2011年は国内webサービス大虐殺の年になる

遅ればせながら2011年の予想をしておく。なんか無責任に予想を言い合うのが流行っているみたいだし。僕が予想しているのは以下の3つだ。

国内webサービスの大虐殺

まず本命がこれ。具体的にははてなブックマークとかLDRが死んでいくと思う。理由はスマートフォンの普及。スマートフォンには世界規模のアプリ配布システムができあがっていて、日本人でもガンガン英語のアプリを使いまくる。webアプリでは英語圏のアプリを使う人なんて少数だっただろうけど、スマートフォン自体が英語圏中心のエコシステムなので、キラーアプリを使おうと思ったら自然と英語圏のアプリ(でも日本のシステムで入手できる)に手が伸びる。そして母数の問題なんだろうけど、英語圏webサービス対応のアプリほど良いものが多い。iPhoneRSSリーダーを使うとしたらLDRよりもGoogleReaderになってしまう。


さらに言うと、その先のスマートフォンのアプリの性質の問題がある。スマートフォンのアプリっていうのは何かの機能に特化している。言い換えるならば必要な専門機能以外を削っている。写真を撮るだけとか、とった写真を加工するだけとか、加工した写真をtwitterに投稿するだけとか。そしてそのアプリの能力を超えた範囲のことをしたい場合は「アプリの連携機能」を使うのだが、これで連携されるアプリというのが限定的なのだ。そのため、メジャーなアプリにならないと連携してもらえない。iPhoneユーザーみんな大好きRSSリーダー「Reeder」では記事を送る先としてはてなブックマークは存在しない。deliciousやPinboardやzootoolなどはあるのだが、はてブがないためにこれらのサービスに乗り換えざるを得ない。僕はPinboardに乗り換えた。


Pinboardよりもはてブが劣っているとは感じ無いし、むしろ無料で提供している分はてブのほうが優れている(Pinboardはアカウント取得時に取得料がいる)。また、GoogleReaderよりもLDRのほうが優れているとも思っている。記事の選択と閲覧を分別するインターフェースは本当に素晴らしい。しかし、iPhoneiPadでもRSSを読みたいためにLDRからGoogleReaderに乗り換え、ReederとInstapaperと連携しているという理由のみではてブからPinboardに乗り換えた。このようにしてスマートフォンタブレットコンピュータの普及と共に国内webサービスが死んでいくと思っている。

サービスのゲーム化

あとトレンドとしてサービスのゲーム化が顕著になると思う。ゲーム化は、おそらく、foursquareかSCVNGRの影響で2010年の後半あたりから言われていたキーワードだけど、まだ目立ってきてはいなかった。人々に物を買わせたりサービスを使わせたりするのにどうすれば良いのか、そのひとつの道としてゲーム化が流行する年になる。そのなかでもやはり「ソーシャル」というのが重要なキーワードになる。ソーシャルグラフが熟成してきて、今度はそれを使いどのように人々に波及的に行動を起こさせるのか、それをさせるのがゲーム化だ。


ゲーム化と言われてもあんまり想像できない人が多いと思うので具体例を上げるが、例えばマクドナルドのモバイルクーポンをゲーム化するとする。僕がデザインするならば、まずはマクドナルドで特定の行動を起こしたらバッジを与えるようにする。異なるマクドナルド5ヶ所にチェックインするとマクドナルドマスターのバッジが、えびフィレオを5回食べて写真をtwitterにあげるとえびフィレオ番長のバッジが、友達3人と食べに来るとフレンドのバッジが、などである。それをtwitterfacebookのアカウントと連携してソーシャル化させることで、人と競わせる。また、特定のバッジを持っていることでアンロックするクーポンをつくる。ユーザーはバッジを集めるためにマクドナルドに通うようになるだろう。

買物情報の共有サービス

実はこれは2010年に流行ると思っていたのだが、いまひとつだった。しかし、この分野はこれからの10年でもっとも重要な分野のひとつであるし、Blippyやswipelyがこの先大化けする可能性は大きい。僕が2011年にこの分野が花開くと思っている要因の一つがモバイルペイメントブームだ。googleは確実にやるだろうし、次期iPhoneにもNFCが載る可能性は濃厚である。そして、支払い情報が電子化されるとき、その支払い過程に新たなサービスが生まれると思う。その一つが買物情報の共有サービスである。


何度かブログにも書いているが、買物情報共有サービスが流行り、何にお金を使ったのかにアイデンティティが移ったときに「富の再分配」が引き起こされる可能性が高い。自分のお金の使い方がファッションと化すために、例えば貧しい地域へ募金したことをtwitterで共有するなどして自分をアピールするためである。今回の世界経済フォーラムのテーマでもある「世界経済の包括的成長」を促すためのエコシステムとして、paypalやkivaなどに加えて買物情報共有サービスというのは非常に重要になるのだ。