株式会社三橋貴明事務所  講演・執筆依頼等、お仕事のご依頼はこちらから

三橋貴明のツイッター  はこちら

人気ブログランキング に参加しています。

新世紀のビッグブラザーへ blog

人気ブログランキングへ

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

チャンネルAJER 更新いたしました。今回のテーマは「日本の公共事業の現実」です。現在の日本にとって、極めて重要なテーマだと思います。
本番組の内容を是非、頭に入れて頂き、「公共事業はいらないよ~」などと適当なことをいう人に「説明」して頂ければと存じます。
『日本の公共事業の現実①』三橋貴明  AJER2012.7.10(3)
『日本の公共事業の現実②』三橋貴明  AJER2012.7.10(4)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 実は、本日のタイトルは当初は「墜ちる国債金利」でした。「墜ちる」という単語を使いましたが、国債金利下落ということは「国債価格上昇」という話なので、「国の借金で破綻する~っ!」という連中が言っているのとは真逆の方向に進んでいるという話ではあります。とはいえ、現在の日本、スイス、アメリカ、ドイツなどで進んでいる国債金利の下落(国債価格の上昇)は、民間の資金需要縮小を示しているわけで、かなり深刻な事態です。


【日本・アメリカ・欧州主要国の長期金利の推移(単位:%)】
三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_38.html#Kinri


 上記は日本、アメリカ及び欧州主要国の長期金利の推移です。なぜ、ギリシャが入っていないのかといえば、同国の長期金利は25%超で、グラフに含めると他の国がわけが分からなくなってしまうためです。


 現在、日本、アメリカ、イギリス、ドイツなど、経常収支黒字国もしくは独自通貨国の長期金利が下落していく反対側で、共通通貨かつ経常収支赤字国の金利が高値に張り付いたままの状況が続いています。問題のスペインの長期金利も、7%を越えては戻してを続けています。
 そして、日本の長期金利がついに0.8%を割り込み、ドイツ及びアメリカ同様に史上最低値に接近しています。


債券上昇、長期金利が約9年ぶり低水準-超長期債の需要好調が支え
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M6YUC70YHQ0W01.html
 債券相場は上昇し、長期債利回りが約9年ぶりの水準に低下した。前日の30年債入札で投資家需要の強さがあらためて確認されたことで、超長期債を中心に買い安心感が広がった。
 現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物の324回債利回りは横ばいの0.795%で始まり、午前10時過ぎに0.5ベーシスポイント(bp)低い0.79%に低下。午後にかけて同水準で推移し、午後2時過ぎには1bp低い0.785%と、新発10年債利回りとしては2003年6月30日以来の水準まで切り下げた。5年物の105回債利回りも0.5bp低い0.185%と03年6月以来の低水準を付けている。 (後略)』


米国債:10年債利回りが最低付近、入札やFOMC議事録で
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M70JB16JTSEE01.html
 11日の米国債市場では10年債利回りが過去最低水準に迫った。この日実施された10年債入札(210億ドル)で最高落札利回りが過去最低だったほか、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した連邦公開市場委員会(FOMC、6月19-20日開催)の議事録で、追加行動を取る必要が恐らく出てくるとの認識を示したメンバーが数人いたことが材料となった。
 入札では年金基金や保険会社を含む機関投資家からの需要が強かった。入札結果によると、最高落札利回りは1.459%。ブルームバーグがまとめた入札直前の市場予想は1.518%だった。前回の最高落札利回りは6月実施時の1.622%だった。 (後略)』


 相変わらず、新聞には「投資家の安心感が買を誘った」といった定性的な理由で長期金利低下(日米などの)を説明していますが、この種の「定性的な理由」が通用するのは、インフレ期の話です。現在の世界主要国の長期金利の低下は、単純に民間の資金需要不足が原因でしょう。銀行にしても、生命保険にしても、国債以外にまともな運用先がないという話です。 


 すなわち、諸国のデフレ深刻化を物語っているわけであり、ちっとも「良い話」ではありません。何しろ、世界の基軸通貨であるドル、あるいはユーロ17か国で使用できるユーロさえ資金需要が減っており、アメリカ国債やドイツ国債の金利が「歴史上」最低値に接近しているのです。 


 特に、ユーロ圏の場合、金利が上昇している破綻国・破綻予備国の国民が保有する金融資産(ユーロ)をドイツの銀行に逃避させる傾向が続いており、ドイツ国内の銀行にユーロが流れ込んでいっています。とはいえ、今やドイツ国内にさえユーロの投資先がなく、ひたすら国債が買われる状況が続いているわけです。


 現在の先進国(日米欧)の問題は、資金需要不足及び需要(特に投資)不足であり、
「国の借金で破綻する~っ!!!」
 といった話ではありません。何しろ、ドイツはともかく、日米両国は独自通貨国で、国債は100%自国通貨建てです(米国債は少しユーロ建てもありますが)。日米両国の自国通貨建ての国債がデフォルトするなど、ありえません。それはいみじくも、日本の財務省が表明した通りです。


【財務省 外国格付け会社宛意見書要旨】
http://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/rating/p140430.htm
『(1) 日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。』


 まさに財務省(しつこいですが、日本の財務省)の言う通り、「デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか」てなもんです。現在の日本やアメリカ、そしてユーロ圏に必要なのは、中央政府としての「特権」を利用し、通貨発行&財政出動という「正しいデフレ対策」を実施し、国内に需要を生み出すこと。ただ、それだけです。


 ところが、特に日本とドイツの中央政府が「国の借金」という、自分で通貨を発行して返してしまえる「程度」の存在に怯え、あるいは怯えたふりをして、日本の場合は国内に、ドイツの場合はユーロ圏に緊縮財政を押し付け、事態を悪化させることを続けています。07年に不動産バブルが崩壊を始めたユーロ圏はともかく、日本はすでに97年以降、15年以上もの期間、間違いを続け、GDPが全く成長しない状況を続けているのです。


 政治家や評論家はバカの一つ覚えのように、
「改革が足りないからだ!」 
 と主張しますが、そもそも改革とは何なんのでしょうか。デフレを深刻化させ、国民所得(GDP)の成長を妨げる政策が彼らの言う「改革」なのでしょうか。


 実際、「改革」の中身を説明されると、ほぼ100%「インフレ対策」です。時代遅れというよりは「時期が違う」インフレ対策を「改革」と呼び、実際に「改革」を強行し、デフレが深刻化すると(当たり前です)またもや、
「改革が足りないからだ!」
 などと叫び、さらなるどん底へと突っ走る。いい加減、自分たちの間違いに気が付いて欲しいです。


 とはいえ、少し前までは、日本の評論家や政治家といった知的エリートが「バカ」なだけなのかと思っていましたが、ドイツや米英の状況を見る限り、そうでもなさそうです。バブル崩壊後にデフレに片足突っ込んでいる状況で、緊縮財政という「インフレ対策」を実施し、どの国もデフレと名目GDPの縮小、政府の減収、財政悪化、さらなる緊縮財政という悪夢の悪循環に突入しようとしています。


 ギリシャの実質GDPの成長率は、失業率上昇や緊縮財政により「内需縮小」の局面に突入しており、今年は昨年同様マイナス6.9%になる見込みです。しかも、ギリシャの物価上昇率は5月時点で0.9%と、1%を割り込んでいます。(EUはギリシャの今年の物価上昇率はマイナスになると予想)


 実質GDPが減り、物価上昇率もマイナスになれば、名目GDPはそれ以上に減ることになります。結果、税収が減り、財政が悪化するという道筋がすでに見えているわけです。ところが、どこかの国の「知的エリート」同様に緊縮財政のイデオロギーに捉われているドイツは、ユーロ圏に緊縮財政を押し付けることをやめようとしません。


 などと書いていて改めて気が付いたのですが、わたくしが書いている話は、1929年以降の主要国で問題になった議論そのままです。結局のところ、資本主義はインフレが正常で、デフレは数十年、数百年に一度しか発生せず、政権担当者が「インフレ脳」になってしまうというのが根本的な問題なのだと思います。世界の政権担当者たちが早急に「デフレ脳」に頭を切り替えなければ、冗談抜きで第二次世界大恐慌になってしまいます。


 そして、頭を「デフレ脳」に切り替えるには、単に「歴史」と「数字」を知ればいいだけなのです。それほど難しい話とも思えないのですが、97年以降15年間も深刻なデフレに苦しむ日本国において、未だに「インフレ脳」のまま政策を叫ぶ人が後を絶ちません。


 ならば、国民自ら「デフレ脳」に頭を切り替え、「デフレ対策」を主張する政治家を選ぶしかない。迂遠な気がしますが、本当にこれ以外に道がないのです。フランスなどと同様に、民主主義による、強制的な「デフレ脳」への転換が、現在の日本に必要とされているという話でございます。


「政治家もいい加減に【デフレ脳】に頭を切り替えろ!」と思われた方は、

↓このリンクをクリックを!

新世紀のビッグブラザーへ blog

人気ブログランキングへ

本ブログへのリンクは↓以下のバナーをご利用ください。

新世紀のビッグブラザーへ blog


三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba
◇ポルパパのブログ
投資と車と日々の起業家日記
管理人:ポルパパさん

三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba
◇おじさんの談話室
経済通のおじさんと、女子高生真理ちゃんが織り成す、経済を解りやすく掘り下げた基礎講座!


日本経済復活の会
三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba

積極財政による日本経済復活を目指して活動をしているボランティアグループです。


Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」 連載中
「三橋貴明の<ウラ読み>経済レポート」 
本メルマガではセミナー、勉強会のご案内など、メルマガならではの情報発信をしていきます!
新世紀のビッグブラザーへ ホームページはこちらです。
新世紀のビッグブラザーへblog一覧はこちらです。