首都圏直下型地震の予測が「震度6強」から「震度7」に引き上げられました。

報道の差異をまとめて、どういう事なのかを理解したいと思います。

震災時帰宅支援マップ 首都圏版 2011年版

「地震予知」はウソだらけ (講談社文庫)

都心部、想定外の震度7も…東京湾北部地震で : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

『首都直下で起こる東京湾北部地震で、これまで想定していなかった震度7の揺れが都心部を襲う可能性があることが分かった。

文部科学省が進めてきた地下構造調査で、地震を起こすプレート(地球を覆う岩板)の境界が約10キロ浅くなる部分があると判明したため。国は新年度、被害想定と対策の見直しを始める』

プレートが浅い部分があるので、地上の揺れが、これまで想定していたよりも大きくなる可能性がある、ということでしょうか。

『 東京湾北部地震は、国の中央防災会議が18通りの発生領域を想定している首都直下地震の一つ。震源は陸のプレートと、その下に沈み込むフィリピン海プレートの境界で、規模はマグニチュード(M)7・3。同会議が2004年に公表した震度分布の最大震度は6強だった。』

これについてはこのブログでも過去に言及しています。

▼資料:[PDF]首都直下地震の被害想定 (概要)

この資料に、これまでの被害想定が掲載されています。

22)

このように、「震度6強」までを想定していますね。「震度7」は赤色なのですけれども、この地図には赤色の部分はありません。

でも、今回の調査結果によって「震度7」のおそれが出てきたということになるわけです。

それによっては、被害の想定も、悪い方向に修正する事になるかもしれないわけです。

報道に戻って。

『 しかし、大学や研究機関などが参加する文科省の研究チームが07~11年度、首都圏約300地点に地震計を設置し、地震波を解析した結果、東京湾北部のプレート境界の深さが、同会議の想定(30~40キロ)より約10キロ浅くなる部分があることが確認された。』

調査結果について、少し踏み込んで書いてあるというわけですね。

朝日新聞デジタル:首都直下型、震度7も 岩板、推定より浅く 文科省調査 - 社会

『ただ、揺れの推定には震源域、地震がどこで始まり、どこで断層が大きく動くのかや地盤などさまざまな仮定が含まれるため、ばらつきがあるとしている。』

まあ、いつものことですが、あんまり良くわからないけど、という但し書きがあるというわけです。

首都直下で震度7も 文科省が調査 - 中国新聞

『想定されるマグニチュード(M)7・3の地震が浅いところで発生すれば、それだけ揺れの規模が大きくなるという。』

さっきの僕の考えは、外れてなさそうです。

『政府はこれまで、東京湾北部地震により、地盤の悪い東京湾沿岸部や23区東部などで震度6強になると想定。冬の夕方に発生した場合、死者約1万人、経済被害は約112兆円に上ると試算』

先程の資料に、きちんとグラフにて説明してあります。

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おっと、これによると死者「11.000人」となっていますね。中国新聞は、「約1万人」としていますが、「1千人」の差は同説明するのでしょうか。字数削減のために、削ったのでしょうか。

『首都直下地震の対策を検討している東京都の防災会議でも「震度6強の範囲が広がり、震度7になる可能性が高い」との指摘が出ている。』

可能性があるではなく、「高い」という言葉が印象的ですね。

東京都心「震度7」の可能性も 首都直下型地震で

『この研究結果は、来月の中央防災会議で正式に報告される見通し』

東京都よりも国のほうが反応が鈍いということですね。

ちなみにリンク先には報道の動画が貼り付けてありますが、福島原発の際の揺れている動画を引用するだけで、非常に単調な報道となっています。

TOKYO MX *TOKYO MX NEWS

『平野文部科学大臣は閣議後の記者会見で「震度7相当の地震が発生する可能性があるという設定でこれまで調査をしてきた。防災の在り方も強化しないといけない」』

こういうコピペを堂々と発言することが、この国の大臣の仕事なのです。

「東京湾北部地震、震度7の可能性も」 News i - TBSの動画ニュースサイト

『気象庁の震度の階級は10段階あり、「7」が最大』

ほむ。

20)

『震度7の揺れについて専門家は・・・。

「ユサユサ”ではなく 瞬間的に“バーン”という揺れ。『ガスを消しましょう』なんて調子じゃなく、瞬間何だか分からない」(防災都市計画研究所・村上處直会長)』

震度7の恐怖を、伝えています。こういう感じを伝えておくことは、重要ではないかなあと思います。つまり、地震が起きてからはほとんど人間は無力になってしまうということですね。実際、3.11の時は僕は「かみさまー」ってマジで叫びましたし。あの恐怖を忘れないで対策をしておきたいものです。

45)

『2005年に行われた耐震実験の映像。耐震補強をしていない築31年の木造住宅に震度7の揺れを加えてみると・・・土煙を上げ、わずか10秒ほどで建物は崩れ落ちました。』

しかしこの報道は間抜けですねえ。崩れ落ちた家に寄ってもだめでしょう。隣の耐震性を施した家との比較で論じないと。

『「(Q.今後被害想定も変わるのか?)結果が出ていないから何とも言えないが、そういう可能性もある」(平野博文文科相)』

てきとーだなこりゃ。

FNNニュース: 「首都直下地震」 こ...

『研究チームメンバーの東大地震研・酒井慎一准教授は「震度7だからということよりも、こういう揺れとか、こういう地震が起きるんだということを想定して、もう一度(対策を)見直した方がいいかな」と述べた。』

研究チームの学者の発言を紹介していますね。いいですね。

『専門家は「実際に起これば火災や津波により多数の死者が出る」と指摘』

地震のあとにくる、火災と津波について言及しています。

『東京23区の東部・南部、川崎市や横浜市などで震度7を観測する可能性』

具体的な地域名を出しています。

『「震度7」といえば、1995年の阪神淡路大震災や、昨年3月の東日本大震災と同規模の揺れ。首都圏は、死者10万人超という史上最悪の被害者を出した関東大震災(M7.9)並みの揺れに襲われることになる。』

比較して論じていますね。つまり、これらを参考にして対策を練らなくてはいけない、ということですね。しかし、僕はまだ、これらの地震の震度7を体験していないわけです。そういう意味で、想像がつきません。

『「首都圏はもともと地盤が弱く、こんにゃくを皿の上に乗っけて揺らしたような状態になる。耐震基準の古い住宅が密集する下町エリアでは、建物の倒壊被害が大規模に広がるでしょう。阪神淡路大震災以上の被害になる」(武蔵野学院大特任教授の島村英紀氏(地震学))』

日本人が知りたい巨大地震の疑問50 東北地方太平洋沖地震の原因から首都圏大地震の予測まで (サイエンス・アイ新書)

こ、こんにゃく……。これはインパクトある例えですねえ。でもこんにゃくなら、壊れなそう……。いい例えなのかどうか……。

『「下町エリアは大規模な火災に見舞われる。地震に伴って発生する津波で、海抜0メートルの江東デルタ地帯や、地下鉄も壊滅的な打撃を受けるでしょう」(武蔵野学院大特任教授の島村英紀氏(地震学))』

津波の可能性にも言及しています。

以上、報道の際のまとめです。

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