shungo.arai

A scrapbook on my concern.

内定率の低さが新卒の就職環境の厳しさを示しているのは事実だが、一方で国内企業が来春に計画している大卒採用予定数は前年比2.2%減の59万600人と前年とほぼ同じ水準だ。企業は一定の採用数を維持しており、新卒が将来を支えるコア(核)人材であるという認識は変えていない。

むしろコア人材であるがゆえに、企業が新卒に求める条件が厳しくなっている。安定志向を強める学生と、企業が求める人物像の落差が広がり、学生にとっては実際の採用予定数の絞り込み以上に厳しい状況になっているようだ。

欧米では新卒であっても長期間のインターンシップなどを通じて学生の能力や就業に対する意識を見極めて人材を選んでいる。日本企業はこれまで単に大学を卒業したという基礎的な能力を評価して新卒を一括採用してきたが、海外事業の拡大に伴って欧米のような能力本位の採用を取り入れるケースが増えている。(略)

2008年の金融危機後は1年以上の失業者が増えている。景気低迷だけでなく、産業構造の変化などで就業の機会を無くしている人が増えており、今後、景気が良くなったとしても短い期間で完全失業率が金融危機前の3%台の水準まで改善するとは思えない。

大手企業が今後、国内で積極的に雇用数を増やすとは考えにくく、むしろ介護などを含む中堅・中小企業の中に雇用拡大の可能性がある。学生にはそういう産業や企業に積極的に向かっていく意識を持ってほしいし、もしその際の障壁があるとすれば、企業や社会はその壁を低くする努力をすべきだ。

— 「採用2011:能力本位の選考広がる 海外強化で欧米流に リクルート社長に聞く 就活、早期化より長期化問題」, 日本経済新聞(朝刊), 2010年12月27日.