再審請求をするためには、「新証拠」が必要です。
もう少し正確に言うと、刑事訴訟法435条に
「有罪の言い渡しを受けた者に対して無罪を言い渡し・・・又は、原判決において認めた軽い罪を認めるべき明らかな証拠をあらたに発見したとき」
というのが、再審を開始するための要件です。

ここでいう、あらたに発見された、無罪を言い渡すべきことが明らかな証拠のことを、俗に「新証拠」と言っています。

では、本庄事件での「新証拠」は何でしょうか。

われわれは、2009年1月30日に再審請求をしましたが、その際、「新証拠」として
・トリカブトの毒によって死亡したとされている佐藤修一さんは、溺死であったとする法医学者の鑑定書
・共犯者とされている武まゆみさんが捜査段階で家族にあてて送っていた手紙
・武まゆみさんの証言は「偽りの記憶」に基づいたものだとする心理学者の意見書
などを提出しました。

これら新証拠の中でも、とりわけ佐藤修一さんは溺死であったとする法医学者の鑑定書は客観的な新証拠で非常に証拠価値の高いものです。
(この新証拠が具体的にどのようなものか、新証拠を得るためにどのような弁護団の活動があったかは別途報告してもらうこととします。)

このような客観的に八木茂さんの無罪を示す証拠があるにも関わらず、さいたま地方裁判所第2刑事部は八木茂さんの再審請求を棄却しました。
しかし、その再審請求を棄却した理由もおよそ科学的なものではない理由です。

私たちは現在再審請求棄却決定について、東京高等裁判所に即時抗告をしています。
さいたま地裁の決定がいかに非科学的な決定なのかについても明らかにしたいと思っています。

今、世の中では足利事件や名張事件など再審における客観的証拠に光が当てられています。
本庄事件も例外ではありません。
なかなか報道されていない部分ではありますが、本庄事件にも八木茂さんの無罪を示す客観的証拠があるのです。