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2011年「日本の広告費」、2.3%減の5兆7096億円 後半に出稿回復

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テレビスポット微増、ネット広告4.1%増、衛星メディアは2ケタ増

電通が23日発表した2011年の総広告費「日本の広告費」によると、昨年の国内広告市場は前年比2.3%減の5兆7096億円だった。3月に発生した東日本大震災を受け、国内広告市場は4~6月期に低迷したものの、年後半に広告主の出稿意欲が回復した。媒体別では、インターネット広告と衛星メディアが前年を上回ったが、ほかはすべての項目で下回った。もっとも、テレビ広告は全体で0.5%減と微減にとどまり、そのうちスポット広告費は微増(0.7%増)だった。

総広告費は7兆円を超えた2007年をピークに、4年連続で前年を下回った。2010年は、リーマンショックによる景気低迷からの回復傾向が見られ、バンクーバー冬季五輪やサッカーのワールドカップ(W杯)などの大イベントも後押ししたが、2011年は震災のほか欧州金融危機や円高、タイの洪水被害などが日本経済を直撃した。ただ、四半期別にマス4媒体の広告費増減率を見ると、震災直後の4~6月は8.3%減と大きく低迷したのに対し、7~9月は0.7%減、10~12月は0.2%増と急回復した。

媒体別では、テレビが0.5%減の1兆7237億円。スポット広告(0.7%増)は震災以降5月まで低迷したが、6月以降は「流通・小売業」や「化粧品・トイレタリー」などを皮切りに復活し、サプライチェーンの寸断で減産を続けてきた「自動車・関連品」も後半に復調に転じた。番組(タイム)広告(2.1%減)は震災の影響は軽微だった。

衛星メディア広告費(13.6%増)は前年に続いて2ケタ増を維持した。内訳はBS(24.2%増)によるものが大きく、CS(2.2%増)は微増、CATVは0.2%減と微減だった。昨年7月の地上波テレビのデジタル化移行で対応テレビへの買い換えが促進されたことで、BSの視聴者が増え視聴率の向上とともに広告出稿が増加した。

スマホブーム、広告市場の後押しは限定的

インターネット広告費は4.1%増の8062億円。内訳は、広告制作費は12.2%増(1873億円)と大きく上回ったが、媒体費は1.8%増(6189億円)にとどまった。震災の影響を受けたほか、スマートフォン広告拡大の一方で、従来型携帯(フィーチャーフォン)向け広告がその影響を受けた。媒体費の内訳は、PC向けWeb広告が5021億円(3.0%増)、モバイル広告は1168億円(2.7%減)。モバイル広告はこれまで成長を続けてきたが、フィーチャーフォン向け広告の減少や震災が響いた。モバイルのうちスマートフォン向け広告(337億円)は拡大しているものの、スマートフォンへのシフトは必ずしも広告媒体費ではなくアプリ開発などにも流れているとみられる。なおPC向け検索連動型広告は2194億円(7.8%増)、モバイル検索連動型広告は463億円(62.5%増)。

新聞広告費は6.3%減の5990億円。広告主業種別では21業種中15業種でマイナスとなった。雑誌広告費は7.0%減の2542億円。業種別では「ファッション・アクセサリー」が0.3%増で回復傾向を示した。ラジオは4.0%減の1247億円。エネルギー系企業の出稿が減ったことが響いた。プロモーションメディア(4.6%減の2兆1127億円)も全ての項目で前年を下回った。

2011年のマスコミ4媒体広告費を広告主業種別で見ると、21業種中5業種が増加、16業種が減少した。増加したのは、「ファッション・アクセサリー」(6.8%増)、「流通・小売業」(2.6%増)、「不動産・住宅設備」(1.5%増)、「情報・通信」(0.5%増)、「官公庁・団体」(2.7倍)。一方、減少幅が大きかったのは、「家電・AV機器」(25.7%減)、「エネルギー・素材・機械」(20.6%減)、「外食・各種サービス」(10.9%減)など。