大学は一芸入試で受験したんですが、倍率は20倍以上。面接当日は僕より先にプレゼンしている受験生たちが、「何々の日本一です」ってすごいことを自慢し
ているのが聞こえたんですよ。芸能人も受験しているしね。僕はモンブランとキリマンジャロに登った程度の話じゃ、彼らに勝てないと判断して、「過去ではな
く、入学後の未来を語るしかない」と、準備していたプレゼン内容をその場で変えたんです。
僕はカバンに入っていたノートを取り出して、七大陸最高峰を制覇する予定を順番に大きく書き、面接官に見せながらゆっくり読み上げ、こう宣言したんです。
「もしこれを途中で挫折した場合、責任を取って中退します」と。面接官の人たちが身を乗り出して聞いていました。それで合格できたんですよ。
後から聞くと、関係者の人たちの間で僕の面接が話題に上ったらしく、「あいつはペテン師だ」「いや、大物になるかもしれない」と二つの意見に分かれたみた
いです(笑)。入学後、一人で大学の学長室に呼ばれ、「君の七大陸最高峰登頂に大学は全面的に協力する」と言ってもらえたんです。「ただし、中退はする
な。何年かかってもいいから卒業をしなさい」と約束をさせられました。そうなったらもう、七大陸最高峰を制覇して卒業するしか道はありませんよね。僕は自
ら宣言したことによって追いつめられたわけですが、学長との約束を思い出しては、その後の自分を奮起させることができたんです。