「数理情報科学」という学問をご存じだろうか?

 この言葉を知ったのは、テレビ番組であった。ある大学教授が数理情報科学について解説していた(その教授の名前は忘れてしまった)。

 その教授の解説で覚えているのは、多分にして文系の学問では答えは何通りかある。だが、理系では答えは1つであるという。もちろん厳密にそんなことが言えるはずはなく、「そういう傾向がある」ということである。

 ネット上で検索すると、数理情報科学の分野で実に様々な研究がなされている。現在、50以上の国公立大学に数理情報科学科(「数理情報学科」も含む)があるようだ。

最適なルートはどれだ?

 では、一体どのような学問なのか? 簡単な例を出して、さわりの部分を説明してみよう。

 設問は、いたって簡単である。以下の図の様々な経路の中で、スタートからゴールまでベストな行き方はどれだろうか。

 線の長さが距離を表すとすると、「スタート→(b)→(i)→ゴール」がベストであろう。

 では、線の表記数字が通過(処理)する速度とするとどうか。スタートからは、(a)(b)(c)への行き方がある。(a)を通過すると、(d)(g)(f)(i)への行き方しかない。(b)を通過すると(i)に行くしかない。(c)を通過すると、(e)(i) の行き方がある。

 (i)まで行くと、そのままゴールと(h)を通過する行き方がある。(i)から(h)を経由すると3分でゴールである。