あと一歩のところで電車に乗り遅れた、コンビニで欲しい雑誌が売り切れてた...などなど、よくよく考えてみるとたいした出来事ではないのに、「なんてツイてないんだ!」と感じることはありませんか? それは、アナタの脳がポジティブなことよりも、ネガティブなことに反応しやすいからかもしれません。

米心理学誌「Psychology Today」では、ヒトはポジティブなことよりもネガティブなことに反応しやすいと指摘し、その原因を脳の動きから探っています。

 John Cacioppo博士の研究では、ポジティブな感情をもたらす写真、ネガティブな感情をもたらす写真、ニュートラルな感情をもたらす写真をそれぞれ被験者に見せながら、情報処理の規模を反映する大脳皮質での電気的活動を記録したところ、ネガティブなものからの刺激に一番強く反応することが明らかになったとか。

これゆえに、私たちの態度は、良いニュースよりも悪いニュースに強く影響されがちになるようです。ちなみに、ネガティブなものにより強く反応するという脳の働きは、自分を害から守るために発達したと考えられています。

では、私たちは、このような脳の働きから逃れられないとして、どうすれば、ネガティブなことに苛まれすぎずに生活できるのでしょうか?

ある研究では、夫婦が共に結婚生活を満足するための理想的な比率として、「ポジティブ」:「ネガティブ」が5:1、という数値を導き出しています。つまり、夫婦の間でポジティブな感情や交流がネガティブなものの5倍あれば、結婚生活は安定しやすいということだとか。一方で、この研究結果では、離婚に向かいやすい夫婦は、両者の間で徐々に大きくなるネガティブなものを埋め合わせるための、ポジティブなものがかなり少ないと考察しています。

この記事によると、結婚生活に限らず、生活の様々な場面で同様のことがいえるそうです。まずは、「ヒトの脳はネガティブなことに強く反応する」ことを自覚し、イヤなことがあったら、たとえ些細なことでも、ポジティブなことを意識的に見つけるようにすると、日々の生活がちょっと楽になるかもしれませんね。

Our Brain's Negative Bias [Psychology Today]

Adam Dachis(原文/訳:松岡由希子)