女性の昇進意欲、管理職と一般社員で開き
本社・日経ウーマン 働き方アンケート
昇進への意欲は管理職と一般社員で大きな差――。日本経済新聞社が日経ウーマンオンラインと共同で実施した「女性の働き方に関するアンケート」で昇進意欲を調べたところ、役職による開きが目立った。部長・事業部長級では昇進意欲のある女性が6割を超えた一方、一般社員では管理職になりたくない女性が6割超だった。第1世代の体験を後進にどう伝えていくかも課題のようだ。
調査は日本経済新聞電子版および日経BP社が働く女性向けにネットで展開する日経ウーマンオンラインの読者を中心に10月18日~11月6日に実施。課長クラス以上の管理職742人、係長クラス以下の一般社員3146人から有効回答を得た。
今後も昇進・昇格したいかとの問いに対し、部長・事業部長クラスの女性では、34.7%が「したい」と回答、「どちらかというとしたい」を合わせると昇進意欲のある女性が61.6%に達した。一方、一般社員で管理職への昇進意欲があるのは「どちらかというと」を合わせ34.9%どまり。係長クラスでも49.1%と半数を下回った。
管理職、報われない印象も
管理職に昇進したくないと答えた人に理由を複数回答で聞いたところ、「長時間勤務でワークライフバランスがとれそうにない」が43.3%と最も多く、次いで「自分には向いていないと思う」が37.2%、「役割に見合った収入が得られそうにない」が30.7%で続いた。管理職の仕事は大変な割に報われないとのイメージがあるようだ。現在の部長らが課題にどう対処してきたかを伝える必要もありそうだ。
昇進意欲がある人にどのポジションを目指すかを聞いたところ、部次長クラスから「役員相当職」との回答が急増した。
共同アンケートによると、女性管理職のうち、転職経験がある人は56.1%と半数を超えた。このうちヘッドハントで移籍したことがある人も3割を占め、自分の実力を発揮できる場所を積極的に求めてきた姿が浮き彫りになった。
仕事満足度、部長級が最高
女性管理職の平均年収は部長・事業部長クラスで1000万円を超え、部下の数ではあまり差がない部次長クラス(884万円)を大きく上回った。初めて管理職になった年齢は部長クラスの方が若く、早い段階から高い評価を受けて順調に昇進してきたことがうかがえる。今の仕事に対する満足度でも、部長クラスの平均73点が最も高かった。
なぜ管理職に昇進したと思うかを3つまでの複数回答で聞いたところ、最も多かったのは「自分を評価してくれる上司がいた」で72.6%、次いで「過去の実績を買われた」が50.9%で続いた。3番目は「自分以外にこのポジション(職位)を担う人がいなかった」の28.0%。同年代の女性社員が少ないなかで、管理職として女性の強みを生かすことを求められてきた人が多そうだ。
仕事上で女性だから得をしたと感じるかどうかについては「感じる」「どちらかといえば感じる」と答えた人が計53.1%と、感じない人(計44.2%)より多かった。名前をすぐ覚えてもらえるなど、男性に比べて目立つことが仕事で有利に働く場面もあるようだ。
家庭環境についてみると、結婚している人は管理職全体の52.2%だった。そのうち78.1%は子供がいると回答した。ただ、未婚者を含めた全体でみると子供がいる人は37.6%にとどまる。
[日経産業新聞2011年11月29日付の記事を再構成しました]