産経新聞には、かなり長い聞き書きで読ませる「話の肖像画」というインタビュー企画がある。日経の「私の履歴書」とか読売の「20世紀の証言者」とかと同種だね。
ただ、その人間のチョイスがすばらしいっす。
今回紹介する単体の話ではなく、「話の肖像画」というの事態がパッケージで面白いのだ。惜しいことに、産経のサイトの中ではきれいな並び、コーナーになっておらず、やや一覧性に難がある。
ふざけたことに(1)から(2)に行くリンクすら無いからな………。
(そこのコーナー作ったら、そこだけにブクマされちゃうからかな?)
余談ながら、その下に自動認識で出てくる他の人へのリンク集をコピペしよう
連ニュース
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どうですか?人選、いいセンスだと思わない??
それはともかく、矢口高雄インタビューです。実は昨年末に掲載されていて、いつか機会を見て紹介しようと思ってたのだが…
【話の肖像画】漫画家・矢口高雄(1)40年ぶりに「マタギ」問う - 産経ニュース http://www.sankei.com/life/news/171225/lif1712250033-n1.html
【話の肖像画】漫画家・矢口高雄(2) 村で初めて高校進学、銀行員に - 産経ニュース http://www.sankei.com/life/news/171226/lif1712260010-n1.html
【話の肖像画】漫画家・矢口高雄(3)ツチノコと「釣りキチ三平」 - 産経ニュース http://www.sankei.com/life/news/171227/lif1712270013-n1.html
【話の肖像画】漫画家・矢口高雄(4) 「やったぜ」作品が教科書に - 産経ニュース http://www.sankei.com/life/news/171228/lif1712280009-n1.html
【話の肖像画】漫画家・矢口高雄(5)文化遺産であるはずの原画を散逸させたくない - 産経ニュース http://www.sankei.com/life/news/171229/lif1712290005-n1.html
内容は、文句なく面白い。
そもそも1939年生まれの矢口高雄は、自伝漫画の先駆者とは言わないが、自分の履歴がそのまま漫画コンテンツになると自覚し、本当に作品にするという点では、かなり本格的な人だし、少年期、思春期、青年期などそれぞれの生涯を描き、非常に優れた「昭和の地方で生まれ育った人の記録」となっている。(あとでここに関しては、新規の項目を立てよう)
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だから面白さは、折り紙付きで上の「話の肖像画」も「読みなさい」といえば済むのだが、皆さんにお知らせしたいのは、以下の部分です。
http://www.sankei.com/life/news/171225/lif1712250033-n1.html
〈デビューから50年近くがたった〉
…もう新作は描いていません。5年前、45歳だった長女を病気で亡くし、同じころ僕に前立腺がんが見つかり手術。気力を失ってしまった。左肘を踏ん張って描いていたが、その肘がたるんで使い物にならない。「釣りキチ三平」の新作を、アフリカ・タンザニアの湖にいる幻の怪魚をモチーフに途中まで描いていましたが、これが僕の限界でした。
(略)…免許も先日、返納しました。故郷の生家は母が亡くなってから空き家だったのを昨年、解体した。「断捨離」だけど、老いのわびしさはあるね。
レジェンド漫画家が「実はもう、引退してるんだよ」と事後報告された例を、わたくしはこのブログで以前紹介しています。
「空手バカ一代」「うしろの百太郎」のレジェンド・つのだじろう氏は「引退」していた…。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130917/p2
ボクシングや野球と違うので、「引退届」を出す必要もないし、逆に言うと引退届を出してない以上、区切りはないし、「引退」はいつ撤回してもいい。
この話だって、明日にも矢口氏の創作意欲がにわかに高まり、ふたたびペンを執る可能性も十分にある。
だから漫画家や小説家は、あまり引退報告や引退宣言をしないのだろう。それは当然だ。
大仁田厚のように引退興行で稼いで稼いでからまた復帰するということもないので、ブーイングを浴びることもない。
というか、クリエイターの引退試合というか「引退作品」って宣伝して売りにするってことはやっぱりまれだよねえ。
梶原一騎「男の星座」は「原作者引退作品」と銘打って連載されたが、当人が連載途上で帰らぬ人となり、あまりにもそれが惜しまれる。
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これもここのブログでさんざんかいたが、これ以上作品をかかなくても十分食っていける人が「もう創作活動やーめた」と引退してワイハで面白おかしくすごすことを選んでも文句をいう筋合いではない。
田中芳樹も冨樫義博にも、ひたすら感謝すべきなのだ。
ましてや、愛娘との逆縁まで経験したとすれば、その思いは察するに余りある。
こちらもご覧ください
【田中圭一のペンと箸―漫画家の好物ー】第16話:『釣りキチ三平』矢口高雄と自由が丘の焼肉 http://r.gnavi.co.jp/g-interview/entry/penhashi/2635
お待たせしました!日本全国の釣りキチと、そのご家族にお送りします!⇒【田中圭一のペンと箸―漫画家の好物ー】第16話:『釣りキチ三平』矢口高雄と自由が丘の焼肉 http://t.co/MOeHi06wjj #みんなのごはん pic.twitter.com/i3g1y7f2IZ
— みんなのごはん (@gnavi_gohan) 2015年10月15日
に、しても、それを飲み込んだうえで、
1939年生まれの矢口高雄氏の「引退」はさみしいものだ。
それほど熱心な読者だったわけではないが、それでも印象に強く残る作品は多い。
ありがとうございました。
また、アニメのこの主題歌がいいんだ。
人は誰でも未知の世界にあこがれ 旅に出るのさ たった一人で ときには 人生 悲しみにぶつかり ときには 青春 霧の中 さまよい 泣くこともあるけれど そうさ 心の星をみつめて 旅人は歩いて行くだけさ