シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

やっぱり軍事力!とかいっているヤツはバカだった、の巻

趣味は外道釣り。シートンです。
前回のエントリーは予想通り、バカが大量に釣れました。


軍事力はやっぱり無駄だった、の巻
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20100926/1285487235


しかしまぁ、「軍事力が充分じゃなかったから中国にしてやられたのだ」みたいなコメントには笑いましたな。オマエら、統幕長か何かのつもりかよ。それともエア大元帥か。

id:momo21C 政治 軍事力がなかったら尖閣は占領されてるよ。アホじゃね。パワーバランスとか全く理解出来ないんだろうな

id:souzenzi 軍事力があってその上のレベルのやり取りが可能になるのであって、軍事力がなかった場合のシミュレーションが度外視されている。

id:hatenkou001 軍事力がなかったら話にもならない。

id:TakamoriTarou web, 社会 軍事力と言えば武力衝突への対処だけ想定している辺り偏ってるなぁ。世の中には右と左以外にも行くべき道はある。ロシアはとかはまさにだが、前面の経済戦争を軍事力で側面支援する国が増えていくのに対処は必要


まぬけ連中が喚いてますな。で、戦力を増強したらどうだって?
例えば、戦力確保して尖閣諸島に配備したとしようか?で、漁船がどんどん接近してきました。どうする?そんなものが本当にプレゼンス、になると思ってんの?


オレの大砲はぶっとくて、早いぜ!なんて、巨○自慢の早○みたいなセリフ吐いたって関係無いんだよ。


海上保安庁が逮捕 → レアアース輸出制限を含めた経済措置 → 白旗  なのに、
新日本帝国海軍陸戦隊(または、新日本帝国陸軍島嶼守備隊)が攻撃 → 通商停止 → 白旗


の(おまえらのいうところの)死亡フラグには変わりがない。
軍事力による対応の場合、より影響は大きく、深刻になるだろう。その収支勘定が出来なければ、軍事力なんたら、の話は出来ないんだわ。


もちろん、通商停止の影響は中国にも及ぶ。

id:yoshihiroueda 中国 なるほど軍事力よりも経済か。困るのは向こうも同じだと思うけどな。

id:mizoguche politics 貿易ってお互いに利益があるはずで、中国が日本と取引しないってのなら、中国にも不利益が出るんですよね。って前提が見えませんでした。

id:ID_u1nje3rh 経済 たった一国だけに完全依存した貿易してるならそうだけど、世界は沢山の国が有るんだけど…


が、経済状況は活発で12億の内需を抱えて資源大国の中国と、長年続く不況で高齢化によって市場縮小*1の日本では、互いの依存度が全然違う。まるで非対称な関係なの。


中国にとっての最大の貿易国はアメリカで、欧州各国も中国市場を狙っている。日本企業がオミットされればチャンスが広がる。だから、中国にとって日本との通商停止は日本ほどのダメージは被らない。
もちろん、中国にとってのダメージだって軽視できるものじゃないから、そのダメージが見合う範囲でしか強気に出られない。逆に日本の財界にとって、尖閣諸島くらいじゃ通商停止のダメージは割に合わないが、沖縄や本土へ及ぶ場合は「割に合う」だろう。
軍事力の行使なんてのは損得勘定して割に合う場合に行うもので*2、その折り合う境界が両者のパワーバランスを支える。
極々当たり前のこんな事が判らないバカが、

id:mahal 軍事 因みに、軍事力を「全く」利用できない状況での離島がどうなるかの格好のケーススタディが、本朝の島根県沖に1件転がっております。

id:etherealcat 軍事力は外交上のカードとなるものだけど、もしこれが沖縄に無ければ、今回の騒動は尖閣ではなく沖縄本島を対象に発生していた可能性がある。

id:vid 軍事力が無いとどうなるかの事例は、松島(竹島)と北方四島。軍事力で好き勝手が日本近海の「謎の潜水艦」。そういや、中国海軍は沖ノ鳥島周辺でも動いたことがあったな。

id:zeph09 トンデモ 年間ん億ドル以上の貿易に釣り合うまでは、沖縄や対馬などをどんどん手放してゆくんですね。

みたいな均衡点を考えない“ドミノ理論*3”脳が涌いてくる。


だから、例えばアメリカと中国は互いに軍事力行使しようがない。中国はアメリカの最大債権国だし、アメリカ企業の多くが中国に進出して市場を狙っている。中国にとってもそれは無視できるものじゃない。台湾についても同じだ。このへんは、以下を参照のこと。(コメント欄も参考になる、尖閣諸島問題もちょっと出てくる)


「都市型社会と防衛論争」
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20100103/p1


ちなみに、新自由主義を信奉するものなら、以下の書籍はどう考えているのかな?


この本では「マクドナルドがチェーンを展開している国同士は戦争をしないという。それだけの経済力を持てるようになれば、むしろハンバーガーを求めて行列に並ぶ方を選ぶのだ」と、込み入った通商関係を持った国同士では紛争は“割に合わない”と説いている。本の中身自体は鼻持ちならないもので「自分は」肯定しないが、財界の人々はこう考えている、というサンプルでもある。
まぁ、この件に関しては池田信夫新自由主義に忠実なスタンスを取っていて、少なくともブコメにも現れている“エア経営者”よりは、筋が通ってますな。
エア経営者といえば、

id:gokino2 (略)で、エア経営者と大戦略脳ってほんとに同一なの?


id:m-matsuokaとか、id:Francamente_Pinocchioとか、id:torabaとか、id:vidとか、id:big_song_bird なんかはズバリそうだね。連中のブックマーク覗いてみればいいよ。
id:the_sun_also_rises は、自称経営者なので、大戦略脳だがエア経営者じゃないみたい。


さて、尖閣諸島に関してだが、m_debuggerさんのところでこういう記事があった。


尖閣諸島=釣魚諸島の歴史的経緯は?
http://mdebugger.blog88.fc2.com/blog-entry-111.html


続:尖閣諸島=釣魚諸島の歴史的経緯は?
http://mdebugger.blog88.fc2.com/blog-entry-112.html


ここに記されている文献はこちら。


尖閣」列島−−釣魚諸島の史的解明
http://www.mahoroba.ne.jp/~tatsumi/dinoue0.html


これを見れば、中国が尖閣諸島=釣魚諸島は自国領である、と主張するのもまったく無根拠、という訳ではないことが判る。


ちなみに、なぜ70年代まで中国が領有権を主張しなかったのか、という意見があるが、71年まで中国は国連未加盟で、72年までアメリカと国交が無い(日本は、その直後国交正常化)。(尖閣諸島も含む)沖縄返還、も72年なので、領土問題が持ち上がるのがそれ以降である事自体はおかしな事ではない。


実際に中国の主張が妥当かどうか、は自分の手に余るし、日本にも日本の主張があるわけだが、問題はそこにはなく、中国側は少なくとも自国領である、という根拠を持っている。それを「領土問題など存在しない」と日本側が主張することは、尖閣諸島を含めた台湾の植民地化の歴史的経緯を無視しているように見える、という事だ。それが、彼ら(台湾も含めて)激怒させるのは当然といえば当然なのであって、むしろ、日本が尖閣諸島に拘る理由の方が不思議だ。

id:etherealcat 軍事力は外交上のカードとなるものだけど、もしこれが沖縄に無ければ、今回の騒動は尖閣ではなく沖縄本島を対象に発生していた可能性がある。


歴史的経緯を含めた尖閣諸島問題を見れば、「尖閣諸島を取られたら、次は沖縄」とか無根拠である事がわかる。というか、沖縄(とそこに住む人々)を散々蔑ろにしておいて(戦前・戦中・戦後を通じて)、「沖縄が奪われる〜」と叫んでも、そもそも沖縄は沖縄自身のものであって、「お前らの」ものじゃないから。

id:aruzentina ぜんぶ読まない, チラ裏ポエム マジレスすんのも莫迦らしいんで。「ピースボートにつけた護衛艦は無駄」という内容に変えてくれませんか? / フォークランドは収拾ついてますが…この方が何年眠っていたか興味深いところですね。


関連して、このバカが面白い事を書いている。フォークランドマルビナス)に関してはこういう話がある。


中南米各国 アルゼンチン支持(NHKニュース)<フォークランド諸島でイギリスの企業が油田の採掘調査を始めた問題で>
http://www.asyura2.com/09/kokusai4/msg/706.html

2月24日 15時56分

南大西洋フォークランド諸島でイギリスの企業が油田の採掘調査を始め、イギリスとアルゼンチンの間で領有権をめぐる対立が再燃している問題で、中南米の各国首脳は23日、アルゼンチンへの支持を表明しました。

この問題は、今月22日からイギリスの企業がフォークランド諸島の周辺の海域で油田の採掘調査を始め、これをマルビナス諸島と呼び領有権を主張するアルゼンチンが激しく反発しているものです。フォークランド諸島の領有権をめぐっては、1982年にイギリスとアルゼンチンが武力衝突し、イギリスが勝利したものの最終的な領有権は確定しておらず、両国の対立が再び深刻化することが懸念されています。こうした中、メキシコで開かれていた中南米諸国の首脳会議で23日、ブラジルのルーラ大統領が、「この島々が、近くのアルゼンチンのものではなく、遠く離れたイギリスのものである理由がわからない」と述べるなど、イギリスを批判する声が相次ぎました。そして、議長役のメキシコのカルデロン大統領が、「われわれは領有権を持つというアルゼンチンの主張を支持する」と宣言し、中南米諸国のアルゼンチンへの支持を表明しました。この支持を受けて、アルゼンチンのタイアナ外相は、24日にも国連のパン・ギムン事務総長と会談し、協力を要請するとみられており、問題解決に向けた取り組みが続けられています。


中南米諸国の首脳がアルゼンチンの領有権を認める、これはつまり、植民地獲得競争時代や帝国主義時代に決めた領土の正当性に異議が唱えられた、ということだ。尖閣諸島と相似の関係にある、だから取り上げたの。


クジラ騒ぎの時もそうだが*4、相手を理不尽だ、狂信的だ、と主張して自分たちの姿を客観的に見られないのは致命的だよ。


外交的失策なのは当然だが、なにを今更という気もする。


日本は、国連分担金を滞納し、イラク戦争に荷担し、女性・子供の権利を守る事に消極的で、労働権利にも冷淡、難民保護にも地雷・クラスター爆弾廃止にも本腰を入れず、人種・マイノリティ差別問題にも無関心を示してきた。
それらは、各国メディアだけでなく、NGOなどを通じて広まってきており、日本政府(日本人ではない)は評価が高い、とは言えないのだ。今更、外見を繕って見せても無駄だ。


とりあえず、エア経営者兼エア大元帥たちは、尖閣諸島へ移り住んだら良いと思うよ。巧くすれば兵器も扱えるよ。しかも大嫌いな中国人に向けて。万々歳じゃん。

*1:自分はそう捉えていないが、エア経営者はこういう視点で捉えているよね

*2:ちなみにこれは、クラウゼヴィッツの「戦争論」ね

*3:語義とはちょっと違うが、均衡条件を考えずに「次々赤化される!」と騒いだパラノイヤたちと、ドンドン中国に侵略される、という連中は思考が共通しているので

*4:そういや、「船をあちらがぶつけた」という主張まで同じだ