ソフトウェアの開発者Jacob Gorban氏は、考える時間を取ることが必要以上に贅沢だと思われているような労働環境にいます。今回は、そんなGorban氏の考える「考える時間」やどんな仕事であっても、労働時間に考える時間を組み込むことの大切さについて、ご紹介していきます。

 ソフトウェア開発者として独立し、製品の開発やビジネスの運営をするには、たくさんの時間が必要です。普通のビジネスタイムに働き、時々家族や子どもと過ごすプライベートな時間があり、それから寝ます。それでも、Macがそばにある時には、数ヶ月の仕事を埋め合わせるために、仕事の計画を立てることもあります。これは、できるだけ手遅れになる前にやるといいです。

独立しているソフトウェアの開発者やデザイナー、ビジネスマン、他にも時間や仕事に何らかの裁量がある人にはわかるのではないでしょうか。止められない、後戻りもできないという状況で、終わらせなければならない仕事のためにクリエイティブにならないといけない瞬間があると思います。そういう時には、深く戦略的にビジネスを考えることを忘れるかもしれませんし、仕事自体をいくつか忘れてしまうかもしれません。

「考える時間」を持つこと

今年の3月、独特ですばらしい「NSカンファレンス2011」で、Gorban氏は「考える時間」についてMatt Gemmell氏と夕食時に話す機会があったそうです。Cocoaの開発者として有名なMatt氏は、カンファレンスのスピーカーであり、「考える人」と言える人だったとか。彼は深く考えるために、多くの自分の考えを自身のブログ(英文)で表現しています。

Gorban氏が「ソフトウェアのデザインについて考える時、どのようにアプローチしていますか?」と尋ねたところ、Matt氏はかいつまんで言うと「モレスキンのノートとペンだけ持って、川のそばとか自然の中を散歩します」というように答えました。一方のGorban氏は「なぜそれはいい考えなのか? モニタや気が散るものから離れて、少しの時間考えることだけに時間を割き、自分の考えを手で紙に書き留める」そうです。

Gorban氏は、毎週最初にすることとして、「考える時間」を設けるようカレンダーに入れたとのこと。働く1週間を始めるのにとてもいいとか。ほとんどの人が、仕事のことを考えるために「月曜になったら@#$%@#$で...」と忙しそうなのに対して、Gorban氏は週の始めをゆっくりとスタートします。通りを歩き、公園のベンチに座ったり木の下に座って、美味しい空気を吸い込みながら、考えを書き留めるそうです(天気が悪い時はカフェへ)。

そのように数時間を過ごしている間に、ソフトウェアのアーキテクチャプランを進ませたり、アプリケーションのデザインをスケッチしたり、カンファレンスで話す内容をまとめたり、ビジネスに関する戦略を考えたりできるとか。昼までには自宅の仕事場に戻り、今日の重要な仕事は一つ終わったというような満足感とリフレッシュした気持ちで、残りの週も全体的にいいインスピレーションを感じながら仕事ができるそうです。


自分でも試してみる

このような「考える時間」がスケジュールに入っていない人は、ぜひとも試してみてください。働く週の最初に入れるのが、Gorban氏一番のおすすめです。しかし、働く週を真ん中で分ける方がいいという人は、もちろんそれでもいいでしょう。レギュラーの仕事の間の良い休憩になるかもしれません。

面白くてすぐに気が散ってしまうものが、インターネットやソーシャルネットワークという時代では、毎週数時間そういったものから離れて、紙とペンを持って座り(iPadのノートタイプのアプリでもいいかもしれません)、ただ考えるという時間を過ごすことがより重要になるでしょう


Thinking Time | via Gorban.org

Jacob Gorban(原文/訳:的野裕子)