元政治学者の どこ吹く風

アカデミックな政治学者には語れない日本政治の表と裏を元政治学者が大胆に論じ、将来の日本の政局を予測する。

どうする岸田内閣⁈ 支持率下落と今後の政局のゆくえ(深掘りLIVE #2)

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上の二つは同じ音源です。以下は、その文字起こし記事です。noteで配信したものと同じ内容を、はてなブログにも配信します。

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今日(8月11日)は、メンバー限定のライブの日です。今日が深掘りライブの2回目になります。

深掘りライブ1回目は、「日本の音楽大学に未来はあるか」ということで、ちょっと大学ネタを話しました。今日は何にしようか。少子化問題、大学の未来などもちょっと喋ってみたいんですが、一応、私、政治学者なので。最近あんまりやってませんが、一応、元政治学者というふうに最近は言ってるんですけれども。なので、政治ネタ、政局ネタを少し、深掘りってほどにはならないかもしれませんが、政治ネタをちょっとやろうかと思います。

タイトルは、「どうする岸田内閣ー支持率下落と今後の政局の行方」というふうにしてみました。

何が問題なのか」ということなんですが、岸田さん個人の評価ももちろんあるんですが、単なる個人的な問題だけじゃなくて、やっぱり日本の政治あるいは自民党の構造的な問題っていうのも結構あるんですよね。だからその辺にも少し話が及べばいいかなと思っています。

支持率下落で政権は倒れるのか

最初に、支持率ですね。 ちょうど一番新しいニュースだと、今日か昨日入ってきたニュースで、時事通信の調査で支持率が26.6%になったということで、つい最近、ここ1ヶ月ですね、支持率よりも不支持率の方が上がって、支持率がさらに下がってきたと。26%、だいぶ低いんですけど、ただ、それでは政権は倒れない

ちょっと過去の例を見ると、これは世代によって記憶がどれぐらいあるかわかりませんけれど、内閣支持率、最近というか一番直近で20%を切った内閣、ギリギリ野田内閣が20%ぐらいで政権末期ですね。民主党の野田内閣です。 その前の内閣が菅直人内閣なんですが、菅さんの時も20%切りましたね、最後はね。15%まではいってないですけど、17、8%ぐらいまで下がったんですね。

これは民主党内閣なんですが、民主党政権は結局、鳩山さん、菅さん、野田さんと3人が首相を務めたんですけど、いずれも20%近くまで支持率を下げて、ただ首相のトップを変えることで政権は4年間維持したという形になるわけですね。

岸田政権はまだまだ続く

これは、岸田さんがいつ辞めるのかっていう話もあるけど、これはそう簡単には辞めないですね。次もいないし、ここまで下がったところで、今しかもマイナ問題やらいろんな問題がある中で、次やりたい人もいないだろうということで、岸田政権はまだまだ続くと。いつまで続くかって話はまた後でしますけども。

ちょっと支持率に戻って、自民党政権で支持率が下がった最近、一番直近は、菅さんの時も下がった印象ありますけど、それでも30%を切ったくらいなんですね。でも20%台、今の岸田内閣よりも高かったわけですよね。

歴代の低支持率内閣を振り返る

20%を切ったのは実は、麻生太郎さん。今ね、副総理格で大きな顔してますけれども、麻生太郎さんが実は一番支持率が下がった最近の自民党内閣なんですね。15%ぐらいまで下がりましたね。 麻生太郎さんが岸田さんに、「支持率なんて気にすることねえよ」って言ってるんですが、自分の時はもっと低かったんでね、そんなこと言ってるんですが。

ただ麻生さんの時には、支持率が15%まで下がって、解散を結局打てずに、ずるずると解散を打てずに、民主党政権に政権が交代した。これが2009年の話なんですよね。 それからちょうど13年ぐらい経ってるんですけども、実はタイミングとしては政権交代の時期なんですね。

私がよく言うんですけど、大体15年サイクルで政権交代はやってくると。今までの日本の、と言っても2回しかないんですけど、1つが1993年、宮沢内閣から細川内閣へ。その後が2009年ですね。16年サイクルですね。2009年、麻生内閣から鳩山内閣へ。 それで今度、16年、ちょうど衆議院の4期分ですけども、4×4で。

解散総選挙は2025年夏過ぎの任期満了間際までずれ込む

次の16年目っていうのがちょうど2025年、今の衆議院の任期が切れる年なんですね。しかも参議院選挙が7月にある年ということで、私が言ってるのは、岸田さんはあるいは自民党は、首相が変わったとしても、解散総選挙に踏み切れずに、任期満了間際までずれ込むと。

だから、2025年7月の衆参ダブル選挙になるか、参議院選挙の様子を見てからその後に、秋口までに衆議院解散総選挙これは任期満了ですね。ほぼ任期満了で、やむなく選挙するっていう形になると思います。 ここに向けては、実はそれこそ、政権交代の可能性も含めて、政局としては久しぶりに政局が動くかもしれないということなので、野党の連携も含めてですけども、ここはもう本当に、15、6年に1回しか来ない政権交代のチャンスだっていう、そういう意識を持って野党の方には頑張ってほしいと私は思ってるんですが。ちょっとそこもいろいろとギクシャクしてるということで、なかなか次の政治の展開が見えにくいのが今の状況。

ただそれでもずるずると、2025年の夏まではこのままいくと。だから、あと2年ぐらいこの状態がずるずる続くという状況ですね。

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派閥政治は末路を迎えるのか(緊急ライブ #1)

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緊急ライブと名付けましたが 、緊急ライブというほどの緊急性は全くないんですけれども、毎週金曜日に深掘りライブというのをやってるんですが、深掘りライブはおそらく別のテーマになるだろうということで、それとは別にちょっとライブ収録をしようかなと思って、緊急ライブというふうにしてみました。

裏金問題と政局の動き

政局がちょっといろいろ動いてるんですが、自民党岸田内閣が、特に安倍派の裏金問題で揺れてまして、官房長官更迭という話になり、野党は官房長官不信任案を出すということなんですが、この辺りをどう見るかですね。

自民党っていうのは派閥レベルで動くわけです。それで岸田内閣が14日にも官房長官更迭を含む安倍派一掃の内閣改造に乗り出すということで、これで官房長官不信任決議案はほぼ効果を持たないということになるわけですが、内閣改造で乗り切られてしまうと。しかも安倍派を一掃するという。まさに自民党内の派閥争いの具にされたということなんですが、されたというかされるわけです。

派閥で物事が動いている

ここで結局、一番問題なのは自民党の中の派閥というもので物事が動いてるということです。ただ、この派閥のことは、意外と一般の人は、馴染みがないというか、よくわからないということなので、ごくごく簡単にこれまでの流れを整理しながら、いま何が起きてるのかということを少し整理しておいた方がいいのかなということです。それで、緊急ライブと銘打って、「本流は先細り、亜流は四分五裂し、そして傍流が氾濫した。派閥政治の末路」というタイトルでちょっと喋ってみようということです。

もともとは戦後政治に出発点があるんですね。戦前戦中もいろいろあったんですが、基本的には、派閥政治と言われるものが自民党の中で生まれそれが展開してきた歴史を見ると、戦後に出発点があって自由党民主党という二つの政党が、他にもくっついたんですけど大きいのはその二つがくっついて、自由民主党ってのができて、これがずっと戦後、政権を担ってきたと。二回の政権交代を除いてね、最近のね。

派閥を理解しないと日本の政治は理解できない

ということなんですが、この自民党って一体どんな政党なのか、ということがやっぱり問題になるわけです。日本の政治を考える上では、この自民党を理解しないと日本の政治は理解できない。しかも自民党を理解するには、派閥を理解しないと自民党政治は理解できない。結局、いろんな首相交代を含めて、これまでの自民党というのはやっぱり派閥力学で動いてきたわけで、今もそれで動いているということなんですね。自民党っていうのは、一つの政党、一枚岩の政党ではなくて、派閥の合従連衡で成り立っている。政権を維持するためにね。そういう政党だということなんですが、ここで大きく三つですね。細かくはいろいろあるんですが、大きく三つ、本流・亜流・傍流があります。

保守本流
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開かれた総裁選と政権安定化

(10年以上ぶりの政局ネタ更新です。ポスト安倍の総裁選出に関連してのメモ書きです。)

 

自民党総裁選において、党員投票が本格的に導入され始めたのは2001年以降である。

総裁選出の方法と政権安定化(長期化)は密接に関係している。

開かれた総裁選(党首選出)を行うことは、世論による支持につながり、政権の安定化(長期化)につながる。

 

(首相名) (在任期間) (m/d/y-)

森喜朗 387日 4/5/2000-4/26/2000

小泉純一郎 1980日 4/26/2000-9/26/2006

安倍晋三 366日 9/26/2006-9/26/2007

福田康夫 365日 9/26/2007-9/24/2008

麻生太郎 358日 9/24/2008-9/16/2009

安倍晋三 2804日- 12/26/2012-

 

総裁選出の方法

●4/5/2000 森喜朗 候補者1人/両院議員総会の話し合いで選出

387日 4/5/2000-4/26/2000

 

◉総裁選 4/24/2001 小泉純一郎 候補者4人/地方票(県連票)が1票から3票に拡大/45都道府県で地方予備選挙を実施

◎無投票再選 8/10/2001 小泉純一郎 候補者1人

◉総裁選 9/20/2003 小泉純一郎 候補者4人/各都道府県連も持ち票が党員数に応じて3票から11票までに拡大

小泉純一郎内閣 1980日 4/26/2000-9/26/2006

 

◉総裁選 9/20/2006 安倍晋三 候補者3人

第一次安倍晋三内閣 366日 9/26/2006-9/26/2007

 

両院議員総会 9/23/2007 福田康夫 候補者2人

福田康夫内閣 365日 9/26/2007-9/24/2008

 

両院議員総会 9/22/2008 麻生太郎 候補者5人

麻生太郎内閣 358日 9/24/2008-9/16/2009

 

◉総裁選 9/26/2012 安倍晋三 候補者5人/→議員投票による決選投票

◎無投票再選 9/8/2015 候補者1人

◉総裁選 9/20/2018 候補者2人

第二次安倍晋三内閣 2804日- 12/26/2012-

国民の手による政権交代へ〜民主党政権は4年続く。

総選挙による政権交代が期待されている。自民党中心の政権からの交代は、実に16年ぶり1993年以来となる。

総選挙の結果がまもなく明らかになる。間違いなく国民の手による政権交代が実現する。

16年前の政権交代は政治家の手によるものであった。1993年の総選挙では国民は動かなかった。

今から16年前の1993年7月、政治改革法案をめぐる宮沢内閣への不信任決議可決をきっかけとして自民党は分裂した。新生党、さきがけなど新党の立ち上げ、そして解散、総選挙へと政局が展開した。だがこの時、国民は動かなかった。総選挙後の政権交代を予測した者はマスコミを含め国民の中にほぼ皆無であった。選挙結果は、自民党が分裂した結果、新党が議席を獲得し自民党が減らしただけで、総選挙前と大きく代わり映えのするものではなかった。にもかかわらず、細川護熙「非自民」政権は誕生した。それは政治家の手による政権交代であった。
細川首相は、最初の記者会見において政治改革法案の年内成立を約束した。いまでいう政権公約である。マニフェスト(=政権公約)選挙が当たり前となった現在からは隔世の感があるが、これに対して当時は政治家からもマスコミからも国民の間からもかなり激しい賛否両論が渦巻いた。首相が期限を区切った政権公約を公にすることに対する賛否両論であった。
紆余曲折を経て、政治改革法は年明けに成立した。その後、国民福祉税構想の頓挫や金銭スキャンダルにより細川首相は辞任を表明する。後継には羽田孜が指名されるが、社会党が連立から離脱し、少数与党となった結果、60日余りで退陣を余儀なくされる。

次の首相指名選挙では、自民と社会党とさきがけが連立し、村山富一内閣が誕生した。これも政治家集団による政権交代劇であった。この時から現在に至るまで、連立の枠組みを変えながらも自民党を中心とする連立内閣の時代が続いている。96年1月、政権枠組みは自社さのまま、村山首相は橋本龍太郎に首相の座を禅譲する。こうして再び首相の座を自民党が握ることになった。

1996年10月総選挙は初の小選挙区選挙であった。新進党が156議席と健闘したが、国民は自社さ政権を選択した(総選挙後、社民党およびさきがけは閣外協力に転ずる)。

その後、離党議員の復党などで自民党衆議院過半数を回復する。98年5月には社民党・さきがけが連立を離脱する。だが続く7月の参院選での惨敗により橋本内閣は総辞職する。直後の自民党総裁選では小渕恵三が総裁に選出される。小渕首相が脳梗塞で倒れたあと森内閣が誕生する。

2000年6月総選挙では、森内閣の下、与党は自公保の政権枠組みを選挙前に明確にして勝利した。このとき野党は政権枠組みを最後まで明確にすることができなかった。国民は自公保政権に安定多数を与えた。


森首相の退陣後、01年7月には参院選を控えており、選挙で勝てる総裁を要望する動きが自民党内で広がる。自民党地方組織からの強い要望で、このときの総裁選において、地方予備選の実施および県連票の1票から3票への拡大が行われた。そして01年4月、地方予備選での地すべり的勝利(47都道府県中41都道府県、141票中123票)による圧勝で小泉総裁が誕生する。

小泉政権下、2003年11月総選挙では、民主党が躍進し177議席を獲得し、二大政党化状況が進んだが、自公は安定多数を確保した。国民は総選挙を通じて自公政権を選択した。2005年9月11日総選挙は、小泉政権下、郵政解散による郵政選挙であった。自民が296議席と圧勝し、国民は小泉内閣による郵政改革の継続とセットで自公政権を選択した。このとき民主党は113議席であった。

01年における小泉首相の誕生も、自民党総裁交代という形でのいわゆる「擬似的な政権交代」であった。だがそれは、当初の橋本龍太郎候補が優位という下馬票を覆したという点、さらには自民党内という制約はあれ地方票(県連票)を三倍化するという党内民主主義の拡大といううねりの中で国民的支持を意識した予備選が展開されたという点で、国民的な関心を引いた擬似政権交代であったともいえる。
小泉の総裁任期満了後、地方票においても議員票においても圧倒的多数の支持を得て安倍総裁が選出される。だが任期途中での安倍総裁の辞任、さらには福田、麻生へと総裁の交代すなわち首相の交代が相次いだ。政権の枠組みが変わらないまま、自民党総裁選によって首相の顔だけがすげ変わる「擬似的な政権交代」が続いた。

さて、まもなく2009年総選挙の開票が行われる。

今回は間違いなく4年前の郵政選挙のほぼ裏返しの結果となる。少なくとも民主党は280議席以上を獲得するだろう。民主、社民、国民新で320議席衆院の3分の2)を獲得するかどうかが一つの焦点である。
いずれにせよ政権交代という一点だけで国民は今後4年間の民主党(中心の)政権を選択することになる。
仮に鳩山政権が1年以内に崩壊するとしても、大規模な政界再編が起こらない限り、民主党政権は4年間続くことになる。

総選挙はあくまでも政権選択選挙であって首相指名選挙ではないのである。

都議選結果

投票率54.49%
自民38 民主54 公明23 共産8 ネット2 無所属2

民主の圧勝である。
民主党が第一党となり、自民党は第一党の座を失い、与党(自公)は過半数を維持できなかった。

私の予測は以下の通りだった。

投票率50%のとき
自民41 民主50 公明22 共産12
投票率55%のとき
自民32 民主59 公明22 共産11   (※民主には推薦含む)

あくまで大雑把な予測である。

投票率は50%を確実に越えそうなので、自民党の惨敗は決定的であろう。

自民党は第一党の座を失い、与党(自公)は過半数を維持できない。

2009-07-12 - たかはしはじめ日記 政治学者 高橋肇のメモランダム

ほぼ55%の投票率なので、予想との誤差は以下のようになる。

予想 自民32 民主59 公明22 共産11   (※民主には推薦含む)
結果 自民38 民主56 公明23 共産8   (※民主には推薦(ネットの2)を含む)

                                                                            • -

誤差   (+6)   (-3)   (+1)   (-3)

分析
第1に、自民対民主対決に共産が埋もれた構図が見て取れる。
第2に、民主が候補者を落とした区は3区4人であるが、票割り調整の失敗が見て取れる。
内訳は、
 大田区で2人落選
 目黒区で1人落選
 島部で1人落選
である。
大田区では、民主党田中健候補に5万票が集中した結果の2名落選である。明らかに票割り調整の失敗である。
目黒区も伊藤悠候補に3万7千票が集中している。票割りの調整次第では2名当選できただろう。
島部はもともと自民の支持基盤が厚い地域である。
第3に、民主公認候補に票が集まり、民主推薦の生活者ネットの候補が苦戦した様子が伺える。
第4に、公明党の組織票は堅固である。
第5に、思ったより自民党が善戦している。

21日解散、8月30日投票で首相と与党が合意

21日解散、来月30日投開票=衆院選日程で合意−首相・与党
 麻生太郎首相は13日午後、首相官邸で自民、公明両党幹部と会談し、連休明けの21日にも衆院解散に踏み切り、衆院選の日程を「8月18日公示−同30日投開票」とすることで合意した。首相は「貨物検査特別措置法案など重要法案が残っており、全力を挙げて成立させてほしい。しかるのち来週早々に民意を問うことにしたい」と表明した。
 首相は当初、14日にも解散を断行し、「27日公示−8月8日投開票」の日程を模索していた。この時期の解散を見送れば、「麻生降ろし」が一気に加速すると判断。直ちに解散に打って出ることで、主導権を確保する狙いがあった。しかし、東京都議選自民党惨敗を受け、同党内や公明党では衆院選先送りを求める声が大勢となっており、首相もこうした意見に配慮して投開票日を遅らせることで妥協したとみられる。
 ただ、21日の解散日については国会審議次第で、数日程度ずれ込む可能性もある。自民党内の首相に批判的な勢力が、都議選敗北の責任を追及して、首相による解散に抵抗する事態も予想されそうだ。 
 首相は13日、官邸で自民党細田博之幹事長、大島理森国対委員長公明党太田昭宏代表、北側一雄幹事長らと相次いで会談し、衆院選日程への理解と協力を求めた。太田氏は「総選挙ということなら、自公一致して頑張っていこう」と応じ、受け入れる考えを示した。この後、同氏は記者団に「都議選と衆院選はある程度間隔を空けた方がいいと主張してきた。そういう点では選択肢の一つではないか」と指摘した。
 首相は12日夜、河村建夫官房長官に電話で「自分が解散することに変わりはない。党内の意見を集約してくれ」と指示。これを受けて河村長官は、各派閥の幹部に首相の意向を伝えるなど、調整に入っていた。
 自民党町村派は13日午後、森喜朗元首相、町村信孝官房長官安倍晋三元首相ら幹部が協議し、首相の判断を尊重することを確認した。
 一方、衆院選へ自信を深める民主党は13日午後、鳩山由紀夫代表ら幹部による協議後、社民、国民新両党との3党幹事長会談を開く。自民党内情勢を分析するとともに、内閣不信任決議案の提出時期について最終調整する。鳩山氏は同日午前、不信任案と併せて検討している参院への首相問責決議案提出について「同時でなければならないということでもない」と記者団に語り、時期をずらすことを示唆した。(2009/07/13-14:16)
http://www.jiji.co.jp/jc/c?g=pol_30&k=2009071300341

この日程どおり行くかどうかは状況次第だが、ひとまず与党の政治的統合が図られた形である。(ただし、ずれたとしても28日までに解散、9月6日投票だろう。)

これで総選挙までは、自民党からの離党者はあまり出ないのではないか。

ひとまず無難な総選挙日程が見えてきてしまったので、この期に及んで集団離党するエネルギーを持っている自民党議員は多くないように思う。
さらに言えば、麻生氏に代わって貧乏くじを引こうという対抗馬もいないだろうから、総裁選前倒し論も収束していくように思われる。

要するに自民党は下野を前提に麻生総裁で総選挙をたたかうという選択をしたということである。
擬似的な政権交代(総裁の首のすげ替え)でお茶を濁すのと比べれば、これはこれで正しい責任の取り方といえそうである。

「破れかぶれ解散」か?

麻生首相は、自らの首相の座を維持するために、破れかぶれ解散に打って出るらしい。

だが、果たして押し切れるだろうか? 

国会で「ばかやろー」とでもつぶやくつもりだろうか。⇒バカヤロー解散@wikipedia

だが曲がりなりにも、首相として、自民党総裁としての、熟慮のうえの重大な決断である。考えようによっては、一年前に圧倒的多数の支持で自分を総裁に選んだ自民党の責任を問うことでもあり、かえって政党政治の責任を問うことにつながる。むしろベクトルは政党政治の再建という方向を向いているのかもしれない。無論そのことが自民党の分裂を引き起こそうとも、である。

14日にも解散、首相意向=「麻生降ろし」に対抗、与党の反発必至
 東京都議選自民党惨敗を受け、麻生太郎首相が14日にも衆院を解散する意向を固めたことが13日、分かった。首相は「27日公示、8月8日投開票」を想定している。首相としては、この時期の解散を見送れば、「麻生降ろし」が一気に加速すると判断。自ら解散に打って出ることで、主導権を確保する狙いがある。ただ、解散先送りを求める党内の多数や公明党の反発は必至で、首相が方針を貫けるかどうかは不透明だ。
 自民党関係者によると、首相の意向を受けた河村建夫官房長官が12日夜、各派閥の幹部に伝えた。民主党は13日にも内閣不信任決議案を提出する構え。首相はこの機をとらえ、解散を断行したい考えだ。 
 しかし、自民党中川秀直元幹事長ら首相の退陣を求める勢力が、都議選敗北の責任を追及するための両院議員総会の開催を求めて抵抗することが予想される。衆院選への準備期間を確保したい公明党も国会会期末の28日ごろへの解散先送りを主張しており、自公の選挙協力に影響を与える可能性もある。
 一方、衆院選へ自信を深める民主党は13日午後、鳩山由紀夫代表ら幹部による協議後、社民、国民新両党との3党幹事長会談を開く。自民党内情勢を分析するとともに、内閣不信任決議案の提出時期について詰める。(2009/07/13-05:35)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009071300037

今回の都議選の結果に基づいて、解散総選挙となった場合の選挙結果について、時事通信が東京都内の小選挙区でのシミュレーションを試算しているので載せておく。

民主の15勝10敗=都議選結果で試算−衆院小選挙区
 12日投開票された東京都議選の結果に基づき、各党候補者の得票数を東京の衆院25選挙区ごとに再集計したところ、民主党公認・推薦候補の得票数の合計が、自民、公明両党の得票数を15選挙区で上回ったことが分かった。また、民主党比例代表東京ブロック(定数17)で、8議席を獲得する計算となる。
 試算によると、民主党は全25選挙区で自民党より得票が多かった。自民党公明党の得票数を合わせても、東京2区、5〜11区、18〜23区、25区の15選挙区で民主党に及ばなかった。この中には、現行の小選挙区制で過去4回行われた衆院選で、自民党が一度も敗れたことのない8、10、11、23、25の5選挙区も含まれている。 
 民主党の候補が未定で公明党が都内で唯一、候補者を擁立する12区は、与党側が民主党を上回ったものの、6500票余りの小差だった。
 一方、比例代表での民主党以外の獲得議席数は、自民党が5、公明、共産両党が各2議席だった。(2009/07/13-05:51)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009071300038

衆院小選挙区での勝敗
     与 党  民 主
東京1区  ○
  2区       ○
  3区  ○
  4区  ○
  5区       ○
  6区       ○
  7区       ○
  8区       ○
  9区       ○
  10区      ○
  11区      ○
  12区  ○
  13区  ○
  14区  ○
  15区  ○
  16区  ○
  17区  ○
  18区      ○
  19区      ○
  20区      ○
  21区      ○
  22区      ○
  23区      ○
  24区  ○
  25区      ○
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009071300039

とりあえず、月曜日には不信任決議、火曜日までには解散というラインで動くようだ。

自民党は分裂含みの展開となる。分裂か、麻生退陣かのせめぎあいになるだろう。

また、解散ということになれば、重要法案は通せるものだけ通して残りは総選挙後にまとめて先送りという話で決着がつくだろう。

東京都議選の惨敗から麻生退陣へ

今夜は都議選に注目♪⇒http://www3.nhk.or.jp/togisen/


http://www.nhk.or.jp/togikouho/


やはり気になる東京都議選

地方公共団体の議会選挙に過ぎないという強気の見解もあるようだが、ほぼ同一のラインナップによる政党政治が展開されている以上、当然のように国政と強く連動する。


報道によると午後3時現在の投票率が29.22%で前回の25.35%を大きく上回っている。

ちなみに前回の最終の投票率は43.99%。この勢いで投票率が伸びると最終投票率は50%を確実に越え55%に近づくと思われる。

都議選、投票進む=与党の過半数、第1党焦点−深夜に大勢判明
 次期衆院選の前哨戦として各党が総力を挙げた東京都議会議員選挙(定数127)の投票が12日、約1800カ所の投票所で行われている。午後8時に締め切られ、即日開票される。大勢判明は深夜の見通し。選挙結果は、自民党内の麻生太郎首相の退陣を求める動きや、衆院解散の時期に影響を与えるのは必至だ。午後3時現在の投票率は29.22%で、前回(25.35%)を上回っている。
 党派別の立候補者数は、自民58(現有議席48)、民主58(同34)、公明23(同22)、共産40(同13)、東京・生活者ネットワーク5(同4)、社民2(同0)、諸派13(同1)、無所属22(同3)となっている。
 先の静岡県知事選など大型地方選で4連敗中の自民、公明の与党が、勝敗ラインとする過半数の64議席以上を維持できるかが焦点。都議会第1党を目標とする民主と、自民の対決結果も注目される。共産は「自公民」との対立軸を強調、地域政党生活者ネットは、生活者の視点による都議会改革を訴えた。社民は議席復活を目指している。
 衆院選の前哨戦として位置付けられる一方、経営再建中の新銀行東京への対応や、築地市場の移転問題、2016年夏季五輪招致など石原慎太郎知事の都政運営に対する各候補の姿勢を有権者が判断する機会となる。 (2009/07/12-16:19)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009071200048

選挙区ごとの詳しい選挙分析をする用意はないが、おおざっぱに結果を予想してみた。

改選前議席
自民48 民主34 公明22 共産13


投票率50%のとき
自民41 民主50 公明22 共産12

投票率55%のとき
自民32 民主59 公明22 共産11   (※民主には推薦含む)


あくまで大雑把な予測である。
投票率の伸びによる投票数の増を民主党に80%の比重で配分して、選挙区ごとの当落を予測した。

投票率は50%を確実に越えそうなので、自民党の惨敗は決定的であろう。自民党は第一党の座を失い、与党(自公)は過半数を維持できない。


敗北を前提にした上で、麻生総理はあくまで退陣するつもりはないらしい。とはいえ、どの程度の敗北を前提にしているのかはまったく不明である。

解散か退陣か首相剣が峰=カギ握る都議選、政局流動化も
 麻生太郎首相の命運が懸かる12日投開票の東京都議選。首相は直後の衆院解散、8月上旬選挙をなお模索しているが、都議選では与党の苦戦が伝えられ、自民党内の「麻生降ろし」が本格化するのは必至だ。野党による内閣不信任決議案提出の動きも加わり、政局が一気に流動化する可能性もある。
 首相は11日夜、主要国首脳会議(サミット)が開かれたイタリア・ラクイラから帰国。早速、河村建夫官房長官麻生派中馬弘毅行政改革担当相、山崎派武田良太衆院議員らと相次いで会い、党内情勢を聴取した。
 首相は、現地での内外記者会見では、衆院解散・総選挙の時期について「近々判断したい」と表明。都議選に敗北しても引き続き政権を維持する考えを強調した。武田氏らに対しても、こうした方針を伝えたとみられる。
 都議選で与党が過半数を維持すれば、首相は自らの解散判断にお墨付きを得る。逆に静岡県知事選に続く敗北となれば退陣論が強まるのは避けられない。首相が都議選直後の解散を狙うのは、こうした麻生降ろしを阻止する狙いもある。
 野党は早期解散を促すため、週明けにも内閣不信任案を出す構えだが、首相がこれを利用する形で解散に打って出ることも想定される。
 早期解散の場合、衆院選での与党の勝算は期待しにくく、実態としては「破れかぶれ解散」に近い。また、臓器移植法改正案や貨物検査特別措置法案も廃案になりかねない。反麻生勢力ばかりか首相を支えてきた派閥幹部からも解散先送りを求める声が上がるのは、こうした事情からだ。
 党内の先送り論に押されて、首相が会期末の28日ぎりぎりまで解散を見合わせれば、衆院選は8月30日か9月6日となる公算が大きい。
 一方、都議選を受け、一部の中堅・若手は15日の両院議員総会開催を求め、首相に辞任を迫る考えだ。仮に首相が受け入れれば、9月の総裁選が前倒して行われる。
 ただ、「ポスト麻生」は混とんとしている。舛添要一厚生労働相与謝野馨財務・金融相、石原伸晃幹事長代理、小池百合子元防衛相らの名が上がるが、いずれも決め手を欠く。首相が政権運営に強気な姿勢を崩さないのは、党内の「人材不足」が背景にあるとの指摘もある。(2009/07/12-00:23)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009071200005

私の予測では、都議選での自公過半数の維持はない。

自民党内で退陣論が再び一気に燃え上がるのは必至であろう。

とはいえ、重要法案の審議途中で麻生首相が「どうにでもなれ解散」に打って出ることもできないだろう。麻生太郎は、都議選がどんな結果であれ、あくまで退陣せずに国会審議を続ける決意のようである。

果たして麻生首相はいつまでもつだろうか。

昨年9月の首相就任直後の臨時国会冒頭解散という決定的なタイミングを逃したツケは大きい。それは議院内閣制の首相であるにもかかわらず総選挙を通じての民主制的正統化という手続きを欠いているが故の苦しみでもある。


参考までに昨年9月の日記をどうぞ♪
2008-09-24 - たかはしはじめ日記 政治学者 高橋肇のメモランダム
2008-09-22 - たかはしはじめ日記 政治学者 高橋肇のメモランダム
政治学者の予測もなかなかたいしたものかもしれない。


とはいえ日本の政党政治の再建なしにこの状況は−民主党政権になっても−変わらないのであるが。




↓↓著者渾身の書き下ろし。同感するところ大である。参考までに。

政治の精神 (岩波新書)

政治の精神 (岩波新書)

[rakuten:book:13211900:detail]

名古屋市議会6月定例会閉会

名古屋市議会の6月定例会が閉会しました。
昨日、中京大学の授業(3限目)が終わった後、携帯にメールが。。
中日新聞の記者の方からのメールでした。

河村市長の6月定例会の評価について、とくに市民税10%減税の継続審査と特別職の政務秘書の否決についてコメントを欲しいとのこと。
最近は別のことにかまけてぜんぜんニュースも追っかけてない・・・。汗

ということでまったく準備不足のまま時間もないまま放送大学のゼミ終了後に打ち上げの飲み会までの合間を縫って、記者さんに電話。とにかく準備がなかったのでまったく要領を得ない内容ですみません。。。。次回はせめて一日前に連絡ください(笑)

でもコメント載っちゃいました。汗

興味ある方は、7月8日の中日新聞の朝刊14面をご覧ください。まったく準備不足のコメントですみません。。。。

名古屋市長選で河村氏圧勝

太田よしろう  73,640
河村たかし  514,514
細川まさひこ 282,990
黒田克明    7,335

投票率 50.54%(投票者数 885,632人)

無党派層の圧倒的多数が河村氏に投票。自民支持層からも河村氏に票が流れる。
投票率が伸びた分は、完全に河村氏に有利に作用した。
圧勝である。公約の実現を見守りたい。

名古屋市長選

今回の名古屋市長選挙の得票予測であるが、投票率が45%の場合、河村40万、細川30万、太田6万といったあたりではなかろうか。

総選挙における愛知1区〜4区の政党別得票数の合計は次のとおりである(5区に含まれる中川区・中村区は除いてある)。

総選挙  2005年   2003年   2000年
投票率  67.51%   59.86%   64.45%
民主党  428976   403227   324998
自民党  344540   265510   242999(←公明党・保守党の得票も含む)
共産党   86709    81818   148890



第一に民主党基礎票優位。
第二に愛知1区に見られる河村人気。
第三に選挙公報を見る限り、政策的にも河村氏のほうが具体的でわかりやすい。
とくに「市民税減税10%」や「脱官僚」の訴えは有権者の支持を得やすいと思われる。
対する細川氏は政策に具体性が乏しいように思われる。「つながり力」や「筋肉質の市役所」などはわかりにくい。河村氏の優位は揺らがないだろう。

2009年度放送大学授業のご案内

平成21年度、放送大学の客員教員としてゼミを担当することになりましたので、ご案内します。
10月には面接授業も担当しますので、あわせてご案内します。

場所は、放送大学愛知学習センター 地図はこちら。
放送大学への入学案内はこちら ※平成21年度第1学期学生募集は2/28までです。



《ゼミのご案内》

2009年度第1学期
高橋ゼミ「政治学ゼミ−日本政治の現実について考える−」(4/7〜6/30の火曜日午後)

小泉旋風はもはや過去の話となり、日本の政治は安倍政権の挫折から福田政権の崩壊、麻生政権への完全なる不信へと迷走しているかのようである。いわゆる「ねじれ国会」という状況の下で、日本の議会制のありかた、競争的政党制や責任内閣制のありかた自体が揺らいでいるようにも見える。
2005年9月11日の郵政選挙からはや4年、今年9月までには総選挙が実施される。今通常国会で予算が通過した後は、政局は一気に解散・総選挙へと向かっていくだろう。
第1学期のゼミでは、現在進行中の日本政治の現実を題材に、政局関連の本なども取り上げつつ、日本政治の現実をどう見たらよいのか、ゼミ参加者と一緒に考えたい。自民党システムの今後、総選挙後の政局、政界再編と政党制のゆくえ、議会主義と内閣制、民主主義をめぐるテーマについて討論したい。ゼミの進め方についてもゼミ参加者の関心や意見を踏まえつつ決定したい。

(ゼミ予定日 4/14,28,5・12,26,6/9,23,30)
(学習相談予定日 5/19,6/16,7/14)(※時間はすべて15:00〜16:30)


《面接授業のご案内》

2009年度第2学期

日時:2009年10月17日(土)〜18日(日)
科目名:「現代日本の政治と責任内閣制」Contemporary politics and responsible cabinet system in Japan
講師:高橋肇名古屋音楽大学准教授)

授業概要:現代日本の政治について講義します。主に1970年代以降の政治を扱います。1970年代のオイルショックと経済成長の終焉、財政危機と1980年代の自由主義改革、1990年代からの自民党一党優位体制のゆらぎと連立政治、橋本行革から2000年代の小泉改革へ、さらに安倍政権の挫折と政権交代のゆくえなどを考察します。競争的政党制と議会主義と責任内閣制のあり方について考えます。成績判定は出席状況のほか、レポートの評点により行います。

17日(土)9:30〜16:40 18日(日)9:30〜16:40
場所は、放送大学愛知学習センター 地図はこちら。

シラバスにはちょっと小難しく書いてありますが、一般向けにわかりやすくお話しする予定です。
その後の政局の展開を踏まえ、安倍政権の挫折から福田政権、麻生政権にいたるまでの自民党システム崩壊のプロセス、さらには2009年総選挙と政権交代が責任内閣制の確立にどういう影響をもたらすのか、などについても考察したいと思っています。

麻生退陣から選挙管理内閣へ?

まずは、麻生内閣への支持率続落のニュースから。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/200494/
 麻生太郎内閣の支持率が、9月末の政権発足当初の44・6%から約17ポイント以上も下落し、27・5%と3割を割り込んだことが1日、産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査で分かった。不支持も58・3%と6割に迫って「支持」「不支持」が逆転し、麻生首相に対する厳しい世論が感じられる結果となった。
 麻生首相民主党小沢一郎代表のどちらが首相にふさわしいかを聞いたところ、これまでの調査では首相に圧倒されていた小沢氏(32・5%)が逆転し、首相(31・5%)を1ポイント差ながら上回った。
(以下略)

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/200643/
 首相の支持率が政権発足から約2カ月で約17ポイントも急落したのは、「人柄」「指導力」「改革意欲」「言動」といった「首相の資質」をめぐる問題がクローズアップされたからだ。また、米国発の金融危機を受け、日本経済の低迷感が深刻化する中で、緊急市場安定化対策や平成20年度補正予算案を次々に打ち出したとはいうものの、約7割の回答者が景気対策を評価していないことも、支持率を押し下げた。
(以下略)

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/200733/
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/200735/


そんな中、小沢氏は「超大連立」選挙管理内閣の構想に言及しはじめた。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/200327/
 民主党小沢一郎代表が11月28日に党首討論を終えた後、「(次の政権は)超大連立だ」と麻生政権後の政界再編を念頭に、自民、公明両党との連立も視野に入れた政権構想を語っていたことが30日、分かった。
 民主党幹部によると、28日夜、小沢氏は鳩山由紀夫幹事長、新党日本田中康夫代表と都内のすし店で会食した。その席上、小沢氏は「(麻生政権は)長くはもたない。通常国会をいつ投げ出すんだろうな」と述べた。その上で、「いずれにしろ、(次の政権は)選挙管理内閣になる。全党入れた内閣になるかもしれない。超大連立だ」と語ったという。
(以下略)

ただし、小沢氏はこの報道を否定しつつ、次のように述べている。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date3&k=2008120100621
 民主党小沢一郎代表は1日午後、埼玉県熊谷市内で記者団に対し、麻生内閣について「こんな調子でそう長く持つとは誰が見ても思えない」と述べ、近く衆院解散か退陣に追い込まれるとの見方を示した。その上で、「退陣になれば、また頭だけ代えた自公政権はあり得ない。次の内閣は選挙管理内閣として選挙をすることが仕事になる」と語った。
 小沢氏は、先月28日の鳩山由紀夫幹事長らとの会合で首相退陣後に与野党参加の「超大連立」政権構想に言及した、との一部報道を否定。ただ、「(会合では)選挙管理内閣で総選挙ということであれば、各党とも意見は一致するだろう。自公がまた、たらい回しで政権を取ることはあり得ない、と言った」と説明した。 
(以下略)

この構想をめぐっては、こんな記事も出ている。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/201094/
民主党小沢一郎代表が提唱した与野党の「選挙管理内閣」構想が、与党側の動揺を誘っている。構想が現実化する可能性は低いものの、自民党分裂の「引き金」になりかねないためだ。小沢氏は今後も、麻生政権が早晩行き詰まるとみて、第2、第3の矢を放つ構えだ。
(中略)
 小沢氏も1日、埼玉県熊谷市で記者団に対し、首相が退陣した場合の政局展望について「『選挙管理内閣』となれば、各党とも衆院選(を実施すること)で意見が一致する」との見通しを示した。
 麻生政権は、定額給付金などの政策課題で二転三転したうえ、首相自らの相次ぐ失言・放言で、求心力が回復する兆しはみえない。塩崎恭久官房長官渡辺喜美元行革担当相ら自民党の中堅・若手も、20年度第2次補正予算案の今国会提出を見送った首相に対する不信感を公然と口にするなど、党内の混乱ぶりは深刻化するばかりだ。
 小沢構想には、こうした自民党の混乱を増幅させて解散風を煽(あお)る狙いがあるとされる。これにより、選挙地盤が安定せず「逆風選挙」を警戒する自民党の一部議員を政界再編に走らせ、自民党を分裂状態に追い込み、「小沢氏の究極の目的」(自民党幹部)とされる同党解体に持ち込めるとの読みがある。
 実際、公明党幹部は「小沢氏が自民党の中に手を突っ込み始めたということではないか。彼の得意な手法だ」と警戒感を隠さない。
 与党側が小沢氏の言動に神経をとがらせるのは、今回の構想に加え、小沢氏が与謝野馨経済財政担当相と囲碁を通して交友を深めているとの事情がある。「『与謝野暫定政権』をつくろうとしているのではないか」(自民党中堅)と、自民党内で過敏な反応が出るのも、小沢氏の仕掛けに対する不安感の裏返しだ。
 また、菅直人代表代行も加藤紘一山崎拓両元幹事長と接触しているうえ、前原誠司元代表も「中川秀直元幹事長とは会っている」と周辺に漏らしている。
 民主党幹部は、「自民党分裂を導き出すシナリオは深く、静かに進んでいる。衆院選前後は政局の主導権を握れる」と語る。剛腕な政治手法で知られる小沢氏が、政府・自民党をどこまで追い詰めることができるのか。「小沢戦略」は、これからが正念場だ。

ところで、総選挙後の「大連立」構想と総選挙前の「超大連立」選挙管理内閣とは性格がまったく違うので注意が必要だ。

たとえば、自民党渡辺喜美氏は次のように述べているが、総選挙後の大連立は「願望」としてはともかく現実的には可能性はきわめて薄いと思う。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date3&k=2008120100630

この構想はおそらく、以前の記事で紹介した中曽根氏の構想に近いものである。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008111500229

だが、この構想は自民党が分裂しないまま政権を維持することを前提とした「願望」の域を出ていないように思う。



さて、政局はどう動くだろうか。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/201030/
 政局の見方はほとほと難しい。「麻生vs小沢」の攻防戦は、いま、どちらに有利に展開しているのか。久々の党首会談では民主党小沢一郎代表に軍配が上がったようだが、今後の政局を俯瞰(ふかん)すると、苦しくなるのは小沢氏のほうではないかと見る。
(中略)
 メディア調査による内閣支持率は急落しているが、政党支持率では自民党民主党を上回るケースも多い。麻生首相の放言、失言など一時的な「人気ダウン」に目を奪われると、政局展望を見誤ることになりかねない。
 麻生首相が第2次補正予算案をこの臨時国会ではなく、1月早々に召集する通常国会に提出する方針を打ち出したことは何を意味するか。これによって、第2次補正予算案に続く来年度予算案、関連法案の成立まで、「60日規定による衆院再可決」を計算に入れて、来年5月連休明けごろまでの政治スケジュールが出来上がったのである。
 表面的な見方とは裏腹に政局は「麻生ペース」で進んでいるとみていい。小沢氏に、この状況をひっくり返す秘策はあるか。(客員編集委員 花岡信昭

・・・と、こんな見方もあったりする。

要するに、麻生政権も手詰まり状態だが、野党側にも解散に追い込む決定打がないという状況には変化がないということだ。

とはいえ、総選挙前の総選挙のための「超大連立」選挙管理内閣の可能性はなくはない。



衆院解散になるには、麻生総理が解散に打って出るか、内閣不信任を決議するかしかない。それができなければ、ほぼ任期満了までまっとうすることになる。

麻生総理が解散に打って出られる条件が整うことはこの先ほぼまったく考えられない。かといって、自公が圧倒的多数の議席を握っている衆院で内閣不信任が可決される条件もない。

衆院で内閣不信任が可決される条件としては、自民党から大量の造反者が出る以外にない。(公明党が離反しただけでは足りない。)

今後ますます麻生おろしが活発化したとしても、最終的に麻生総裁が辞意を表明しない限りは、麻生政権は継続する。

いずれにせよ、自民党の分裂含みの展開抜きには、「超大連立」選挙管理内閣が現実化する可能性はきわめて薄い。逆に言えば、麻生内閣に批判的な自民党の中堅議員たちが自民党の分裂も辞さない覚悟さえ持てれば可能性が出てくる。とはいえ、現時点での言動から推測する限り、党を割って出る覚悟はまったくないように見える。

ただし、自民党の分裂回避を至上命題にすることで自民党内で麻生おろしが成功すれば、麻生の次の総裁選びと連動して「超大連立」選挙管理内閣が実現する可能性も出てくる。麻生おろしから、次期自民総裁(与謝野?)=小沢を軸とする「超大連立」選挙管理内閣による総選挙実施というシナリオである。

最も早くこれが現実化するとしても、年明け通常国会序盤から1月末にかけてだろうか?

それができなければ、総選挙は早くても「桜の咲く頃」か。

結局、官僚まかせの麻生内閣

麻生内閣になってから、結局なんら政治的リーダーシップは発揮されていない。すべてが官僚まかせで事が進んでいる。

解散もできない、総裁選もできない、完全な手詰まり状況です。

このままだらだらと衆院任期満了(9月)まで続くのだろうか。。。

確かに物理的な政治空白は生まれていないが、政治的リーダーシップがまったく発揮されていないという意味において実質的には完全な政治的空白状態に陥っている。

政権を継続するのであれば麻生首相政権公約をあらためて明確にすべきだろう。

対決路線で「1月解散」再浮上

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008111800119
 民主党は、18日午前に予定していた参院外交防衛委員会での新テロ対策特別措置法改正案の採決に応じない方針だ。17日の小沢一郎代表との党首会談で麻生太郎首相が2008年度第二次補正予算案の今国会への提出を確約しなかったため、対決路線に転換した。
 参院では18日、外交防衛委のほか金融機能強化法改正案を審議中の財政金融委員会や総務、厚生労働、経済産業、国土交通の各委員会も審議を予定。しかし、多数を握る民主党の審議拒否で、いずれも質疑や採決の日程は見送られる見通しだ。
(後略)


民主党が対決路線を明確にしたことで、「1月解散」のシナリオが再浮上してきた。

(11/5の日記)「年明け冒頭解散」か? - たかはしはじめ日記 政治学者 高橋肇のメモランダム

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/192668/
野党が今後態度を硬化させれば、与党は今国会を「60日みなし否決」規定(憲法59条)による衆院再議決を視野に来年1月上旬までの大幅延長に迫られ、「1月解散」が現実味を帯びることになる。」

野党が主導権を握る参院で審議が滞った場合、11月30日に会期末を迎える今国会の大幅延長を迫られる。参院で審議中の海上自衛隊のインド洋での活動を継続する新テロ対策特措法改正案の参院採決が行われない場合、同法案も合わせて衆院再議決される可能性もある。
 そうなれば野党側が参院で首相の問責決議案を提出する公算が大きい。首相がこの動きを逆手にとって追加経済対策を含む2次補正予算案と来年度予算案を国民に提示し、「速やかな経済対策を行うために国民の信を問いたい」として、再議決直後に衆院を解散する可能性も出てくる。」