The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

美少女妄想乱れ不意打ち エンジェル ウォーズ

 ザック・スナイダー監督作品「エンジェル ウォーズ」鑑賞。この作品原題が「サッカーパンチSucker Punch」でこれは「不意打ち」という意味なんだけど邦題が「エンジェル ウォーズ」になったことでは色々話題になってた。主に否定的に。まあ、僕もネタとして話題にしたりはしてたんだけど実のところを言うとこの邦題はそんなに嫌いじゃない。まあ、確かにあからさますぎてダサいと思ったりはするんだけどいずれにしろ「サッカーパンチ」という意味不明(はじめサッカー=スポーツのサッカー=蹴る、パンチ=殴るという意味だと思っていた)な言葉じゃ使えないし。かといって原題カタカナ以外はどうしたって陳腐になるでしょ*1
 ついでに劇場で上映前に流れるCMとかについても。「NO MORE映画泥棒」の奴。これも今のパントマイムのもの(出てる女優さん綺麗ですね。出てる人についてはこちら)は以前の黒い涙を流す奴に比べれば全然いい。興行上必要なんだろうし。むしろ今むかつくのはマナー映像みたいな奴。劇場ごとに異なるけど。いや、マナー啓蒙自体はいいんだけど最後に「貴方の恋は応援します」みたいな余計な一項目入れるでしょ。あれがいらない。基本映画は一人で見るものだと思っているし、あれは人の内面に侵入するやり口で余計なお世話すぎる。後はついでに最近だと「キネマ旬報」のCMも微妙にいらない。閑話休題
 
 今回は吹き替え上映しかなくて、これも結構な否定的な意見が多かったりするんだけど、まあ、一応本職の声優さん(声優アイドルという形ではあれ)があてるわけだし、そんなに不安はなかった。一応一つだけ気になるのは主演のひとりヴァネッサ・ハジェンスの声が「ハイスクール・ミュージカル」の吹き替えで聞き慣れている人(折笠富美子)と違っていること。豊崎愛生さん、「けいおん!」の唯ですね。

物語

 母親を亡くしたベイビードールは遺産を狙う義父に妹を殺され施設に収容される。義父は施設の職員ブルーにベイビードールのロボトミー手術を依頼していた。
 ベイビードールは娼館にいる。そこでは女達はお客に踊りを見せ夜の相手をする。ダンスの練習でトランスしたベイビードールは空想の異世界へ。そこで助言をもたらす男から自由になるために必要なアイテムを知らされる。地図、炎、ナイフ、鍵、そしてもう一つはベイビードールだけが見つけられる「何か」。ベイビードールは仲間を伴い、自由のために踊り続ける・・・

 ザック・スナイダー監督第5作目にして初の完全オリジナル。ここまでの彼のフィルモグラフィーを見ると何気に処女作の「ドーン・オブ・ザ・デッド」が一番オリジナリティがあるなあ。「300」とか「ウォッチメン」とかだと構図まで原作どおりだったりするし。ちなみに似たようなフランク・ミラー原作「シン・シティ」もロドリゲス監督作品というよりザック・スナイダー監督作と時々勘違いする。さてそれでは初のオリジナル作品(脚本もザック)はどうだろう、というとかなりバランスが悪い作品に仕上がっている。

 パンフ読んだら思いっきりネタバレしてたので構わないと思うのだが、この物語は二重の入れ子構造になっていて、現実世界→ベイビードールの空想世界(娼館)→空想世界その2(ベイビードールのダンストランス状態)で構成されている。もっぱら我々を刺激したシーンは「空想世界その2」で派手な見た目と違って物語自体はかなり暗い。
 ベイビードールがダンスを踊りそのダンスに皆が魅了されている間に他の仲間が道具を物色する。そのミッションを空想の戦闘になぞらえて魅せてくれるわけだ。このベイビードールのダンスは実際には見せてくれないが少し寂しい。それではそんなベイビードールと仲間達を紹介。
 

 色白金髪ロリータ。背も低く二十歳には見えない*2。戦場での制服はなぜかセーラー服。武器は拳銃と日本刀。妄想癖あり。当初はおどおどした感じだが目的意識が強く皆を引っ張る。ダンスが凄いらしいが実際どのように凄いかは不明。
 

 踊り子さんたちのリーダーでロケットの姉。5人の中では一番ストレートな美少女。当初はベイビードールに懐疑的だが最後は信じるように。武器はマシンガン。ベイビードール、ロケット共に前線に出る。仲間を気遣い石橋を叩いて渡る慎重派。
 

 少し馬面であごも出てるが目鼻立ちがしっかりしたボーイッシュ突貫娘。スイートピーの妹。ベイビードールの最初の親友となり他の仲間との絆となる。盗癖あり。武器は短刀や拳銃。
 

  • ブロンディー(ヴァネッサ・ハジェンス)

 ガブリエラ。名前とことなり黒髪。先の3人からは一歩引いてサポート役に回ること多い。やはり声が「ハイスクール・ミュージカル」と違ったため、少し違和感が残った。TVをメインにしてた人は声優さんフィックスにして欲しいなあ。
 

 チチ。アジア系美人。戦場ではロボット兵器やヘリやB52などのパイロットとして活躍。一番女軍人風の格好をしている。お得意様は市長。
 

 初代シルク・スペクター。治療の一環としてベイビードールたちにダンスをさせたり、芝居をさせたりする。ポーランド人。悪い人ではない。カーラ・グギーノは「ウォッチメン」に引き続いての出演なのでザック作品常連かと思ってしまうがまだ2作目。やっぱり「シン・シティ」のルシールも印象に強いからだろう(ということは彼女はロドリゲス作品の常連でもある)。
 

  • 賢者(スコット・グレン)

 トランス中のベイビードールにアドバイスをし、それ以降はミッションの内容を伝える。物語中完全に空想の人物(一応似たおっさんが登場するが)だがほぼ唯一理想の大人。おそらくベイビードールの実の父親が理想化されたものだと思われる。スコット・グレンは未だに「羊たちの沈黙」のイメージ。あれでもクラリス父親のイメージがあった。

 予告編などで魅せてくれた「空想世界その2」はミッションのたびに変わる。最初は日本寺院みたいなところで巨大な鎧武者(でも機関銃とか持ってる。バルカンレイブン!)と戦ったりする。その後戦場は対ゾンビナチス兵だったり、「指輪物語」風オークとドラゴンだったり、キャシャーン(最初のアニメのほうね)風列車の中でロボット相手だったりと統一されていない。にも関わらずベイビードールたちの衣装が変わらないところが素晴らしい。
 正直、好き嫌いがはっきり分かれる作品だと思う。かなりザックの脳内具現化というか公私混同のプライベートフィルムの趣。僕は大好きな作品になったが、嫌いな人も多いだろう。後味も悪いしね。でもエンドクレジットで全て許せました。

エンジェル ウォーズ オフィシャルガイド (ShoPro Books)

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Sucker Punch

Sucker Punch

 サントラがビョークちっくボウイちっくな感じで(実際ビョークは曲提供してるみたい)好み。
 
 でもなあ!5人の中で好みのヴァネッサとジェイミーがあんなことになってしまうのは・・・
 もうあんなラストはカリガリ、じゃなかったコリゴリだよ!(軽くネタバレ)
カリガリ博士【淀川長治解説映像付き】 [DVD]

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*1:一応言っとくとこの手の邦題を無条件で受け入れてるわけではない。例えば「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズはやはり「指輪物語」にすべきだったと今でも強く思う

*2:ほか4人はむしろむっちり体型