〜まじないわ〜」などという学生とは違う).というわけなので三年間の研究室生活について振り返ってみる.
放置系ブラック研究室とは
そもそも我が研究室は非常に放任主義の放置系ブラック研究室であった.いくつか例を挙げると
- 論文紹介や輪講などない
- M2になってから7回程度しかゼミをやった記憶が無い
- 研究テーマが上から降ってくることがない
- 教授が卒論・修論のテーマを提出の一ヶ月前まで把握していない
- 研究しない
- 論文(書かない|書けない)
- (研究会|全国大会|諸々)(出ない|出さない|出せない)
- そもそも何がいつあって締切りがいつとか知らない
- 学生が学会に何一つ加入していない
などが挙げられる.このような環境の結果として,私は無事ノー論文ノー学会ノーポスター,業績欄及び所属学会空白で大学院をフィニッシュする予定である.
既存研究として,研究室に関する恨み言の多くは9時-21時コアタイム,無給労働が常態化した「激務系ブラック研究室」に関するものであり,このような「放置系ブラック研究室」というのはネットを見ていると非常に少ない.
放置系ブラック研究室のデメリット
放置系ブラック研究室は先ほど挙げたような項目の多くを満たすだろう.このような研究室では一般語られるような理系院生の生活を送る事ができない.その結果次のようなデメリットが生じる.
- 他大学院生と研究の話ができない
- 「締め切り前にレッドブルN本飲んだ」自慢ができない
- 「***通ったんだ〜」と言われても難易度が分からないので反応できず,愛想笑いで「えーすごいねー」と返すしかできない
- DEIMで盛り上がるタイムラインに歯ぎしりする
- 研究をしないのでエントリーシートの「いっしょうけんめいがんばったこと」欄に研究の話が書けない
- 「そもそも俺は何のために授業料を払ったんだ?」と考え始める
- ルサンチマンにかられこのような文章を書く
- Twitterで意識の高い学生を罵倒する
- 「すっぱい葡萄」を起こす
これらのデメリットは全て「努力が足りない」「要は勇気がないんでしょ?」「自己責任」「ゆとり教育乙.大学院とは自ら学ぶ場所であり云々」などのワードで片付ける事も可能だが,しかし,それらの言葉は言った側が満足するために存在するのであり,言われた側は何も解決しない.よって解決策を考える.
放置系ブラック研究室のメリット
激務系ブラック研究室と比較した場合,最大のメリットは以下の「自由」が得られることである.
- 時間の自由
- ゼミが無いという事は準備に必要な時間も自由になる
- 先輩の論文の為に作業をする必要もない
- (春|夏|冬)休みも拘束されること無く満喫できる
- 思想の自由
- テーマが降ってこないので好きなテーマに取り組むことが出来る
- 興味が持てない,データがおかしいなどという先輩の修論を引き継ぐ必要もない
これらの自由を十分に活かすには次のような行動を取るのが望ましいと考えられる.
何を目的として何をするか
ここまで挙げたメリットとデメリットを振り返ると,研究を特にするつもりの無い学生は何もしなくて良いだろう.しかし問題なのは「大学院に入ったし研究の真似事をしたり勉強したり面白そうな論文読みたい.しかし先生は質問してもあんまり答えてくれないし指導なんかしてくれない.先輩もいないので頼れない.どのようなリソースを活用してどのように行動すればいいのか分からない」という人間は一体どうすればいいか,という事である.
それには次のような事ができるだろう.
勉強会に出る
発表はしなくていいし発表内容を理解する必要も無いから面白そうな勉強会を探して出席する.で休み時間とか懇親会で適当に話しかけまくる.きっとそこには興味が合う大学生や社会人がいる.「先輩代わり」というのは響きが悪いが,そういう人たちとの繋がりの中でモチベーションを保てたり,刺激を受けるというのも重要であると考える.
そのまま興味が高まれば発表するのも良い.これは「輪講代わり」にもなるし,なにより一人で論文を読むよりもずっとやり甲斐がある.
参考
都内で定期的に開催されている勉強会.
第4回 自然言語処理勉強会@東京 : ATND
第9回 データマイニング+WEB 勉強会@東京 ( #TokyoWebmining #9) −2nd Week−方法論・ソーシャル祭り− を開催しました - hamadakoichi blog
第1回 にこにこテキストマイニング勉強会 : ATND
Tsukuba.R#9 - Tsukuba.R - Seesaa Wiki(ウィキ)
コンペティションに出る
データコンペティションというものがオンラインオフライン問わず開催されている.オンラインだとkaggle.comだったり,オフラインだと定番なのは平成22年度データ解析コンペティションのお知らせやhttp://kgmod.jp/ormining/index.php?などである.こういうのに出るメリットというのは非常にわかりやすくて
- データとテーマが与えられるので,「何をやったらいいか」というのがはっきりする
- 中間発表とか付随する勉強会で知り合いができる
という点である.この一つ目のメリットが良いと思う.目標とデータが与えられて試行錯誤するという体験を一度でもやると後々何かしらの役に立つ(本来であればこういった作業は指導教官のもとで学ぶ必要があるわけだが).
また,二つ目のメリットも良い.そういう会に出てくる人は似たような問題意識だったり興味を持ってたりするので話が通じやすい.
インターンシップに行く
折角長期休暇に対する拘束が無いのだからインターンシップに行くというのも良いと思う.就活に有利になるんじゃないかとかいう色目を抜きにしても,職場体験しながらテーマを貰って作業を行い,指導も受けて,運がよければお給料も貰えるというこれ以上無い体験である.私はインターンで「ここでも一人か二人で作業してるんだから研究室で一人でも作業できるだろ」とよくわからないモチベーションが上がった.
タイムラインを見ている感じ,研究だとNTT研究所,開発系だとPreferred Infrastructure (PFI),はてなとかライブドアのインターンシップが良さそう.あとMSRAやGoogleもインターン生を大量募集しているらしいので気力と実力がある人は申しこめばいいんじゃないでしょうか.
参考
PFI で2ヶ月のインターンシップに参加してきた - 肉とビールとパンケーキ by @sotarok
ピーFIという会社で行ったRed Bullを2ヶ月間飲み続けるだけの簡単なお仕事を振り返る - はてなかよっ!
NTTサイバーソリューション研究所でインターン - 糞ネット弁慶
はてなインターン全日程終了しました - yasuhisa's blog
近況報告 - yasuhisa's blog
livedoor Techブログ : ライブドア サマーインターンの様子 最終日 〜そして伝説へ〜
MSR Asia Intern(滞在中)のご紹介(第5回) | Microsoft Research/Microsoft Research Asia, Outreach, Japan
バイトをする
プログラム系のバイトには
- 暇が潰れて金になる
- プログラムが少しでも書けるになる
- 運が良ければ人と知り合う事ができる
などのメリットが存在すると考えられる.
また,私が今働いているDBCLSでは来年度からのリサーチアシスタントを募集している.興味のある方は統合データベース講演会: AJACS本郷8に来ていただけるとリサーチアシスタントが何をやっているかが聞けるだろう.
結論
放置系ブラック研究室でどうしたら研究の真似事などをして退屈せずに過ごすかについて書いた.
放置系というのは自由度が高すぎる故にどうしたらいいか判らない,という事が多々あると思う.
そういう時は上記の手段を用いてロールモデルを探せば楽になれると思われる.
つうか駄目ならさっさとB4で見切り付けて大学院変える方がコスト楽だし自分の為になる.