仙台銀、公的資金を活用へ 復興資金需要に対応
きらやか銀との統合延期発表
宮城県を地盤とする仙台銀行は11日、東日本大震災で融資先に甚大な被害が出ていることなどを踏まえ、金融機能強化法に基づく公的資金投入を申請する検討に入った。資本基盤を充実し、被災地の復旧・復興のための資金需要に十分に応えられる体制を整える狙い。震災後、被災地の金融機関による公的資金活用の動きが表面化するのは初めて。同様の動きが他の地域金融機関にも広がる可能性があり、政府は申請があった金融機関への一斉注入も視野に検討を進める。
仙台銀は同日午前の取締役会で、今年10月に予定していた山形県を地盤とするきらやか銀行との経営統合の延期を決定。同時に「金融機能強化法に基づく国の資本参加に向けて検討を開始する」と発表した。
金融機能強化法は中小企業向け融資など金融仲介機能を十分に果たすために、健全な金融機関に公的資金を予防注入する枠組み。仙台銀は今回の大震災で多くの取引先が被災し、業務再開のメドが立っていない融資先も多い。自己資本比率の目減りも予想されるため、復旧や復興の資金需要に応じられるよう強化法に基づく公的資金活用を申請する検討に入った。具体的な注入時期や金額などは今後、金融庁などと詰める。
きらやか銀との経営統合は震災対応を優先するためにいったん延期するが、2012年度中のできるだけ早い時期の経営統合を目指すと強調。復興支援を目的とした協力や業務提携は前倒しも検討するとしている。きらやか銀は2009年9月、強化法に基づき200億円の公的資金の注入を受けた。
金融庁は被災地の金融機関が公的資金を受け入れやすくするため、金融機能強化法の改正案を今国会に提出する方針。仙台銀の方針表明で、他の金融機関にも公的資金活用を検討する動きが広がるとみられる。
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