ゼロスポーツ、自己破産申請へ 日本郵政のEV契約破談で
負債11億円
電気自動車(EV)ベンチャーのゼロスポーツ(岐阜県各務原市)は1日、大口のEV納入契約の破談で経営が行き詰まったとして、近く岐阜地裁に自己破産申請すると発表した。負債総額は約11億円。従業員のうち残務処理にあたる数人を残し約70人を同日付で解雇した。
中島徳至社長が1日、岐阜市内で会見した。中島社長らによると、日本郵政グループの郵便事業会社にEV集配車1030台を約35億円で納入する契約を2010年8月に結んだが、納入が遅れる可能性が出てきたことを理由に今年1月に契約を解除されたという。
納入遅れは、郵便事業会社側からの仕様変更要請に応じたのが要因と説明している。金融機関などから多額の資金を調達し開発してきたが、契約解除後に融資資金の返済を迫られ、急激に資金繰りが悪化したという。
契約では今年1~2月に先行して30台を納入、来年2月に残る1000台を納める計画だった。
一方、郵便事業会社は「契約を解除したことは事実だが、詳細については現時点でコメントを差し控えたい」としている。ただ「電気自動車を導入する方針自体に変更はない」という。
ゼロスポーツを巡っては、パナソニックがEV用のリチウムイオン電池を受注していたが、納入はまだのため影響はないとみられる。
ゼロスポーツは1994年の設立。ガソリン車を改造するアフターパーツの開発や販売で成長し、EV開発には98年に着手した。当初は工場などで使われる小型の移動用カートを手掛けていたが、エコカーブームの到来で公道用EVの開発を加速。10年8月期の売上高は5億5300万円、最終損益は3億5900万円の赤字だった。