コラム

アイディアを出すためのさまざまなノウハウ「ありきたりが意味を持つとき」7カ条


CM制作の第一線で活躍するクリエイターはどのような発想法や着眼点で作品を作っているのか?という点に注目し、NHKが「NHKミニミニ映像大賞」のページ内にて「Masterpiece ミニミニ映像のつくりかた」というコーナーを開設しています。実際にNHKでも放送された全4回がそのままネット上で閲覧可能になっており、特に最終回、CMプランナーである安西俊夫氏の「ありきたりが意味を持つとき」という反応の技法に関する回が特に秀逸でした。

話の中身自体は主に「どうすればアイディアを出せるのか?」という点に絞った内容になっており、アイディアや企画を出すための発想・着眼点について基本的な戦略を網羅、かなりいろいろなジャンルに応用でき、非常にためになる話となっています。

7カ条のまとめは以下から。
NHKミニミニ映像大賞
http://www.nhk.or.jp/minimini/m07juku/


1本約15分あります


安西俊夫氏の紹介


◆piece 01:「自分の記憶から洗い出す」


思いつくというのは思い出すこと。この世に100%新しいものはない。ある作品の子どもの頃の記憶であったり、懐かしさであったり、ひたすら好きであったという気持ちであったり、それを少しは思い出している。どこか遠くを探しても見つかることはない。答えがあるとしたら自分のおなかの中にしかない。思い出すきっかけと、何を思い出すかが重要。つまり、記憶。記憶には何種類もあるが、中でも未編集の記憶と言われる「クオリア」が相当大きい。そしてきっちり編集された記憶を「教養」という。いろんな人から集められ、効率的にできているので、教養がある方が有利。端的な教養の増やし方は古典を読むこと。オススメはギリシャ神話。いろんなインデックスが全部入っている、間違いない。

◆piece 02:「形が似ているものを探す」


アナロジー、類似、似ていること、同じこと、しかもぜんぜん違うこと。まったく同じなのにまったく違うということが強制的に何かを思いつく発端になることが多い。人の記憶の中で一番勝ち目が高いのは、「形が同じこと」。しかも正反対だとなお良い。

例えばこういう形はろうそくの炎にも似ているし、水の滴にも似ている。


同じような形をしているというのが人の記憶の中に入っているかも知れない。片方は水で片方は火。それが同居したときにどんな感じがするだろう?ということ。実を言うとオールマイティではないが、もっともオーソドックスで古びることのない方法。要は王道。

◆piece 03:「意味が似ているものを探す」


核の傘」というような言い方。意味は同じ、意味が似ている。表しているものの意味が似ているという言い方で、話が広く大きくなる、使いやすいと言っていい。いろいろなスローガンや標語で使われている。逆に言うと、つまんないことが多い。本人が思いついて喜んでいることほど、見ている人には面白くない。なぜかというと象徴的(シンボリック)なものに価値や意味を込めているので、見ている人が想像する余地がない。しかし形が似ているぐらいだと、これどういう意味なんだろう?とまだ思わせるところがある。使いやすく思いつきやすいが安易に飛びつかない方がいい。苦しくても形が似ているものを探した方がうまくいくことが多い。

◆piece 04:「言葉を効率的に使う」


意味を伝えるのに一番効率的な表現要素は、実は言葉。言葉というのは言えば言っただけのことなので、「愛」と言えば、愛を感じるかどうかは別にして、「愛」の意味を提示するだけなら、言葉が一番効率的。スピードも早いし誰でも使えるので、上手に使わないと言葉の使い方次第では、作り手自身や映像のクオリティがその言葉ひとつでもって、たかが知れてしまう。へたに使うと墓穴を掘るが、上手に使うとすごい破壊力がある。

◆piece 05:「ありきたりの映像素材を使う」


製作している人にとってどこにモチベーションがあるかというと、自分の気が済むかがモチベーション。結局「オレの」になる。それが自分の「オリジナリティ」というものになる。すると、映像がオリジナルでなければならないと思ったり、描かれている映像がスペシャルオーダーメイドである必要があると思ってしまうが、そうとは限らない。スペシャルオーダーメイドの映像は退屈への第一歩。本人の気が済むかどうかだけの問題であって、見ている人にとってはわかりにくいだけで終わってしまうことがある。「わからない」というのは「つまらない」ということ。

映像素材はありきたりのものにした方がよい。なぜかというと当たり前のものが出てくるとまず「わかる」から。その素材が考えもしない意味を持っていたらということを考えて欲しい。スペシャルオーダーメイドで成功することもあるかもしれないが、初めから奇妙な格好をして面白くても「ああやっぱりね」になる。あたりまえのものでとても不思議な意味やすごく大切な意味を表すことができたらすごくあたりまえなぶん、すごく成功する。

◆piece 06:「生理的に反応させる」


「梅干し」というものがある。


茶色からかなり赤いものまで、コリコリと固い小粒なものからほとんどクリームのような柔らかい梅干し、よぅくしげしげと見てみると、指で押せば少しへこみ、子細に見ると漬けたときの塩の粒がいくつか浮いている……こうやって話しているとここがおかしくなりませんか?


「梅干し」というひと言に少し説明を加えるだけで生理的な反応が起きる。わかるわからない、おもしろいおもしろくないではなく、気持ちがいい悪いでもなく、イヤも応もなく生理的な反応をほとんどの人に思い起こさせてしまうというのは、ありきたりを超えた究極のもの。

「ひぐらし」という言葉がある。


秋の悲しげな感じ、寂しげな感じ、別れの感じ、となるとなぜか「ひぐらし」という単語になる。ところがひぐらしは梅雨明けからずっと鳴いている。ところがひぐらしが鳴くとああ秋だと思う。これは梅干しほどではないが、生理ではなく感情的(エモーショナル)なもの。いやも応もなく強制的に反応させる「ありきたり」なもの。

◆piece 07:「音で映像に気持ちを加える」


映像と言っても単に映像と思わない方が良い。さまざまな要素が入って映像と言っているはず。まず一番大事なものは目で見るものだと思ってしまうが、所詮映像は目で見ているだけ、しかも目で見ている以外のものにならない。が、音は違う。音は目で見ているものに制約されない。映像には心がない、音によるリードがないと映像に気持ちはかからない。SE(効果音)というのは、評価不能なもの。譜面通りに聞くしかない、特に映像が付いていたりする場合。上手に作られた効果音には見ている人の記憶を再認させる効果がある。気持ち上のことを表す手堅い方法は音楽。オリジナルなものであっても、有名な曲でもかまわない。端的には「メロディー」。

また、最後のオマケも秀逸でした。以下がその部分です。


若い人が企画を持って来て見せに来る、これでよろしいですかという聞き方。これでみんなといっしょになれましたか?というように聞かれている気がする。みんなと一緒になってどうするんだという感じがする。世の中に出したときにはみんなと一緒だから許して下さいというのはあまり通用しない。課題を与えられたらそれを問題だと受け取って、答えを作らなければならないと思うのは間違い、回答を持っていくのではない。問題を持って行かなきゃ、問題を持って行って相手に解かせる。もし解けたらほめてやる、出題した人間のことを。よくわかったね、と。それぐらいの気分じゃないと。大げさにいうとやらしく聞こえるけれどもこっそりほめればいい。回答を持って行くより問題を突きつける方が考えていて楽しいはずですよ。

ほかにも、「ミニミニ映像の作り方」という名前の4.7MBもあるPDFファイルやアニメの作り方をまとめてある「神南アニメクラブ★トヨムラレポート」という1.49MBのPDFファイルも必見です。

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in 動画,   コラム, Posted by darkhorse

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