16年前の阪神淡路大震災から行き過ぎた円高が始まった(中川秀直) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

16年前の阪神淡路大震災から行き過ぎた円高が始まった(中川秀直)

円相場は一時、戦後最高値を約16年ぶりに更新した。各国の外国為替市場で円売りの協調介入を実施することで合意し、即刻、協調介入がなされ、円相場は、一時81円50銭近辺まで戻し、日経平均の9100円台まで上げた。

16年前、阪神淡路大震災があった。震災から行き過ぎた円高が始まり、日本企業の実力を上回る円高となり、非正規雇用の増大、そして、努力をしても報われないという価値観の高まりになってしまった。非正規雇用の増大、努力をしても報われないという価値観の蔓延の原因は、新自由主義などではない。阪神淡路大震災に始まる行き過ぎた円高が放置されたことだ。

16年前は村山内閣の頃であり、私は自民党とのパイプ役の首相補佐だった。そのときの私自身の反省を込めて言っている。あのときと同じ轍を踏んで、さらにデフレを進行させるようなことがあってはならない。

今後、東京の電力制限が続くことになる。これは16年前にはなかったことだ。そして福島原発の問題がある。これだけの経済縮小要因があるのだから、経済政策でも非常時の発想、欧米では当たり前の発想が必要なのだ。

各国と協調介入をした以上、政府・日銀は日本がすべきことをしっかりしなければならない。欧米で常識的な量の、量的緩和である。日本は欧米とは異なるから量的緩和は効かないなどという『日本異質論』は協調介入が行われたいま、二度と公式の場で口にしてはいけない。日本は国際標準のマクロ政策により、なんとしてもこの苦境から抜け出さなければならない。

(3月18日記)中川秀直