ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

広瀬隆より、反原発運動についてひと言申し上げます!

2011年06月15日 | 日本とわたし
この文章は、広瀬隆さんとおっしゃる方が、ある機関を通して拡散を依頼されたものです。

広瀬氏のこの文章をお借りさせていただいたソース元はこのサイトからです。
氏ご自身は、ブログもHPも持っていらっしゃらないようです。
尚、文字の着色は、わたしの意向で行いました。



『現在の反原発運動についてひと言申し上げます。みなさんにもこれを広めてください。

電力会社の原発はほぼ5000万kWだが、
今夏のピーク時には、福島第一が廃炉になり、福島第二、東通、女川、東海第二が全滅し、
浜岡が停止、柏崎刈羽が3基再起不能で停止、さらに全土で定期検査中の原発が運転再開不能のため、
事実上1300万kWしか稼働しない状況にある。

この頼りない原発より、資源エネルギー庁が公表している産業界の保有する自家発電6000万kW(昨年9月現在)のほうが、はるかに大きなバックアップとしての発電能力を持っている。

「原発の代替エネルギーとして自然エネルギーに転換せよ」という声が圧倒的に多いが、
日本人が“快適な生活”をするために使っている電気の大半を生み出しているのは、現在は火力発電である。
この火力発電は、日本においてきわめてすぐれた世界最高度のクリーンな新技術を導入しているので、何ら問題を起こしていない。
決して原発が、電力の大半をになっているのではない。
原発は事故続きで4分の1も発電していない。

自家発電をフルに活用すれば、このすぐれた、クリーンな火力だけで、「まったく現在のライフスタイルを変えずに、節電もせずに、工場のラインを一瞬でも止めることなく」電気をまかなえる。
これは、将来、自然エネルギーが不要だと言っているわけではない。

多くの人が抱いている「自然エネルギーで代替しなければ原発を止められない」という、現在の反原発運動の固定観念は、まったくの間違いである。

将来のエネルギー構成をどうするべきかについてはここで論じないが、
原発を止めるのに、選択肢の一つである自然エネルギーは、今のところ特に必要ではない。
つまり、産業界を味方につけて自家発電をフルに活用し、原発を止めることのほうがもっと重要である。

週刊朝日6月10日号で私が特集したように、週刊朝日の記者が各電力会社に取材した結果、興味深い電力需給について裏の構造が明らかになった。
全国で、電力会社が他社受電の発電能力を秘密にして、取材にも答えようとしなかった。
特に九州電力だけは、「発電設備ごとの能力の内訳は公開していない。経営戦略情報なので教えられない」と、火力・水力・他社受電(自家発電からの買い取り)・原子力の内訳さえも答えないというトンデモナイ非常識な態度をとった。
この九州電力が、原発を動かせないので夏に電力不足になる、と言い立てている。

なぜ電力会社は、これら当たり前の事実を隠そうとするのか、という疑問から、ここで重大なことが明らかになった。

それは、「電力会社が自家発電をフルに利用すれば電力不足が起こらない」
この事実を国民に知られると、産業界からも、一般消費者からも、「送電線を自家発電の民間企業に解放せよ!」という世論が生まれる。
そして制度が改善されて、誰もが送電線を自由に使えるようになると、地域を独占してきた電力会社の収益源の牙城が崩れる。
送電線の利権だけは、何としても電気事業連合会の総力をあげて死守する必要がある、と彼らは考えている。
九つの電力会社にとって、福島原発事故を起こした今となっては、原発の確保より、送電線の確保のほうが、独占企業としての存立を脅かすもっと重大な生命線である。
そのため、自家発電の電気を買い取らずに「15%の節電」を要請するという行動に出てきたのである。

したがって日本人は、「自然エネルギーを利用しろ」と主張する前に、
「送電線をすべての日本人に解放せよ!」という声をあげることが、即時の原発廃絶のために、まず第一に起こすべき国民世論である。
何しろ、送電線が解放されて、安価に送電できなければ、自家発電ばかりでなく、自然エネルギーの自由な活用もできないのだから。

原発廃絶は、反原発運動の自己満足のために実現されるべきものではない。
産業界も含めた、すべての日本人のために進められるべきである。

広瀬隆』

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31 コメント

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質問させてください。 (*)
2011-06-16 11:15:46
恐れ入ります。
質問させてください。

産業界の保有する自家発電6,000万キロワット、これは余剰ということでしょうか?

発電能力と余剰電力は全く別物なので、バックアップにできるということは、現状、この6,000万キロワットの発電能力はあるけれど、使っていない、もしく何%かのみ使っていて、他に回せる電力はかなりあると考えて宜しいのでしょうか?

そうでないと、この元々の6,000万キロワットの数字自体が意味を成さないものになってしまいますが…
(もちろん送電線開放を前提としてで構いません。)

また自家発電のシステム自体について不勉強なので申し訳ないのですが、何を元に発電しているのでしょう?化石燃料でしょうか?

今夏、自家発電が全てフルで稼働するための元の燃料の確保は出来ていますか?
また、すべての自家発電が安全に、フルに稼働できる状態ですか?
できないにしても、何%位が活用可能なのでしょう?

それでも送電線を開放すれば電力がまかなえるというのであれば、今夏、日本に住む私たちは特に節電する必要はなく、普通に電気を使う分には何ら心配は要らないと考えて大丈夫ということですね?


また、送電線の開放はもちろん良いことかも知れないのですが、その先には何があるのでしょう?

もちろん今のカルテルが出来上がっているような状態が良いとは寸分も思いません。一部のお偉いさんたちが利権をむさぼるやり方には私も真っ向から反対です。
しかし、自由化や競争が何を生み出して、何を失ったかは日本の地方の街をご自身で歩かれると感じられる部分があると思いますので、ぜひ、日本にお帰りの際には地方の小さなまちへも足をお運びください。

よくご存知で (eisan)
2011-06-16 12:40:21
はじめまして
アメリカにおられるのに、日本にいる人以上になんでもお詳しいですね。
これからも読ませていただきます。
えーさん日記 http://kagaribi-gifu.cocolog-nifty.com
です。
Re:質問させてください。 (alice)
2011-06-16 13:01:59
私も反原発=自然エネルギーという論調に不安を感じています。
原子力エネルギーの直近の代替として、火力・天然ガスでどこまで手当できるかを、専門家が真剣に考えるべき時期です。
広瀬氏は実現可能性が高いと述べていますが、かといって広瀬氏に何でもかんでも証明を求めるのではなく、これを出発点にして考え始めなければなりません。
自然エネルギー一辺倒では、原子力廃止は遠い未来の話になってしまいます。

そして、電力網開放なくしては始まりません。網自体の開放や自由化と、発電の自由化とは別の話でしょうし、考えなければいけないことはたくさんありますが、とにかく考え始めましょう。
*さんへ (まうみ)
2011-06-16 13:58:54
はじめにお伝えしておきたいことがあります。
わたしは日本で43年、こちらで11年生きている、ただの普通のおばさんです。
なにひとつ、電気のことなど考えることなく、水やガスと同じように、当たり前のように使いたいだけ使い、使った分だけの料金を、高い高いとブツブツ文句を言いながら払ってきただけの人間です。
原子力のことだって、この原発事故が起こっていなかったら多分、死ぬまで全く知らんぷりをしていた可能性大の人間です。

日本で暮らしている時は、過疎の田舎で嫁をしていたこともありましたし、寂れる一方の旧町で暮らしていたこともあります。
なので、日本の問題のある部分は、身にしみて感じてきました。

さて、自家発電6,000万キロワットについてですが、広瀬氏が提示された表を載せましたので、それを見てください。
それが能力であるのか余剰であるのか、わたしにはお答えできません。想像としてですが、能力の方ではないかと思っています。

そして自家発電(ウィキペディア参照→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E5%AE%B6%E7%99%BA%E9%9B%BB)ですが、主に自然の物質を利用し、それを発電機によって電力に換える、とわたしは理解しています。
化石はその中に入っていない、とわたしは思っていますが、それも正確ではないかもしれません。
その電力は、天候などの自然の変化によって、安定した力が得られないので、
その支えとしての電力に、日本で今一番安定している火力発電を使いつつ、
徐々に時間をかけて、様々な可能性を見いだしながら、電力のソースを確立しようということではないでしょうか。

送電線を開放することによって、電力を自家発電によって得られる大型消費者、主に企業や工場ですが、
今まで抑圧されてきたものから開放された後の、精力的な電力作りの勢いは、きっとすごいと思います。

一番頭を切り替えなければならないことは、
原発からの電力供給は、そもそもそれが無くなったからといって、
途端に日本の電力に影響する、というようなものではなかったということです。
洗脳という言葉を使ってもいいくらいに、わたし達は電力会社の思うままに、彼らの都合によって電気をもらったり止められたりしていました。
計画停電もそのひとつ。
あれは偽造のものだったという事実が、東京新聞の記事に載っていました。
実際に、今から何年か前に、原発がすべて停止していた時期がありましたが、
停電は一切起こりませんでしたし、産業界においても、なんら混乱が無かったのです。

ただ、わたしになにかを約束しろと言われても、わたしは専門家でもなく、電力会社の人間でもなく、そして政治家でもありません。
なので、これはあくまでもわたしの、一市民として暮らしている者の考えとして受け取っていただけたらと思います。
eisanさんへ (まうみ)
2011-06-16 14:05:41
えーさん、もしかしてえーさんさん、と呼ばせていただいた方がよろしいのでしょうか?
はじめまして、ようこそおいでくださいました。ありがとうございます。

さきほど、えーさん日記にお邪魔させていただきました。
あ、これは時間をかけて読ませていただきたい!と思い、
今はもう夜中の1時を過ぎてしまっているので、
また明日、時間を作って読ませていただこうと思います。

日本に暮らしてはいませんが、心は日本に居ます。
もちろん、こちらでの暮らしも大切ですし、しっかりしないと、と思いますが、
3.11はわたしにも、今までのような生き方をしているわけにはいかない、という、
新しい意識を芽生えさせてくれました。

これからも、自分のできる範囲で物事を見、それを言葉にしていこうと思っています。
よろしくお願いします。
aliceさんへ (まうみ)
2011-06-16 14:18:35
こんにちはaliceさん。
わたし、思うのですが、今までの、短いとは決して言えない人生の中で、
ここまで電気や原子力、そして日本の未来について考えたことがあっただろうか……と。
そして日本のいろんな所で、こういうことについての会話が展開されていることのすごさ。
これは本当にすごいことだと思います。
この目覚めが、日本、いえ、日本だけに留まらず、世界に伝わっていくといいですね。

自然エネルギーの不確かさ、ゆえにわたしは、前から強く勧めている『海中凧』をもっともっと広めたいのです。
あのエネルギーこそ、自然がくれる365日、24時間、ずっと安定している画期的なものです。

実は天然ガスにも問題があります。
ガスを電力に換える際に、そのガス田にとても強力な薬剤を撒くのだそうです。
その化学薬品が、また人間の身体には良くないのだそうで、
このことがネックになって、それほどには発展しないかもしれません。

でも、日本には自然原料が少ない分、それを補う科学力と技術力があります。
送電線の開放は、その力を更に強化できる勢いと自由を与えるものだと思います。
実現に向けて、署名やパレードを続けていこうと思っています。
とにかく、原発党がまた甦る前に。
日本のゆくえ (フライ亭)
2011-06-16 14:38:01
1.CO2削減、エコブームは原子力推進運動の一環
2.電気事業法改正
ということですね
はじめまして (M)
2011-06-16 14:51:34
はじめまして。

武田邦彦先生は自然エネルギーは自然破壊エネルギーだって盛んに仰られています。
燃料に関しては、石炭が日本ですら余っている状態で、海外も100年は間違いなく大丈夫でしょう。
燃料業界が燃料不足にはならないとまで言っています。

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/244262
お返事ありがとうございました (*)
2011-06-16 15:15:22
まうみさま

お休み前の貴重なお時間に、真摯なお答えをありがとうございました。

画像拝見しました。

認可出力ですのでおそらく、発電能力でしょうね…。
そうなるとこれは既に行き先の決まっている電力と考えるのが妥当な気がします。
余剰電力はこの中なら使われなかったもの、と考えたほうが良さそうな気が私はします(憶測ですが)。

自家発電の燃料については、こちらもおそらくですが、自然エネルギーではなく化石燃料が多いのではないでしょうか。先程の画像の内訳を見ると約9割が火力になっています。

個人宅等での小口の自家発電に関しては水力、風力等が主力だと思うのですが、産業界が自前の電気を生産する方法としては、やはり火力が主体のように、先程のグラフからは読み取れます。

これもおそらく…ですが、発電能力がそれだけあるのに、実際には使わずに持て余しているということは経営上、とても考えられないことですので、おそらく自社内での電気の使用に、ほぼ全てを回しているのではないでしょうか。

そうなると、『6,000万キロワットのバックアップ能力がある』という根本の部分に疑問符をつけざるをえないのではと思うのですがいかがでしょう?

数年前に止まっていた、という資料は…私も拝見したことがるのですが、該当のHPから削除されてしまったのでしょうか、見ることができなくなってしまいました。

ただ、そのデータも2003年時点のもので、現在との電力使用量の差異や、買電があったのかどうかといったことについて語られておらず、しかも停止していたのは春から梅雨時期のことで、夏に向けて順次運転を再開していました(その資料を見る限りでは、です)。

また、夏の時期に中部電力の浜岡が停止していたという話も載っていたのですが、もともと中部電力は原発への依存度が低いことと、その当時関電などからの電力の融通があったかどうかと行った点までは触れられていませんでした。

また、もとから計画的に今夏は点検があるので対応策を練った上での停止と、今回の様な事態での停止とは、またちょっと訳が違ってくると思います。


計画停電についても、偽造であったとする記事を私は拝見していないのですが、よくよく検証された記事だったのでしょうか…?
マスコミが必ずしも正確な報道をしないことは今回に限らず、痛いほど皆さんご存知なはずだと思うのですが…。

あれだけの逼迫した状況で、今後の電力不足を演出するために、一芝居打ったと考えるにはちょっと私には、新聞がそう言ってた、だけではいまひとつ納得できないものもあります。


誤解されると困るのですが、私も脱原発しか道はないと強く思っています。

しかし、現状を冷静にきちんと見極めなければ、正確な対応はできません。

最近、こわいな、と思うのが、ツイッターにしてもブログにしても、きちんと検証されずに、他の人が言ったことが独り歩きしてしまうことなのです。


最初の発電能力と余剰電力のことも、冷静に考えれば、その意味に大きな差があるのはご理解いただけると思います。

しかし、『電気は余っている』という部分だけが一人歩きをしてしまう。
それがとても怖いのです。

いま私が書いている時点でも、こちらのブログ記事は1,500以上のツイートがされています。『一市民の考え』もあっという間に一人で歩き出してしまうのです。

事実、私もこちらの記事には電力不足にはならない。その理由は?
というツイートを拝見してたどり着きました。


もちろんだからと言って声を上げてはいけないとは全く思いません。
おおいに声はあげるべきだと思っています。

ただ、声に出す以上は、著名な人の意見をあの人がこう言ってたから、とか、新聞にこう書いてあった、ネットで見たから、ということではなく、ご自身で深く考えることが肝要なのかな、と私は思っています。
送電線を国有化に! 署名運動 (LOVE J)
2011-06-16 16:23:38
送電線を国有化に!

署名運動がおこっています。


ぜひ 拡散お願いします。

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