"私がよく研究しているハーバート・ハートという学者がいまして、イギリスの代表的知性でしたが、近年亡くなったんですけど、その人が、「同性愛は法律で処罰すべし、なぜなら社会が解体するからだ」と主張するデヴリン卿を、こう批判しています。「解体すると言うなら経験科学に基づいた論証をして貰いたい。経験科学的な論証をする場合は、まず一般法則がなくてはならない。次に、当該場合はその法則を例証する一事例である、と、そういう2段階の論証である。例えば、「水を熱したら蒸発する」とかの一般法則がまずあって、次にそれを当てはめると目下の場合は蒸発するするだろう、と言える。だから、①一般法則の存在を示すことと、②当該場合はその一般法則の一事例である、ということを示さないと、その論証は経験科学的な意味をなさない。論証になっていないのに、漠然と「バラバラになる」と主張するのは、もはや「経験的な主張」ではなく、単純に同性愛を厭う「保守的テーゼ(主張)」を述べているにすぎない。それならそうと言いなさい」と。
別姓問題もしかり。"

「婚姻による姓の変動―民法と戸籍の関係から」吉田 信一

富山国際大学国際教養学部紀要 第6巻 (2010.3)

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