2012年08月19日

【カリフォルニア】、失業率は横ばいの10.7%!失業率44州での上昇は新学期商戦の表れ?

120819失業率推移
■カリフォルニア州雇用開発局(EDD)が17日に発表した統計によると、7月のカリフォルニア州の失業率は10.7%と前月から横ばいだった。前年同月の失業率は11.9%だった。一方でカリフォルニア州の失業率は、2009年1月から3年7ヶ月間(43ヶ月間)連続で二桁台となっており、戦後最長の記録を更新している。また、失業率と同時に発表された非農業部門の雇用者数(季節調整済み)は7月、前月比で2.523万人のプラスとなった。雇用者数の増加は12ヶ月連続となっている。
 労働省が同日に発表した州別の失業率データによると、全米で最も失業率の高い州はネバダ州の12.0%。ネバダ州に次いで失業率が高かったのはロードアイランド州(10.8%)で、そしてカリフォルニア州、ニュージャージー州(9.8%)、サウスキャロライナ州(9.6%)、の順となっている。失業率が二桁となっている州は前月と変わらず3州。失業率が最も低い州は農業が主な産業となっているノースダコタ(3.0%)、ネブラスカ(4.0%)、サウスダコタ(4.4%)。
 失業率が上昇(悪化)した州は7月、全米50州のうち44州となり、逆に失業率が下降(改善)した州は2州のみだった。横ばいとなった州は4州となっている。尚、全米の失業率は7月、8.3%と前月より0.1%上昇している。

トップ画像:失業率全米ワースト1のネバダ州、ワースト3位のカリフォルニア州と全米の失業率の推移グラフ。全米の失業率は7月、8.3%と前月から0.1%上昇した。カリフォルニア州は10.7%と横ばい、一方でネバダ州は前月の11.6%から12.0%に急上昇だ。ネバダ州ラスベガスは前月の12.2%から7月は12.9%にこちらも急上昇している。失業率が各州で上昇傾向にあるのは、(景気が回復したと判断し)求職者が増えているという側面がある。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。8月半ばも過ぎ、大手チェーンストアでは新学期商戦真っ盛りとなっています。全米小売業協会(NRF)では、新学期商戦の支出額は合計で約838億ドルとなり、昨年(約688億ドル)に比べ、なんと22%も増加する見通しです。少しは景気が良く(ましに)なっているという肌感覚に加えて、昨年は文具を買い控えて節約した家庭も今年は新しいものに買い換えなければならないという理由があります。しかし、新学期商戦の支出額を大きく押し上げたのは、学生数の増加が要因です。出生数を見れば明らかです。今年、小学校に入学する小学1年生(2006年生まれ)は427万人と前年から13万人の増加です。昨年は前年より2万人の増加でしたから、いかに今年のピカピカ1年生が多いのか理解できると思います。その前の幼稚園(キンダーガーデン)に入る5歳児(2007年生まれ)は432万人です。

⇒2007年432万人は、出生数としては過去最高です。出生率は下がっていますが、絶対数が上昇していました。2006年と2007年に出生数が急上昇しピークとなった理由は住宅バブルにあります。持ち家比率は2004年、69.0%とピークになりました。そこから2005年は68.9%、2006年も68.8%です。つまり2004年から2006年にかけては高い水準で推移していたのです。で、明るい家庭生活が始まり、1年〜2年遅れで2006年と2007年の出生数が増大したというわけです。住宅バブルの崩壊後の持ち家比率は2008年の67.8%→67.4%→66.9%と大幅にダウンしています。ちなみに2012年第1四半期の持ち家比率は65.4%となり、1997年と同水準にまで低下しています。出生数も2008年の425万人→413万人→400万人となり、持ち家比率と同様に減少しています。新学期商戦で売上増が見込まれるのは住宅バブルベビーの影響なんです。

120819出生数と持ち家比率推移
出生数と持ち家比率の推移グラフ。持ち家比率が高い水準となった2004年〜2006年から1年〜2年遅れて出生数が増大している。

⇒生徒が増えて新学期商戦は活況を呈すると見られてはいますが、いまのところ全体的に節約ムードが覆っています。出足は悪くありませんが、消費者はギリギリまで粘って買物に出かけるようです。少しでも消費を喚起するため、チェーンストアはプロモーションに躍起です。JCペニーでは評判となっているキッズ向け散髪の無料キャンペーンを続けています。ジーンズも安くなっており、アメリカン・イーグル・アウトフィッターズで29.99ドル、アバクロも8月21日まで通常70ドル〜90ドルのジーンズを39に値下げしています。ウォルマートは100種類の文具を88セントにしています。ダラーストアに対抗していることがわかりますね。節約ムードを狙っては、ステープルズが面白いプロモーションを行っています。古くなったバインダーをリサイクルする代わりに新しくバインダーを購入すると2ドル引きです。
 44州で失業率が上昇しているのは、新学期商戦でなんとか学用品を購入しなければと求職者が増えているのかもしれません。
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