写真●総務省が示した4G向け周波数オークションのイメージ
写真●総務省が示した4G向け周波数オークションのイメージ
[画像のクリックで拡大表示]

 総務省は2011年11月9日、「周波数オークションに関する懇談会」の第14回会合を開催した。この懇談会は日本における周波数オークション制度のあり方を決めることを目的とし、2011年3月から検討を続けてきた。今回の会合では報告書案が示され、周波数オークション制度の骨格が示された。

 周波数オークションの対象は、携帯電話などの電気通信事業に使う周波数を対象とすることが適当とし、放送向けの周波数や防災行政無線といった公共利用の周波数、衛星通信用の周波数は対象外となった。

 まず2015年に実用化が想定される4G向けの周波数である3.4G~3.6GHz帯から周波数オークションを実施する方針で、速やかに法律案を国会に提出するとし、オークション制度のイメージも示した(写真)。

収入は一般財源と特定財源の両論併記

 周波数オークションで得た収入の用途は、まず既存の周波数利用者の別周波数への移行費用やオークション実施経費に使う。残りを電波の有効利用に役立つICT振興に使うほか、国の財源として国民に還元することが適当とした。オークション収入を一般財源または特定財源のどちらにするかは踏み込まず、両論併記とした。

 携帯電話事業者は毎年、割り当てを受けた周波数幅などに応じた電波利用料を支払っている。周波数オークションで落札した周波数について携帯電話事業者が電波利用料を支払うかどうかも議論になった。これについては、支払う必要があるとした。

 オークションの仕組みについては、複数の周波数を同時に競りかけ、入札がなくなるまで複数回の入札を行う「同時複数ラウンドオークション」を中心に入札方法を選択するとした。入札金額に最低落札額を設けるが、上限額は設けないとした。入札の条件としては、一定のエリアや人口のカバー率の達成を義務付けることとした。これは、転売を目的としたオークション参加を防止するためという。

 また、大資本による周波数の占有は公正競争が確保できないとして、1者が落札できる周波数の上限、新規や後発事業者向けの入札枠の設置などを設けることを適当とした。