『ニンジャ・アサシン』を観て確信した。オレはバイオレンスに飽きちゃいない。

ニンジャ・アサシン』をBDで鑑賞。

素晴らしい!ホントにホントに素晴らしい!!

R-18で制作会社がダークキャッスル。さらにウォシャウスキー兄弟とジョエル・シルバーが制作者に名を連ね、さらにさらにショー・コスギが出るというだけである程度期待はしていたのだが、その期待を遥かに上回る改心の一撃だった。タランティーノが『キル・ビル』を作り、その後日本から『片腕マシンガール』が生まれたが、それにさらにこたえる形で『ニンジャ・アサシン』が再びアメリカから作られたと言ってもいいだろう。それほどまでにこの作品は古き良き日本映画のショーケースと近年のスタント技術が渾然一体になっていたのだ。

孤児を拾って暗殺者に育てるというニンジャ集団で子供の頃から厳しく育てられたピ。そんな集団の中で唯一彼には心を通わせる女の子がいたが、ある日、本当の自由が欲しいとその女の子が集団を抜け出すという自体に。オレの居場所はここしかないとその女の子を止めることが出来なかった彼の目の前で女の子は掟破りとして無惨にも殺されてしまう。時は流れ、一流の暗殺者として育てられたピの初仕事の後、彼は意を決したように組織に対して復讐の牙を向く……というお話。

なんと言っても『ニンジャ・アサシン』の魅力は、軽快な人体破壊描写&血しぶきにある。往年の三隅研二かと思わせるくらいに血が景気良くブシュブシュと激しく飛び散りまくり、カメラに向かって切断された手や足がビュンビュン飛んで来る、文字通りの出血大サービスなのである。この手のグラインドハウス的映画ではこういう見せ場が最後の最後にやってきて、それ以外はタルかったりするのだが、『ニンジャ・アサシン』では全体にバランス良く見せ場をちりばめ、ピ演じる抜け忍の過去を断片的に少しずつことで、ダレる個所を極力少なくすることに成功している。

もちろん激しく血が出るだけじゃない。アクションの見せ方だけで言えば『キル・ビル』よりも断然うまい。長いテイクを使うだけじゃなく、全体の動きが見えるようなアングルもいいし、ここぞ!というところでスローを多用していないのも往年の香港アクションに通じる部分がある。アクロバティックなパルクールに鎖がまを使った複雑なコレオグラフなど、近年のアクションと古き良きスタントが凝縮されてるようにも思えた。

「ホントに殺し屋か?アイドル歌手みたいに見えるぞ」というセリフがあるように主演のピが大凡殺し屋には見えないのだけれど、その彼がいちいちポーズを決めるたびにグッと来たのは鍛えられた肉体のおかげだろう。絶対に逆らえない集団の父を演じたショー・コスギも歳を重ねて、異様な存在感を見せてくれる。

その内容からは想像付かないだろうが、親殺しや死に瀕した男が蘇ってくるなど神話的な要素も含んでいて見応えアリ。エロこそなかったが、バイオレンスは超ド級で純愛映画や難病ものに飽き飽きしてる方にはもってこいの快作。映画を観ていただければ分かるのだが、もしこの映画から血しぶきと人体破壊を抜いたら、ここまでの興奮にはなっていない。それほどまでに血しぶきや人体破壊というのは映画を観てる我々を高揚させる効果があるのだ。じゃなかったらこういう映画をわざわざ韓国のアイドルスターを起用してまで作らないだろう。

バイオレンスに飽きただって?少なくてもオレは飽きちゃいねーよ!あういぇ。

ニンジャ・アサシン Blu-ray & DVDセット 豪華版(初回限定生産)

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