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チャンネルAJER 6月25日に更新しました!

『デフレ・所得・グローバル株主資本主義(後編)①』

『デフレ・所得・グローバル株主資本主義(後編)②』

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【スペシャル対談 麻生太郎×三橋貴明】
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http://www.nicovideo.jp/watch/sm18217653

 再生回数が7万を突破しました。ありがとうございます!


 先日のチャンネル桜の経済討論「亡国増税日本と世界経済の行方」が掲載されました。


【1/3【経済討論】亡国増税日本と世界経済の行方[桜H24/7/7] 】
http://www.youtube.com/watch?v=Z8ovYy7IJbM
【2/3【経済討論】亡国増税日本と世界経済の行方[桜H24/7/7] 】
http://www.youtube.com/watch?v=I9hwuyKbauM
【3/3【経済討論】亡国増税日本と世界経済の行方[桜H24/7/7] 】
http://www.youtube.com/watch?v=TTE14Ec597Y


 今回の経済討論は、チャンネル桜の経済討論史上というよりは「日本の経済討論番組」史上、最もレベルが高かった経済討論番組になっていると自負しております。何しろ、討論参加者の全員が全員「数値データ」でものを語りますので、イメージ的、フレーズ的な言論は存在していないのです。


 無論、数値データに基づき討論をしても、例えば、
「インフレ脱却策として、『日銀の通貨発行+外債購入』は可か否か」
 といった細かい論点はあります。とはいえ、基本的に「方向性」と「基盤(数値データ)」を共有していますので、ここまで高レベルな討論番組ができたのだと思います。いや、冗談抜きで、このレベルの経済討論番組は「世界的」にも難しいと思いますよ。


 さて、上記の討論番組の中で、産経新聞の田村さんが、以下のご自身の記事と同じ内容について語られているシーンがあります。


編集委員・田村秀男 強まる増税・バラマキ型財政
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120708/fnc12070807440000-n1.htm
■「投資と成長」忘れた民主政権
 民主・自民・公明3党合意による消費増税法案は、衆院に続き参院でも可決成立が必至の情勢だ。増税ではなく雇用や所得を増やす経済成長政策を競うのが大政党の役割のはずだが、増税を先行させるという政治の倒錯が起きてしまった。これまで縮小し続けてきた勤労者の平均可処分所得は、すでに実施が決まっている東日本大震災からの復興増税、社会保険料の引き上げと合わせ、一挙に5%程度減る見通しだ。
 ここで、改めて経済の成長政策を考えてみよう。
 野田佳彦政権は今月中にも「成長戦略」を打ち出す方針だが、内容は各省庁の官僚作文の寄せ集めになりそうだ。民主党政権は菅直人前首相の場合「増税した分だけ財政支出すれば景気は維持される」という机上の空論を唱える御用経済学者に惑わされ、野田首相に至っては「増税すれば、むしろ景気がよくなる」という浮世離れしたエコノミストの論理を信じてきた。
 出てきた政策は、税率引き上げによる税増収分をバラマキすればよいという「増税バラマキ型」である。復興増税や、形を変えた増税と言ってもよい社会保険料や電気料金の安易な引き上げを容認する背景になっている。
 増税経済モデルが最もよく当てはまるのが、社会保障分野だ。もとより自公政権時代でも社会保障支出は国内総生産(GDP)でのシェアを増やしてきた。硬直的な社会保障バラマキ型構造を一層拡大したのが民主党政権である。
 ◆14年間で10兆円以上
 内閣府統計をもとに、名目GDPの主要項目を2011年度と1997年度を比較し、増減の値を示す。消費税率を3%から現行の5%に引き上げたのが97年度である。98年度から慢性デフレが始まり、物価の下落を大きく上回る幅で名目GDPや家計所得が下落し始め、現在に至る。
 GDPは大きく分けて、消費、投資、輸出から輸入を差し引いた純輸出で構成される。一般に成熟した経済では家計消費が経済を安定させる基礎部分を構成し、技術革新を担う民間の設備投資が成長率を押し上げる。ところがGDP全体が51・4兆円縮小し、公共投資、民間設備投資、民間住宅投資の投資部門が43・7兆円減少した。純輸出は13・4兆円減で、投資と輸出の減退がデフレ不況の日本を形作っている。
 消費に目を転じると、家計消費は4・6兆円減だが、政府最終消費なる項目が16・1兆円も増加している。政府消費の大半は「社会保障関係の現物給付」だが、現物給付とは医療と介護の政府支出分で実に約15兆円も増加した。
 同じ社会保障支出でも年金の場合、受給者に政府から直接支払われるので、GDP統計上は家計消費に反映するのだが、医療や介護サービスも家計にとっては消費行為である。従って、日本の家計消費は社会保障現物給付を上乗せする方が実態に近い。そう計算すると、日本の実質家計消費は14年間で10兆円以上も増加したと推定できる。
 ◆肝心の人的資本疲弊
 道理で、増税しても消費は減らないと野田首相や財務官僚は強弁するはずだ。だが、バラマキの受益者は主に高齢世代であり、現役世代は高額の社会保険料と税負担にあえぎ、若者は将来への希望を喪失しつつある。経済成長を担う肝心の人的資本が疲弊するのだ。
 もう一つ、恐るべきは国内投資の萎縮である。効率の悪い公共事業を省くのは当然としても、財務官僚はバラマキ費捻出のために公共投資を減らしてきた。社会インフラ投資をやみくもに減らせば、地域経済や国土が破壊される
 さらに、民間設備投資の退潮は経済成長をマイナス方向に押し下げる。投資なくして成長はありえないのに、民主党政権は投資に目を向けず、増税で裏付けした社会保障給付やエコカー補助などバラマキにのみこだわる。
 11年1月に消費税率引き上げなど増税策に踏み切った英国は、デフレ圧力と若者の失業率増大に悩まされている。ロンドン五輪会場の外側は暗い。発券銀行のイングランド銀行はお札を大量に刷ってポンド安に誘導しているが、ブレーキをかけたままアクセルを踏んでいるわけで、成長率はゼロ%台だ。
 成長とは無縁な財政のバラマキ構造を温存したまま増税を先行させる日本の場合、日銀が今後量的緩和に転換したところで、効果は出ないかもしれない。
 3党合意以降、連日のように国内生産の縮小や技術の切り売りが報じられている。増税と円高がもたらすデフレ予想が企業の国内向け投資意欲をそいでいるのだ。参院が「良識の府」なら、消費増税法案審議の中で増税・バラマキ型の経済政策に焦点を合わせ、論戦すべきだ。』


 田村さんが書いている通り、日本のGDPを見ると98年のデフレ深刻化以降、民間企業設備投資、民間住宅、そして公共投資という「投資」の総額が43.7兆円も激減しています。GDP全体は51.4兆円減なので、投資による減少が全体の85%を占めるのです。


 消費の方は、民間最終消費支出(個人消費)は確かに4.6兆円減っていますが、政府最終消費支出の方は16.1兆円増えています。政府最終消費支出の増加分のほとんどは「保健」すなわち医療費の政府負担分です。すなわち、政府最終消費支出とは言っても、実際の最終消費者は「家計」なのです。


 というわけで、田村さんの書いている通り、
「政府最終消費支出(の保健)が事実上の民間最終消費支出の政府肩代わりで、消費全体を押し上げ、ある程度GDPを下支えしてきた
 ことが事実になります。


【図 日本の名目GDPにおける公的固定資本形成、政府最終消費支出の推移(単位:十億円)】
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http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_38.html#Seifu

※上記の年金、減税等の所得移転系の政府支出は含まれていません。


 上記の通り、デフレ深刻化以降の日本政府は、公共投資を削り、政府最終消費支出に回してきました。これは、討論の中でも言いましたが、
「近い将来の高齢者増加による医療費増加が見込まれる中、バブル崩壊で政府の税収が減っていた。そのため、公共投資(公的固定資本形成)を削り、医療費(政府最終消費支出)に充てることを続けた来たが、投資が減ったことで名目GDPが増えず、当然ながら税収が減り、それでも医療費の支払いは膨れ上がるので、またまた公共投資を削り、名目GDPが減り、税収も減るという悪循環を延々と繰り返してきた」
 と説明し、田村さんも「財務官僚がそれを認めていた」と肯定してくださいました。


 田村さんが書いている通り、投資なしの成長は有り得ません。が、上記の田村さんの記事では同意できない部分があります。すなわち、現在の日本にとって「バラマキ」とは何なのか、です。


 政府の支出は、主に以下の四つに細分化されます。


1.公的固定資本形成:100%がGDPにカウントされる政府の投資
2.政府最終消費支出:100%がGDPにカウントされる政府の消費(医療費などは国民の消費の肩代わり)
3.エコカー減税・エコポイントなど:所得移転ではあるが、政府から国民に所得が移転される瞬間、必ず「民間の消費」が発生している。すなわち、GDPが増える。
4.子ども手当、年金、生活保護などの純粋な所得移転:貯蓄されてしまうと、GDPは1円も増えない


 わたくしに言わせれば、現在の日本において「バラマキ」とは4の「貯蓄され、GDPが増えない可能性がある所得移転」のみです。1~3までは、曲がりなりにも政府(及び民間)の有効需要を増やします。すなわち、GDPを拡大し、デフレギャップ解消に貢献します。


 現在の日本に必要なのは、「需要」です。無論、最も増やすべき政府の需要は「公共投資(公的固定資本形成)」です。何しろ、国土強靭化の必要性が高まっており、さらにインフラのメンテナンス期を迎えているのです。


 とはいえ、曲がりなりにも「需要(=国民の雇用や所得が生まれる)」になる医療費(政府最終消費支出)や、あるいは「需要」を生み出すことが確実なエコカー減税系の支出まで「バラマキ」と切り捨ててしまうのは、いかがなものかと思うわけです。


 あるいは、子ども手当や年金、生活保護なども、「必ず消費、投資に回る」ように期限付きのクーポン券で配布するのであれば、これまた100%GDPに貢献するわけで、現在の日本にとっては「バラマキ」に該当しないと思うわけです。


 政府系の支出について何でもかんでも「バラマキだ! ムダだ!」などと切り捨てるのは簡単ですが、それでは思考停止です。その「政府の支出」が「国民経済」にとってどのような意味を持つのかを、定義とお金の流れに基づいて考えれば、現在の日本にとって必要な政策は、あるいは「手法」は自ずから分かると思うわけです。


 というわけで、本日は「バラマキ」について考えてみました。何しろ、この手の「定義」を日本のマスコミ(特に、自称評論家たち)は一切しようとしませんので、一度、整理しておきたかったわけでございます。


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