得点力不足に苦しむ浦和が、J2得点王争い独走中のFWダビ(28=甲府)獲得に向け、水面下で交渉を始めたことが28日、分かった。ペトロビッチ新体制の今季、ここ数年の低迷からは脱出したが、ストライカー不在は解消できなかった。4試合を残して首位・広島とは勝ち点6差だが、得失点差は19も開いてしまった。待望のセンターフォワードを獲得し、来季はぶっちぎりで優勝する。

 攻めても攻めても点が入らなかったC大阪戦(27日)直後、浦和の橋本光夫社長が冗談っぽく切り出した。「来季の補強は考えないといけないけど…。まあ、ダビでも取りますか?」。ダビとは無縁を強調していたが、その裏で、すでに同選手の代理人と接触していた。

 ダビは昨季、保有権を持つカタールリーグ・ウムサラルから甲府に期限付き移籍した。1年後の買い取りオプションが付いているが、資金力不足の甲府は完全移籍での獲得を断念。移籍金300万ドル(約2億4000万円)、年俸150万ドル(約1億2000万円)の総額450万ドル(約3億6000万円=金額は推定)と、高い買い物ではあるものの、ストライカーとして、Jでの実績は申し分ない。

 ダビは今季、J2で得点を量産しているが、すでにJ1の実績もある。08年度、札幌で26試合に出場し、16得点をマークし、J1得点ランク2位に上がった。翌09年には名古屋に移籍し、17試合10得点と、ハイペースで得点を重ね、シーズン途中でカタールリーグに引き抜かれた。最前線でどっしり構え、高さとパワーで相手を圧倒するタイプで、まさにペトロビッチ監督が求める1トップといえる。

 浦和は、エメルソン、ワシントンら、頼れるストライカーが所属していた時期は、J1優勝、ACL制覇などの好成績を収めていたが、近年信頼できるFW不在が響き、低迷が続いた。ペトロビッチ体制になり、中盤を圧倒的に支配しながら、決定力不足で泣いた試合も多い。

 ダビの加入で、悩みの種だった最前線がしっかり固まれば、第2の黄金期が訪れる可能性は高い。再飛躍へ、浦和は着々と準備を進めている。

 ◆ダビ

 1984年3月10日、ブラジル・セアラー州生まれ。07年期限付きでJ2札幌に加入し、J1昇格に貢献。翌08年ビトーリアから札幌へ完全移籍。09年は名古屋に所属し、シーズン途中、カタール・ウムサラルに完全移籍。北京国安などをへて、昨季甲府に期限付き移籍。今季は37試合32得点を記録し、チームをJ2優勝&J1に昇格させた。J1通算53試合26得点。利き足は左。183センチ、85キロ。