千葉断水34万世帯、自衛隊が給水車など出動
埼玉・群馬、利根川支流で原因調査
関東の浄水場の水道水から水質基準を超える有害物質のホルムアルデヒドが検出された問題で19日、千葉県内では一時、3カ所の浄水場で取水を停止したため、県内5市の34万世帯以上が断水した。
給水所には水を求める住民が長蛇の列をつくり、水を使う企業にも影響が出た。千葉県知事は19日、自衛隊の災害派遣を要請。自衛隊は断水地域に給水車などを出動させた。政府は首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置した。
有害物質の原因となる可能性がある化学物質を扱う事業所や工場が、群馬県の利根川支流にあることも分かり、ここから流出した疑いもあるため埼玉、群馬両県が慎重に関連を調査している。
千葉県や各市への取材によると、断水した世帯数は最大時で、柏市約15万4千、流山市約6万8千、野田市約5万4千、我孫子市約3万5千、八千代市約3万8千。
千葉県流山市の北千葉浄水場と松戸市の栗山浄水場の取水が19日夕、再開されたため、我孫子市では午後9時半ごろ全世帯の断水が解消。県は20日未明までに県内全域で解消するとみている。
埼玉県は、19日朝に給水を再開させた行田市の行田浄水場では、ダムの放流などによる希釈効果で濃度が再び上がる可能性は低いと判断。基準値(1リットル当たり0.08ミリグラム)を一時超えた庄和浄水場(春日部市)とともに粉末活性炭で除去するなどの処理を続けた。
埼玉県によると、群馬県の利根川支流の烏川上流で濃度が比較的高いホルムアルデヒドが出た。塩素と結び付くとホルムアルデヒドになる物質の一つである「ヘキサメチレンテトラミン」を扱う事業所や工場が周辺に複数ある。樹脂や合成ゴムなどを製造する際に使われることがあるといい、関連を調べている。
東京都水道局も江戸川、荒川両水系の浄水場3カ所で水質検査。基準を超える数値は出ておらず取水制限はしていない。〔共同〕