お金をかけずに音楽を楽しむ方法「ネットで楽しむクラシック超入門」

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クラシックを楽しもう

●ネットで楽しむクラシック超入門
お金をかけずに音楽を楽しむには――答えは簡単。クラシックを好きになればいい。クラシックは無料で演奏音源をダウンロードして楽しめるばかりではなく、楽譜も無料でダウンロードして使える。クラシック音楽とネットの相性は意外や意外、かなり良いのです。しかもクラシックは時代を超えて愛されてきたものですから、一度その楽しさがわかれば、一生モンです。そんなクラシック音楽を楽しんでみませんか、というわけでこれまで”ノーマーク”だった方のために無料で楽曲をみつけて楽しむ方法や、具体的なオススメ楽曲の一覧をつくってみました。

●クラシックは音楽の冒険者達の足跡

モーツァルトが現代に生まれていたら、電子音楽にはまっていたんじゃないかなと思う。そしてボーカロイドにもめちゃめちゃ興味持ったんじゃないでしょうか。もちろんこれは勝手な想像です。でも、少なくともこれだけは間違いないと言えます。モーツァルトは天才的な演奏者であると同時に時代の最先端を走る音楽の創造者だった(当時)。誰も聴いたことのない独自の音楽をこの世に生み出した。そんな彼が現代の電子楽器と音楽ソフトを手にしたら一体どんな音楽をつくりだしたのだろう。好きな音色を好きな数だけ操って自分の納得のいく音を追求し、完成させた音楽はどのようなものに進化していったのだろうか。ちょっと聴いてみたい。モーツァルトに限らず、偉大な作曲家は皆古きよき物を大切にしつつも挑戦者であり、開拓者だった。クラシックというと保守的なイメージがあるかもしれないけど、これら音楽の歴史は音楽の先駆者達の足跡でもあるわけです。最新の音楽を追いかけるのも楽しいかもしれませんが、かつて音楽の冒険者達がたどってきた「最先端の音楽(当時)」の道を一緒に旅してみるのもとても楽しいものなんではないでしょうか。

●クラシックはすべて無料

音楽に満ち溢れている昨今、お金をかけずに音楽を楽しむ方法はいくつかあると思うけど、最も確実に、お金を使わずに豊かな音楽ライフを一生続けようと思ったら、一番の近道は「クラシックを好きになること」だと思います。なんだかお金がかかるイメージがあるとすれば、それはまったくの勘違い。今や音源も楽譜も、全部無料で手に入ります。敷居が高いと勘違いされているクラシックだけど、知らない間に耳にしている楽曲も多くあり、しかも世界共通、世代を超えて話題にできる「楽しくてためになる」ものなのです。脳天気な楽曲から重々しいもの、涙を誘うもの、思わず勇気がわいてくるもの、理解不能なものなど、バリエーションも豊富。教科書や雑誌は教えてくれないけど、実はネットでリンクをたどりながら、クラシックをきままに聴く、ってのは本当に楽しいですよ。気に入れば、そのままダウンロードして保存し、iPodやウォークマンにいれて外へ持ち出せます。聴ききれないほどの数の名曲、名演。いつでも音楽にひたっていることができます。これが全部無料で実現可能です。


パブリックドメイン・クラシック
http://public-domain-archive.com/classic/
みんなの共有財産として好きなように聴けるクラシック音源を集めたサイト。他にも同様のサイトはありますが、このサイトは最も充実していて使いやすいです。

●クラシックはそもそもお金がかからないのだ

そもそもクラシックは、CDでもiTunesのストアでも、他のジャンルに比べて価格がやたらと安い。普通邦版CDといえば3500円程度だけど、クラシックの場合、著名アーティストの新譜でも2000円前後。古い名演シリーズなら千円を切る価格で入手可能。さらにiTunesストアだと70曲入りで900円というシリーズが人気だったりする。なんと1曲12円。

もちろん、どんな趣味でもお金をかけだしたらキリがないですが、クラシックの場合このようにもともとそんなにお金がかかりませんし、さらにネットをうまく使えば、お金をかけなくても名曲名演に触れることが可能です。

オーボエです

●クラシックの演奏音源は無料で手に入る

そして今やネットには無料のクラシック音楽が溢れてます。ダウンロードできるものも沢山あり、もちろん違法じゃありません。50年以上前に演奏され発売されたものはパブリックドメインといって、権利が切れており、みんなの共有財産として、好きなように聴くことができるのです。クラシックの楽曲といえば歴史のあるものが多いですから、クラシックの著名な楽曲は、ほとんど自由に聴ける状態となっている、というわけです。クラシックも古くはMIDIファイルを中心に取り扱われていましたが、ブロードバンドの時代に入ると、演奏を録音されたもの自体がMP3などに変換され、共有されるようになってきました。いわゆる名演といわれる録音も聴くことが可能になり、こうなってくるとレコードを買うよりネットで探した方が早くて便利だったりします。「あの曲聴きたいなー」と思ったら検索してすぐ手に入る。また、音源ファイルに限らず、演奏家自らが演奏会の動画をYouTubeなどの動画共有サイトにアップロードするケースも増えてきており、演奏動画付きで音楽を楽しむことも可能です。そうやって多くの曲を聴いているとだんだん演奏会なんかにも行きたくなってくると思います。もちろん無料の演奏会もありますが、そこはそれ、好きな曲目の好きな演奏家の演奏会へ、ちょっとお金を払ってでも行ってみるとよいと思います。また、50年以上前の演奏を繰り返して聴いていると、「最近の演奏家はどのように演奏してるんだろう?」というのが気になってくると思います。そしたらレコード屋さんにふらっと行って、CDを買ってみるのもよいと思います。最近は試聴もできますので、試聴コーナーで聴きまくって(クラシックコーナーはたいてい空いてます)、気に入ったのを買ってください。普段は無料で楽しんで、たまにそういう買い物をするのも楽しいものです。
実は僕も最近、試聴コーナーでたまたまピアニスト辻井伸行さんのCDを試聴して感動してポロポロ泣いてしまいました。おっさんがCD屋さんの試聴コーナーで泣いている姿はなんともかっこわるいですが…聴きなれた曲でも演奏者によって解釈が違い、聴き手の感じ方も変わってくるのが面白いところです。ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで辻井さんが優勝したときの演奏を下記サイトで聴くことができます。動画つき。

ヴァン・クライバーン・コンクール2009
http://www.cliburn.tv/
Tsuji Nobuyuki(Japan) 2009年6月6日
RACHMANINOFF Piano Concerto No.2 in C minor,Op.18など

ヴァン・クライバーン・コンクール2009

無料でコンクールファイナリスト達の演奏動画の数々を視聴できます。
再生にはSilverlightが必要。上記ページ右上「Click here to launch the Cliburn Competition Webcast」をクリックすると演奏一覧の別窓が開きます。

●楽譜も無料でiPadに入れて持ち運ぶ

クラシックだと、楽譜すら無料で手に入ります。楽譜のダウンロードサイトがあって、そこでPDFファイルが手に入るようになっています。オーケストラ全体の楽器ごとの楽譜(パート譜)まで。そしてそのファイルをiPadに入れて持ち運ぶことができます。iPadに対応した楽譜表示用のソフトウェアも存在します。さらに、足で踏む「フットスイッチ」をつけて、演奏しながら楽に譜めくりができるような装置もあったりします。

●クラシックを聴くきっかけや楽しみ方はいろいろある

クラシック音楽を楽しむきっかけはいろんなところに転がっています。クラシックは映画やゲーム、テレビなどでも多く使われているので、たまたま耳にした曲をきっかけに他の曲を探していってもよいと思います。また、友達に思い出のクラシック楽曲をたずねて、それを聴く、というのもいいですね。なにかストーリーとセットにして聴くと、入り込みやすいです。また、好きな作曲家や好きな演奏家を見つけて集中して聴く、といのもいいですね。

アリス=沙良・オット演奏 リスト「ラ・カンパネラ」

美しすぎるピアニスト。笑顔がまた素敵。

ランラン演奏 ショパン「練習曲作品10第3番 別れの曲」

ピアニストのランランさんは、ピアノの弾き方が独特です。まるで音楽が乗り移っているよう。

●まだまだある、クラシックを楽しむきっかけ
クラシックの偉大な作曲家や演奏家は歴史上たくさんいますが、それらの生誕○周年記念とか没後○年記念といったイベントは毎年おこなわれています。言葉は悪いですが、偉大な作曲家はみんな死んじゃってますので、こういう話題には事欠かないわけです。例えば昨年2010年はグスタフ・マーラー生誕150周年メモリアルで、今年2010年はマーラー没後100年メモリアルイヤーでした。今年はリストの生誕200周年でもあります。メモリアルイヤーにはその作曲家の特集がテレビ・ラジオ・CD屋さんなどでおこなわれ、演奏企画もあったりしますので、ブームに乗っかっちゃうというのも手です。
また、「著名なあの人がこの曲を聴いてた」というのを調べて聴くのも楽しいですね。宮崎駿監督が「崖の上のポニョ」を製作するときに聴いていたというワーグナーの曲はこれです。

※以下、多数の楽曲紹介と楽曲へのリンク、さらに多数のクラシック楽曲を収録したサイトや楽譜検索サイトの紹介が続きますが、リンク多数のため、記事をガジェ通サイト以外でご覧の方は、このリンクよりガジェ通サーバーの記事へジャンプしてご覧ください。


●無料で聴けるクラシック名曲の紹介
どこかで聴いたことがあるかも? まずは比較的親しみやすい楽曲を紹介してみます。あなたの好きな曲もコメント欄などで教えてください。

ワーグナー「ワルキューレ第3幕」
[楽譜]
宮崎駿監督が「崖の上のポニョ」を製作するときに聴いていたといわれる曲。3幕を聴きながら魚にのってポニョがやってくるシーンを思い出してみると、確かにそんな気がしてきます

プッチーニ「トゥーランドット」
荒川静香選手が女性フィギュアスケート選手として日本人初の金メダルをとったトリノ・オリンピック2006でかかってた。「イナバウアー」のときの曲。

スメタナ「モルダウ」
美しいメロディが郷愁をさそいます。

リヒャルト・シュトラウス – ツァラトゥストラはかく語りき, Op. 30
映画「2001年宇宙の旅」で使われていました。

モーツアルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
クラシックといえばまずこれ! 上記URLに飛ぶと、いくつかのアルバムが表示されますが、すべて同じ曲です。指揮者や演奏者、録音年度などによって演奏が変わったりしますので、それを楽しむというのも手です。

チャイコフスキー – バレエ組曲”くるみ割り人形”, Op 71a
「花のワルツ」が有名です。

ヨハン・シュトラウス2世 – 美しく青きドナウ, Op. 314
もう一曲有名なワルツを。

ラヴェル「ボレロ」
例の繰り返すやつ。僕が一番好きなラヴェルの曲は「水の戯れ」というピアノ曲です。

ホルスト「惑星」
火星や木星が有名。

ベートーベン「第九合唱付き」
日本では年末に演奏される事の多い、重厚な名曲。すばらしい高揚感

ビゼー「カルメン」
オペラ。前奏曲、第4幕、ハバネラ、闘牛士の歌、第3幕の間奏曲などが有名

ショパン「ポロネーズ」
ピアノのかっこいい曲といえばこれですね!

ドヴォルザーク「新世界より」
僕が通ってた小学校では下校の時間になると2楽章が流されてました。帰らなくちゃって気になります。個人的には1、4楽章が好きです。

チャイコフスキー「弦楽セレナード」
ハ長調というみなさん馴染みのあるシンプルな調性ではじまるのですが、重厚な弦楽器の響きを楽しむことができます。ドレミの音階を昇り降りする弦楽器の音がこんなにかっこいいなんて、とても不思議です。先日、指揮者の小澤征爾さんが復活演奏会でこの曲を演奏されていました。

ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」
しっとりした曲ですが、ファンの多い名曲

ヴィヴァルディ「四季より春」
これもクラシックの定番です。春夏秋冬ありますが、どれも有名

バッハ「G線上のアリア」
たいへん人気のある弦楽曲

ガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」
ジャズとクラシックの融合。

シューベルト – エレンの歌第3番, D. 839
シューベルトのアヴェ・マリア

チャイコフスキー「白鳥の湖」
バレエ組曲。チャイコフスキーには他に『眠れる森の美女』、『くるみ割り人形』というバレエ組曲があります

●入門には、協奏曲がオススメ
さてさて、これまでは「どこかで聴いたことのある曲」を紹介しましたけど、もうちょっとだけ足を踏み出してみましょう。僕がクラシックに興味を持ち出した方にオススメするカテゴリは「協奏曲(きょうそうきょく、コンチェルト)」です。協奏曲というのは、ソロ楽器とオーケストラが合奏するタイプの楽曲。特に「ピアノ協奏曲」は名曲も多いですし、聴きなれたピアノの音色が中心となりますので、効きやすいです。3楽章構成のものが多く演奏時間も30分ほど。気軽に聴けます。

モーツァルト – ピアノ協奏曲第21番ハ長調, K. 467
おもわずほほえみが浮かんでしまうような、ほっこりする名曲

グリーグ – ピアノ協奏曲イ短調, Op. 16
ティンパニの音からいきなり劇的なスタートを切るピアノ協奏曲

ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」
非常に人気のあるピアノ協奏曲。切ないメロディに溢れています。

チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」
[別演奏]
のっけから非常に力強いピアノ演奏からはじまる、大変有名なピアノ協奏曲

ラフマニノフ – ピアノ協奏曲第3番ニ短調, Op. 30
ピアノ協奏曲で僕が一番好きな曲はこれです。

ラベル「ピアノ協奏曲第2楽章」
ラベルのピアノ協奏曲の1楽章と3楽章はたいへん賑やかで騒がしいのですが、その間にはさまっているこの2楽章がシンプルな中に神秘的な部分も持ちあわせていてとても素敵。個人的にすごく好きです

ドヴォルザーク – チェロ協奏曲ロ短調, Op. 104
これはピアノじゃなくて「チェロ」の協奏曲ですがイチオシ。チェロってのは座って脚で挟んで弾くでっかいヴァイオリンみたいなやつです。チェロの魅力全開の楽曲で全編美しい旋律に満たされています

●「スルメ」みたいにじっくり楽しもう、交響曲
交響曲(こうきょうきょく、シンフォニー)の聴き方でおすすめするのが、iPodやウォークマンなど、携帯プレイヤーに入れてちょっと風景のよいところに出かけたときに聴く、という方法。旅の途中、あるいはもっと気軽に、公園とかでもいいですよ。自然を感じられる場所で交響曲を聴くと、印象がまったく変わったりすることがあります。交響曲は40分を超えるものが多いですから、じーっと部屋にこもって聴いてると疲れてしまいます。出かけるついでに聴き流すぐらいがちょうどよいです。しかも演奏時間が長いので、1回聴いただけでは、曲の全体像がさっぱりつかめません。2回、3回と繰り返し聴いているとだんだん曲の全体像がつかめてきて、良さや味わいがわかってきます。たまに何回聴いてもしっくりこない曲があるかもしれませんが、そのときは一旦あきらめて、10年ぐらいしてまた聴いてみるとよいかもしれません。若いときには良いと思わなかった曲が、ある時突然しっくり来るようになったりもします。何年経っても古びないのがクラシックのよいところですので、気長につきあうってのもよいと思います。ほんとにたくさん交響曲はありますけど、いくつかオススメの交響曲を紹介してみますので、聴いてみてください。

ブラームス – 交響曲第1番ハ短調, Op. 68
ブラームスの交響曲を聴いてグッと染みるようになったらもうオトナ…だと思うんですが、どうでしょうか。ブラームスは4曲の交響曲をのこしており、すべて名曲です。

シベリウス – 交響曲第2番ニ長調, Op. 43 – 指揮者 : アンンソニー・コリンズ / オーケストラ : ロンドン交響楽団
フィンランドの作曲家、シベリウスの交響曲は、雄大な自然を感じさせ、世俗的なものからかけ離れた響きをきかせてくれます。

ベートーヴェン – 交響曲第7番イ長調, Op. 92
「のだめ」のタイトルでも使われていました。

ベートーヴェン – 交響曲第5番ハ短調”運命”, Op. 67
1楽章が非常に有名ですが、どの楽章も素晴らしいです。僕は3楽章から4楽章に突入し、そのままラストまで駆け抜けていく感じがすごく好きです。

マーラー – 交響曲第5番嬰ハ短調
この曲の4楽章は映画などでも多く使われています。弦楽器とハープで奏でられるひじょうにゆっくりとしたテンポの哀しく切ない音楽。マーラーは交響曲1番「巨人」も有名です。

マーラー – 交響曲第1番ニ長調”巨人”

まだまだ沢山クラシックの名曲はあります。無料クラシックのサイトをご紹介しておきますので、あとはご自分でクラシックの世界を探検してみてください。また、「俺の好きなあの曲が入ってないぞ!」という方はコメント欄で補完よろしくです。

●(参考)無料クラシックリンク集
パブリックドメイン・クラシック

クラシックmp3無料ダウンロード 著作権切れパブリックドメイン歴史的録音フリー素材の視聴、試聴

Classic Cat – the free classical music directory

Musopen

Wikipediaのサウンドリスト

●有料ダウンロードサイト(一部無料)
classical.comc

●楽譜
IMSLP/ペトルッチ楽譜ライブラリー: パブリックドメインの無料楽譜

カントリーアン, 無料楽譜

Free-scores.com : Mondial de la Partition Gratuite (Partitions Gratuites PDF, MIDI et MP3)

クラシック作曲家生没記念年一覧
今年はどの作曲家のメモリアルイヤーなんだろう?ってのを調べるときには重宝します。

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深水英一郎(ふかみん)

深水英一郎(ふかみん)

トンチの効いた新製品が大好き。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいいキャラに興味がある。

ウェブサイト: http://getnews.jp/

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