レッドハット株式会社 グローバルサービス本部 プラットフォームソリューション統括部 ソリューションアーキテクト部 部長 藤田稜氏

昨今、災害対策や作業の効率化などを求め、物理マシンから仮想マシンへ、物理環境から仮想環境への移行を推進する企業が目立つようになってきている。実際に仮想環境へ移行する場合、どのような点がポイントとなるのか、また、発生するコストを削減するためのポイントなどについて、レッドハット株式会社 グローバルサービス本部 プラットフォームソリューション統括部 ソリューションアーキテクト部 部長 藤田稜氏にお話を伺った。本稿では、仮想環境のリプレース・新規導入を検討する方々に向けた同氏のメッセージをお届けする。

管理インタフェースの日本語化で、さらに移行しやすく

当社は1月10日、エンタープライズ向け仮想化プラットフォーム「Red Hat Enterprise Virtualization」(RHEV)の最新バージョンとなる3.1の提供を開始いたしました。最新バージョンでは、お客様のご要望にも多かった、管理インタフェースの日本語化や、スケーラビリティ、仮想デスクトップ機能の強化などが施されています。

日本語化については、例えば「取り付ける」という意味で用いる「Attach」を、「アタッチ」とするのか「取り付ける」とするのかなど、悩んだところは多いのですが、十分な議論を経てローカライズが行われており、実際の現場で使われる方々にとっても非常に使いやすいインタフェースに仕上がっています。

仮想環境への移行についてですが、例えばRHEVでは、上述のような管理インタフェースの日本語化をはじめ、導入や移行が行いやすいものとなっていますので、VMwareによる仮想環境からRHEVへの移行はもちろん、新たに物理環境から移行される方々にとってもスムーズに移行が行えるかと思います。

近年では、仮想化環境への移行に取り組む企業が増えてきていることを実感していますが、それとあわせて、お客様からの「仮想化はコストを押し上げる要因になる」といった声もあります。コスト削減については、RHEVへの移行によって支援できる面もありますが、それだけでなく、RHELと、こちらもOSSであるRed Hat Storage Server、加えて最適なハードウェアを組み合わせることによって、さらにコストを抑えることが可能になります。

OSS(Open Source Software)選定理由の変化

当社ではOSSを提供する事業者として、「ニーズを満たすソフトウェアをコラボレーションによって定義、設計、および実装するコントリビュータであり、開発がコントリビュータ間に分散することによるコスト軽減もできる」と考えております。

企業がOSSを選定する理由としては、数年前までは「コスト」が一番に挙げられてきましたが、近年では「品質」を理由に選ぶお客様が多くなっています。また、当社の経験上言えることは「生き残っているOSSは品質が高い」ということです。RHELのカーネルに組み込まれた標準の仮想化機能「KVM」(Kernel-based Virtual Machine)は、開発後6年ぐらい経過していますので、いわゆる「キャズム」を超えたコンポーネントになったのかなと感じています。

実際の導入事例として、大手電子機器メーカーであるカシオ計算機様が、ビジネス管理の課題に効率的に対応し、また自社インフラストラクチャをクラウドに対応させるため、「Red Hat Enterprise Virtualization」と「IBM BladeCenter」の組み合わせによるシステムを導入しました。

事業のコアを支えるIT基盤を、当社とIBMとのコラボレーションによるオープン仮想化テクノロジで強化したわけですが、実際に、「Red Hat Enterprise VirtualizationをIBMハードウェアに導入したことでコストを大幅に削減できただけでなく、調達にかかる時間を短縮でき、これによってビジネスの課題にも適切に対応できるようになりました」との評価をいただいています。

カシオ計算機様の成功からもわかるように、企業は、サーバーを仮想化し、複数の仮想化戦略を採用してクラウドを構築することで、コストの削減と市場投入までの時間短縮を実現できます。当社とIBMが協力して提供しているオープン仮想化ソリューションは、こうしたニーズに合った、低コストで管理しやすい、エンタープライズ向けのソリューションといえます。

冒頭のRHEVの最新バージョンである3.1は、インタフェースの日本語化など、移行に対する敷居が低くなり、今回はさらに、仮想マシンの状態を記憶しておくスナップショットの機能も強化しています。

セミナーでは、RHEVへの移行だけでなく、工数、コスト低減のためのソリューションやノウハウも提供する予定です。

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本稿で簡単に紹介したRHEVへの移行や、コスト削減のためのノウハウ等は、2月6日(水)に開催される「マイナビニュース仮想化セミナー【Day1】コスト削減とリスクヘッジを実現する今後の仮想化環境 ~Red HatとIBMが提供するローリスクなOSSの活用~」で、藤田氏がさらに詳しく解説する予定だ。仮想環境のリプレース・新規導入を検討中の方々にぜひとも足をお運びいただきたい。