日々の色々-from 2004-

2004年からはてなダイアリーでブログを書いてきました。2018年11月はてなブログに引越し。タイトルも変えました。尚、行政書士は2020年3月末にやめています。

離婚後の姓

離婚をすると、結婚した時に改姓した人は、その姓をそのまま続けて使う(婚氏続称)か、一つ前(例えば再婚の人は、一つ前の姓が前の配偶者の姓だったらそれ)の姓に戻るかを選べます。

さて、時々、結婚時に改姓しなかった方の人が、離婚の時に「相手が自分の姓を続けて使うのは嫌だ」と言うことがあります。先日ツイッターでも、今でも元妻が自分の姓を使っていることが嫌で、「離婚後の姓も夫婦間の合意で決めてほしい」と書いている人がいました。

これってどういう感覚かなっと思うのですが、まず、自分は一度も改姓せずに、相手に二度も改姓をさせるってどうよ、というのがあります。改姓による不利益を一方だけが二度も被るわけです。様々な煩雑な事務手続き以外にも、自分の結婚・離婚というプライバシーを公に曝すことでもあります。私としては、「自分は不利益を受けないのに、その主張は図々しいですよ」と言いたいところですね。


そしてもう一つ。こういう主張には「うちの姓を使うな。もううちの人間ではなく赤の他人なのだから」という意味が多分こめられていると思うのですが、氏(姓・苗字)というものは、戦前は確かに同一の家に属する集団の呼称であり、「家」の呼称であると考えられていました。

しかし、戦後の民法改正により、家制度が廃止され、氏は集団の呼称ではなく名と共に個人の同一性を示す呼称になりました。つまり、「うちの姓を使うな」というのは間違った考えなのです。

現状、日本人同士の婚姻は、どちらか一方の姓にしなければならない(国際結婚はしなくてよい)、という法律があるため、婚姻の届出時に、片方が否応無く改姓していますが、婚姻時に改姓した時点で、その人個人の姓がそれになっただけで、その家の姓になったわけではないのです。だから離婚時にそのまま姓を使う人は、相手と合意する必要も相手の許可を貰う必要も全くありません。その姓は、その人個人の姓なのですから。


因みに選択的夫婦別姓制度に反対する人は、「姓が同じ=家族」という考え方に因っているのだと思いますが、それはかつての家制度の名残りを引きずった主張なわけです。こういう主張の方は、離婚後も同じ姓の元夫婦とか、逆に離婚や再婚により姓が違ってしまった親子はどう考えるのでしょうか。姓が違う親子は一緒に住んでいても家族ではないのでしょうか?

3組に1組が離婚している現状では、社会には色々な形態の家族がある、という現実を見て欲しいものだと思います。